第47話 勇者は経緯を尋ねる
翌日の朝食後、僕は盗賊達を家屋に集めた。
彼らがなぜこの村を攻めてきたのかを尋ねるためだ。
テーブルを囲んで話し合いで、エマとマリーは不在である。
今回、あえて彼女達を外しておいた。
盗賊達に緊迫感を与えるためだ。
仲間を殺した張本人に注目してもらわねばならない。
そんな僕の狙い通り、彼らは一様に硬い表情をしていた。
場の空気は張り詰めている。
息を呑む音が聞こえてきそうなほどに静かだった。
盗賊達の視線は、僕の一挙一動を観察している。
彼らの気持ちはよく分かる。
僕の機嫌一つで命が掻き消されるかもしれないのだ。
敏感になってしまうのも仕方ない。
それくらいの心構えでいてくれた方が、円滑に話が進みそうなので都合が良い。
僕も余計な犠牲者は出したくなかった。
「さて、そろそろ始めようか」
静寂に満たされた中、僕はそう切り出す。
その途端、盗賊達はぎょっとした顔になった。
彼らの反応を意に介さず、僕は事の経緯を聞いていく。
盗賊達は恐る恐るといった調子で回答していった。
誰かが発言すれば、それに伴って別の誰かが補足するといった具合だ。
ここまでの準備もあってか、素直に答えてくれた。
おかげで事態の動きが鮮明に判明していく。
ある日、盗賊団のもとに王国から依頼が届いた。
曰く、辺境の村を襲い、暴走する墓守の元勇者を殺害してほしいという。
報酬は村の物資とそこに暮らす人間と言われたそうだ。
件の村で何があろうと国は看過しないと断言されたらしい。
早い話、盗賊の独占地域にできるというわけである。
その依頼があったのは、時期的にレナと僕が再会する前とのことだった。
失敗した時のことを視野に入れて、別の作戦を進めていたようだ。
僕の予想通り、この場の盗賊達は先遣隊であり、村の偵察が目的だった。
可能なら襲撃するように指示もされていたらしい。
明日には盗賊団の本隊がやってくるという。
先遣隊が帰還しない場合も、変わらず侵攻してくる手筈になっているのだ。
(王国か……)
経緯を聞いた僕は考え込む。
王国は入念に根回しをしていた。
立案者が違うだけかもしれないが、レナ以外にも僕を殺す策を始めていたのだ。
さすがに盗賊団で仕留めきれるとは考えていないと思う。
村の破壊や消耗が目的だろうか。
たとえ失敗したとしても、国にとって厄介な犯罪組織に損害を与えられるため、それでいいのかもしれない。
王国が盗賊団に持ち掛けた依頼は、僕達を潰し合わせるための策略であった。




