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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第77話 勇者は立ち向かう

 僕は剣を構えて国王と対峙する。

 異形は倒したが、不用意に近付くような真似はしいない。

 国王の余裕は未だ健在である。

 まだ何らかの策を隠しているのだろう。


 その時、背後で殺気が膨れ上がった。

 察知した僕は振り向きざまに剣を振るう。


 刃が大質量の肉にぶつかった。

 血みどろになって骨を露出させた肉だ。

 それが僕の斬撃を受け止めている。


「――何」


 驚く間に、脇から別の肉が襲いかかってきた。

 尖った骨が槍のように放たれる。


 僕は横へ飛び退きながら蹴りで対抗した。

 骨の槍を砕きながら距離を取る。

 そこで奇襲の正体を知る。


 肉の正体は、首を失った近衛部隊であった。

 彼らは痙攣しながら立ち上がっている。


 断面から血を噴き上げながら、近衛部隊は互いに密着し始めた。

 次第に境目が乏しくなり、複雑に絡み合いながら一つに融合していく。


 ほどなくして六人の近衛部隊は、蠢く巨大な肉塊へと変貌した。

 骨の刃や触手、人間の手足が不規則に飛び出している。

 各所にある六つの頭部が、虚ろな顔で僕を見下ろしていた。


(何と言うことだ……)


 余りの光景に僕は言葉を失う。


 国王によると、近衛部隊は魔物の肉体を移植されたらしい。

 外見から人間から離れつつあったが、僕に首を斬られたことが最後のひと押しとなったようだ。

 彼らはもはや個の概念すら捨て去った化け物へと成り果ててしまった。


 肉塊の表面が膨れて破裂する。

 同時に骨の粒が飛散した。

 その先にはエマ達が立っていた。


 骨の粒は防御魔術に弾かれる。

 しかし、堅牢なはずの結界に亀裂が走っていた。

 骨の粒には魔力が含まれていたようだ。

 防御魔術をも削るほどの威力とは相当である。

 融合したことで能力が強化されたのだろう。


 呆然としているうちに、肉塊が暴れ出した。

 雪崩れ込むようにしてエマ達に向かっていく。


(あの質量……防御魔術では絶対に防げない)


 瞬時に察した僕は強化魔術を発動した。

 肉塊の進路上に先回りすると、渾身の斬撃を叩き込む。


 肉塊を切り裂き、束になった筋肉と骨を断つ。

 腐敗した臓器を潰した上で、触手を爆散させた。

 ただの一振りで肉塊の全長半ばまで破壊したが、そこまでだった。


 瞬時に再生を始めた肉塊は、傷口から高温の蒸気を噴出する。

 僕の身体は軽々と吹き飛ばされて、エマ達の張る防御魔術に激突した。

 上体を起こすと、肉塊が変わらず迫ってくるところだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公単独なら「誰かをかばう」必要が無かったですが、 今はかばうべき仲間がいるだけに、 主人公パーティ最大級のピンチですね。 [一言] こちらも、次話の展開を気にしつつ待ちます。
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