光の魔法使いクララ・パドヴァールの放浪記 これを依存ではなく、共存といえるならば
今日は二本立てです。何故って?
結界とか、色んな理由を書いていくと、
二つに分裂したからな!
闘技場で大きな宴会が開かれ、私はあっちへこっちへと忙しなく動いていた。ウェイトレス姿で。
(あれ? 何で、私がこんなことを)
とか、思っても、酔っ払いには関係ない。
「嬢ちゃん、俺にも話を聞かせておくれ」
「何か食うかい? っても、おつまみ程度しかねぇけどな。はっはは」
「肴を寄越せぇ。うっ、喉に骨が…………」
賑やかだなぁ、と思いつつ、ひらりひらりと質問を躱す。
「すみません、良ければあちらに」
指差す方向にはルルレアが大人数に囲まれながら、私とリコリコさんの戦いを謳っていた。
「私の言葉に決起した魔法使いは騎士の油断を突き、喉元に突きつけた!」
正直、あの一声がなければ私が負けていたのだけど…………
「おぉ〜い、お嬢さん。こっちに来てくれ」
「ねえねえお姉さん、乙姫様のお客人なんでしょ? ベッドの使い心地どうだった?」
「おっ酒、おぅ酒、美味しいおっ酒」
私はまた酔っ払いたちの荒波に呑まれる。
*****
竜宮城に戻る頃には、既に光は落ちていた。
今日はよく分からない露天風呂の方に入っていく。体は既に清めた。
「ふぅ、蛸壺悪くないわね」
特殊な形状で、中は暗いからどうなんだろうと思ったけど、何故か安らぎを感じる。本当に何故か。
ぴと、と何かが触れた。
「クララちゃん、おめでとう。リコリコに勝つなんて凄いね」
その美しい声からルルレアだと分かった。
「…………単純な勝負なら私が負けてたわよ」
「それでも、諦めずにいたからこそよ」
むぅ、そう言われると嬉しい。お湯に沈んで、ぷくぷくと泡を吐く。
「ルルレア、真剣勝負だったんだから、後でリコリコさんに謝った方が良いと思うんだけど」
ふと、思い出したことを口にする。別に生死を賭けた勝負ではないのだ。ある意味、ルルレアのあの行動は無粋というものだろう。
「…………私は外に出たいの。外に出て、旅をして、色んなことを経験したい。
リコリコは外の話を聞かせてくれる度に思ったんだ。いつか、そんなことができればなって。
でもね、私は陸を歩けない。それは当たり前で、どうしようもなく受け止め難い。
魔法って、もっと夢を見させてくれるものだと思ってた。そして、君は私に夢を見させたんだよ」
淡々と、切実で、身を切り出すような語り。
「リコリコには悪いことしたって思ってる。私のワガママで勝手に離れようとしてるから。
だから、本当なら私は何もせずに見てるだけが良かったんだと思う。
でも、でもね。凄く不安だったんだ。あの場所が、下手したらクララは殺されて、私はずっとここに居続けなければならないんじゃないかって。
あり得ないとは思っても、口が…………心が叫んでたんだ」
事故で運が悪ければそんなことがあるかもしれないが、リコリコが誤ってそんなことになるほど技術は拙くないと思う。
不安というのも漠然としていて、返す言葉が見つからない。
「…………私は自分から出たわけじゃない。ただ流されて、ここまで来ただけだよ。
だから、ルルレアの気持ちを理解は出来ない。外の世界に今まで興味を持ってなかったから分からない」
ジジイに唐突に言い渡されて、逃げようとして、強引に始まった旅だ。目的も、はっきりした目標もない。
「ただ気ままに、楽しく旅したい。だって、私は辛いことが好きじゃないから。特に決めた意思もなく、環境に影響されただけだから」
魔法はジジイが教えてくれたから覚えただけだ。それが偶然上手くいって、この年で選ばれただけだ。
私には確固たる意志はないから、狂気じみた覚悟もないから。
「私はルルレアと一緒に旅をしたい」
結局、私はそんなに強くない。誰かが隣にいないと折れそうになる。
「じゃあ、私をさらってくれる?」
「そうだね、私は悪い魔法使いだから」
表情は互いに見えない。それでも、この手は重なり合った。
ルルレアが不安になった理由は、不穏な気配を感じていたから。それも、今までにないくらいの。
次話、旅立ち。その次に別の国に着く予定。ヒントは東




