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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
10.最終日0時~6時:半死人の決心

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最終日05:00:00/勝狩展望台/前田千尋

津波が迫る中、目の前で倒れた浩司がゆっくりと起き上がる。

私は止め処なく血が流れる左胸を抑えながらも、力を振り絞って半身を起こし、展望台の手すりに寄りかかっていた。


「こ・・・・・・・・・・・・う・・・・・じ?」


目の前では理解したくない光景が繰り広げられている。

異形となった彼はすでに私を私として見れなくなった、淀んだ目で私を見て、右手に持ったワルサーを私に向け、ゆっくりと近づいてくる。


「や め       て」


私はその光景を何もできずに見つめる。

浩司は先ほどまでの憂を含んだ顔を、気味の悪い狩人のような笑みに変え、引き金を引いた。


1発目は外れ

2発目は私の頬を掠り

3発目は私の肩を

4発目は私の左足を

5発目は私の腹部を

6発目は私の右手を


そこまでで、ワルサーはスライドが開き、弾がないことを示した。

私は撃たれるたびに意識が遠のき、展望台の地面は私の血で染まっていく。


銃の弾が切れると、浩司は私にゆっくりと歩み寄ってくる。

すでに虫の息の私は、その姿を見ることしかできなかった。


浩司は私の目の前まで来ると、その両手を私の首にかけた。


私は左手を動かし、浩司の腕に力が入る前に、引き金を引く。

反動で腕がおかしなほうへと持っていかれた。

左腕は感覚が消え、ダラリと肩からぶら下がるだけになる。


放たれた9mm弾は浩司の首元を貫き、鮮血が私の上半身に降りかかる。

力を失った体は私にのしかかってきた。

光のない目、色を失った顔が、私の顔にかぶさってくる。


まるで私が抱きかかえられているみたいな体勢。


「サヨナラ・・・・・私の愛した人・・・・・」


小さく、浩司の耳元でそうつぶやくと、私はゆっくりと目を閉じる。

体から力が抜け、フッと意識がなくなっていく最中、背後から来た大津波は、私の体を飲み込んだ。

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