光の魔法使いクララ・パドヴァールの放浪記 怪しくも好奇心は殺せない
説明が一つすごいアバウトだけど、それの詳細は後ほど。
「どうして姿を変えられるんですか?」
「お姉さん、知らないの?」
ユラちゃんの問いを素直に頷く。
(魔法と違うのかな? 変化か、良いな。鳥になれたりするのだろうか?)
私が学んだ領域では、体を変化させるなど聞いたことがなかった。魔法にできる範囲は物質の生成やエネルギーの操作ぐらい。
魔法以外のことは専門外だから、すごく興味がある。
「妖術って言ってね。世界をあざむき、化かす術なんだって」
「ありがとう、ユラちゃんは物知りだね」
また頭を撫で始めると、私の胸の辺りに埋めてた顔をぴょこりと出して笑った。じわじわと感じる体温が心を暖かくする。
「変化の術っうのはな、獣人族に根付いた妖術の一部で、獣人族の中でも俺たち古狸、妖狐、貂の一族が好む術だ」
妖術、私の呼んだ本の中にそれっぽいのはなかった気がする。基本、魔法のために状態変化や物質の特性、未知の物質についての論文を読む程度だし、稀に小説やおばさんが勧めてくれる薬草学の本に触れる程度だ。
「ふむ、他にはどんなものがあるんですか?」
「そうだな、鬼や天狗の怪力、瞬足。蛟の索敵術とかだな。ここら辺は若干説明が面倒くさい。簡単に言うと、空間を歪めるとかか?」
おおっ、凄い。聞いてるだけで、わくわくしてくる。魔法では出来ない領域だからか、隣の芝生が青く見えるのだ。私は目を輝かせて、ユラちゃんのお父さんの話を聞いた。
*****
「ユラ、そろそろ寝なさい」
「うん、お姉さん一緒に寝て良い?」
目をうとうとさせながら、私の袖を引くユラちゃん。
「私は良いけど、ユラちゃんのお父さんは良いですか?」
「ああ、頼む。あと、俺はウロと呼んでくれて構わない。つうか、シノ。お前はまだ人前でもそう呼んでるのか?」
貫禄のある顔でこちらをニヤリと笑い、その後シノになんともいえない顔で尋ねる。
「別に良いでござろう? あだ名みたいなものだし、奉行所では親方と呼ぶ人もいるでござるから」
シノは肩をすくめて答える。
「あだ名ってお前なぁ、もう俺は辞めてるんだぞ」
「心はいつだって現役でござろう。それに、刑部さんは今でも慕われてるから協力者が多いのでござるよ」
ズズっとお茶を啜り、完全にマイペースなシノ。
「はぁ、おっとすまん。部屋は適当に使ってくれ、大きいだけが取り柄の屋敷だからな」
「分かりました、行こうユラちゃん」
「うん」
ユラちゃんは目を擦り、大きく頭を揺らしている。私はユラちゃんの手を引いて、適当な部屋に布団を敷く。
「すぅ…………すぅ」
その頃にはユラちゃんは倒れ込むように寝てしまっていた。私はユラちゃんに毛布を掛けて、私も横で床につく。
いつの間にか私の懐が暖かい。手を胸元にやると、さらさらと何かが流れる。
「……みゅぅ…………」
その声でユラちゃんがここまで入ってきてしまったと知り、私は軽く抱き締める。絶妙な暖かさで、私もすぐに、うとうとしてしまった。
「羨ましくなんてない、羨ましくなんて…………くぅっ!」
後ろの啜り泣く声を無視して、私は目を瞑った。
海の戦士A「最近、騎士様の様子がおかしいよな」
海の女戦士B「ルルレア様の件で鍛錬が厳しくなるのは分かるが……。ルルレア様の部屋に頻繁に出入りしてるからね」
海の戦士A「ルルレア様が去って、寂しいのだろうか?」
海の女戦士B「よし、ルルレア様が帰ってくるまでに、私たちが騎士様を支えられるように強くなろう!」
真面目な戦士たちの一幕。リコリコは発作中。




