表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

学校帰りに謎解きを一つ

学校生活も2年目を迎えると思うことがある。

それは人格形成が出来ている人間がどれほどいるのか、と言う疑問。

社会経験はアルバイトのみ、普段は同年代と小さい部屋の中で生活をするという特殊下に身を置き真っ当に人間が育つとは思えない。

簡単に言うと学校というシステムには人間教育という要素が欠如しているのではないかということ。


夏も険しくなる6月の下旬。

パンツが見えそうなスカート丈の女、汗臭くワイシャツを開けて上裸同然の男。

この高校は夏場だけジャージ着用可能となっている、汗をかくとわかっていて張り付きやすいワイシャツを着る根性が知れない。

一般羞恥があればそんな格好はしないだろと思う、ゆえにこいつらは人格形成が成っていない。

などと思っていたら前扉から先生が登場。


「席につけぇ」


まぁ妹が言うに2年にもなって昼休みを小説と過ごすお前こそ人格形成に難ありらしい。

我が家族ならもう少し人間観察を正確にしてほしいものだ。


「テスト返却するぞ」


今日はテスト返却日だった。


横溝よこみぞ 陣一じんいち


俺の名前が呼ばれテストを受け取る。

配られた全テストの平均68点、いつも通り可もなく不可が少々。

テストとは難しい、記述はなんとかいけるんだが暗記問題が少し難あり。


荒城あらしろ あやせ、よくやったな」


先生に呼ばれた一人の女子。

背まで伸びる黒髪を揺らし教室から向けられる視線の中教壇へ。


「ありがとうございます」


クールビューティーがこれほど似合う人間もいないと思うほどに落ち着いた女子高生「荒城あらしろ あやせ」

文武両道、才色兼備、そして何より俺が見てきた中で一番人格形成が出来ている人間。

今回も全教科満点だったらしい、同じ人間だとは思いたくない。

満点を取っても学年一のイケメンから告白されても顔色ひとつ変えない荒城は全校生の高嶺の花。

なんの縁か荒城のことは幼稚園から知っている。

まぁあっちが俺を知っているかは知らないが。


「……」


荒城が席へ戻る時少し視線が交差した。

特段の意味はないのだろうが視線があったのは何年振りか……やめておこう、気持ちが悪すぎる。

授業が終わり誰よりも先に帰路に着く。

一番の近道である人気のない裏通り。


「ねぇ横溝」


「……あ」


振り返るとなぜか荒城がそこに立っていた。

確か荒城は引っ越して反対側だったはず。

平静を装いながら「どうしたんだ?」と聞くと荒城は顔色ひとつかえず。


「いつも推理小説読んでるけど、好きなの?」


驚いた、何が驚いたかって俺の読んでいる小説のジャンルを言い当てる事も去ることながら俺が小説を読んでいるという事を認識していると言うことが何よりも衝撃。

俺なんか眼中にないとばかり。


「まぁ好きかな、読んでて退屈しないし」


取り繕えているだろうか、気持ち悪い感じになっていないだろうか。

ふとよぎる家族に言われた俺の人格形成に難ありと言う言葉。

そんな俺の心中を無視するように荒城は踵を返す。


「あ、そう。じゃあ探偵になってね」


「……は?」


呼び止める声も届かず荒城は大通りに。

追いかけるも追跡叶わず、疑念を持ったまま帰宅。


次の日、昨日の事を消化しきれず寝不足の高学校へ登校。

本人に確認すれば早いのだが……気まずい。

何より荒城に声をかけると言うことはファーストペンギンになると言うこと。

もちろん俺はそんな勇気はない。

放課後人気のないところで話しかけるか。


「じゃあ気をつけて帰れよ」


先生の号令と共に帰りのホームルームは終わる。

先回りして荒城に……え?

最悪なことに今日に限って荒城はそそくさと教室を出てしまった。


「なんで今日なんだ……荒城」


また眠れない夜が来るのかと落胆しながら階段を降りる。

ため息が止まらない、なんだ、一体なんなんだ。

まぁ何もなかった、あれは幻、そう幻と思おう。


「……」


言葉を失った俺の目の前には下駄箱の中にある一通の手紙。

青い紙が折りたたまれている。


ー以下内容ー

乃木公園で待っています


名前が抜けているが字の感じ女の子だとわかる。

昨日から俺の周りに何が起きているのか。

まさか荒城……いやいや、イケメンを振った奴が俺なんかに気を向けるわけない。

向けるわけないけど、一応期待しておこう。

というか乃木公園て、ここから歩いて30分はかかるぞ。


「こんなに閑散としてたっけ」


乃木公園には子供一人もいなかった。

時代とともに公園も廃れていく侘しさ……などはどうでも良い。

胸がドキドキしてはち切れそう。

誰だ、手紙の主は誰なんだ。


「横溝くん……」


振り返ると木の影から綺麗な髪を靡かせる女の子。


「荒城……手紙お前だったのか」


頷く荒城。

心なしか少し恥ずかしそうにしている。

おいおい、待ってくれ、人はモテ期が3回来ると言っていたが……今がそれなのか。

正直一歳、二歳、三歳、の計3回で俺のモテ期は終了していたと思ったが、とんだサプライズ。


「単刀直入に言うよ横溝くん!」


「お、おう……」


似合わぬ声に少したじろぐ。


「私が男の子好きって……違うからね!!」


「え……ん……なんと?」


荒城の顔がより一層赤くなる。


「き、昨日横溝くん言ってたじゃない!私が放課後小学校正門の電柱から男の子を涎垂らしながら見てるところを見たって……でもそれは子供達がちゃんと帰れてるか見てるだけで決して小さい男の子可愛いなぁとかお姉さんが手取り足取り教えたいなぁとか思ってないから。だって……」


聞き取れない言語を話し続ける荒城。

訳がわからないが一つ言えることは。


「少し落ち着け荒城、昨日俺はお前にそんな事を言った覚えはないぞ」


「……え?」


「逆にお前が俺に推理小説好きなの?とか探偵になってくれとか言ってきたんだろ」


虚無の空間が広がる。

荒城は今まで見たことがない程にすっとんきょうな顔をしていた。

美人とはどんな顔をしても可愛い、なんてずるい。


「私が……横溝くんに?」


俺は頷く。


「言ってないよそんなこと、昨日は横溝くんが私に名探偵コナンのPOPストアでえぐい金額使ってる所を見たとか……赤裸々に言ってたじゃない」


「覚えがないぞ」


「それにそれに……最後に推理に興味はあるかって、あれどう言う意味?」


「こっちが聞きたい、俺もお前にそう言われ……」


「よく集まったな探偵」


渋い声に振り向くがそこには誰もいない。

俺と荒城しかいない公園、陽が傾き心なしか物騒に見える。

それこそお化けなんかがでてもおかしくなような。


「キャァ!!」


再び振り返ると荒城が腰を抜かして地面に座っていた。

そんな荒城が震える指で前方を指す。


「……とり?」


「失礼だな、私は高貴なるふくろうだよ」


羽をたたみ空中に浮遊する鳥。

色々とおかしな要素が多すぎる。

まずなぜ俺たちと会話ができている、それに梟がなんで探偵が着そうな服を着ているのか。

そして何より。


「お前……なんで影が人の形してんだよ」


梟の落とす影がなぜか人の形をしていた。


「まぁ最初は名乗ることから始めようか、私は「ディアトロフ・インシデント」君を迷宮に誘う案内人とでも思ってくれ。横溝よこみぞ 陣一じんいちくん」


最後までありがとうございました。

よろしければブックマーク、評価お願いします。


書き溜めて投稿するのでcase事の間が少し空くかもしれませんがお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ