第57話 勇者は死園の発展に感嘆する
二日後の昼。
村の外れでは、数十人の盗賊が働いていた。
畑作業や料理の支度、家屋の掃除など、分担しながら彼らは動いている。
彼らはこの前の襲撃で生き残った者達だ。
大半はレナに敗北した者である。
労働力を確保するため、彼女は盗賊達を殺さずに無力化していたのだ。
故にほとんどの盗賊が軽傷であり、こうして働けるだけの状態に留まっている。
レナにはそれだけ余裕があった。
盗賊に負けることはないと思っていたが、あの人数を相手に手加減をして捕虜にできるとは驚きである。
やはり英雄の名は伊達ではない。
戦う姿をエマが目撃したそうだが、見事な立ち回りだったらしい。
一方で僕と戦った盗賊は、幹部を除いて残らず死んだ。
戦闘が終わった直後は生きている者もいたのだが、治療が間に合わずに命を落としていた。
投擲した武器に半身を切断されたり、大男の大剣が直撃していたのだ。
たとえ治療が間に合ったとしても、完治はできなかったろう。
今後のことを考えれば、ここで死ねるのは幸運かもしれない。
戦いの最中に逃亡した者の行方は知らない。
彼らを追うような真似は特にしなかった。
上手く逃げ延びたようだが、生憎とこの辺境に行き場などない。
少人数で村や街へ赴けば、返り討ちにあうだろう。
森で遭難すれば、魔物の餌になりかねない。
放っておいたところで、碌な末路は辿らないはずだ。
何にしても、労働力が新たに増えたのは嬉しいことである。
今回もレナの知恵に助けられた形となる。
やはり僕も彼女のやり方を学ばなければならない。
今度は手加減の仕方を教わるべきかもしれない。
昨日は村の周りの死体処理をした。
僕が暴れたせいで酷い状態になっていたからだ。
そして現在、盗賊達には村の発展に関する作業を任せている。
この二日間で一気に人口が増加した。
これだけの短期間で膨れ上がることは想定していなかったので、食糧を含めたあらゆる物資が足りない。
またレナに買い物へ行ってもらう手もあるが、長期的な目で見た場合、村の生産力を上げることも必要だろう。
話し合いの結果、こうして村の改良に努めている次第である。
いきなり劇的に変わることはないものの、地道な積み重ねはよりよい形へ移る布石となる。
盗賊達は早くも従順していた。
元々、無法者の集まりで、強き者には従う主義なのだ。
文句もあるのだろうが、それを態度に出す者はいない。
彼らには既に隷属魔術を施している。
もはや裏切れない身である。
今後は死園の労働力として尽力してもらうつもりだった。
盗賊達を監視していた僕はそこで踵を返す。
辿り着いたのは村の広場だ。
そこには縛り付けられた二人の盗賊幹部がいた。




