表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
3.初日12時~20時:血に染まった大津波
19/78

初日13:45:09/日向町立病院/北原直人

銃声が響いた直後、派手な爆発音が鳴り響き、病院内の明かりが一瞬で消える。

あと少しでたどり着く入り口付近で炎が上がっているのを見ると、舌打ちしながら方向転換した。


元来た道を戻っても、奴らは追いかけてくる。

だから、1階の適当な病室から窓を開けて外に出た。


病院の敷地を抜けて、適当な民家の庭に息をひそめる。

病院の方からは、蠢く声が聞こえてきた。


鉄パイプを持った手を震わせながら、俺は周囲に誰もいないことを確認して民家の軒先に座り込んだ。


息を整えて、暫く黙っている間に辺りは静寂に包まれる。


「誰だあの銃声は」


そう呟いて立ち上がると、民家を出て、霧が深い町を歩き出した。

ここも長くは居られない。

俺は、一歩足を進めるのも恐る恐るといった感じで、ゆっくりと歩く。


何処へ行こうか・・・

考えつく行動は3つ。


もう一度図書館へと戻って、いいところで邪魔された読書の続きをするか・・・

病院にあった平元とかいう子が生きているのを信じて、彼を探し出すか・・・

未だ行方知らずの同僚達を探し出すか・・・


今、図書館に戻れば・・・もれなく奴らと血みどろの争いを繰り広げることになる。

だったら・・・一度この町の入り口まで戻って・・・そこから・・・同僚と平元という子を探し出すのがベストか?


俺は、そう考えながら・・・町の入り口の方へと戻る橋まで来ていた。

街灯を嫌って、あえて暗闇を選んで歩き・・・橋の丁度真ん中で柵にもたれかかる。


橋を渡ると商店街に突き当たる。

その近く・・・少し港の方へと行くと・・・駐在所だ。


あの銃を持った元駐在警官の成れの果てが、また襲ってくるかもしれない。

もしかすると・・・もっと厄介なのがいるかもしれない。


ネガティブなことばかり頭に浮かんでくる。

そんなことが浮かんでくるせいで、動けない。

一歩が踏み出せない。


「・・・・・!」


そうやって、橋のど真ん中で立ちすくんでいると、再び銃声が響き渡った。

さっき図書館で聞いた音よりも、もっと派手な音。


それがもう一発響き渡る。


その銃声は、明らかに橋の奥から鳴り響いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ