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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第44話 勇者は盗賊を狩る

 僕の接近に、最寄りの盗賊が怯える。

 しかし殺意で誤魔化すと、果敢に刺突を繰り出してきた。


 僕はそれを短剣で弾き、踏み込んで間合いを詰める。

 そこから至近距離から肘打ちを食らわせた。

 振り抜くように当てた結果、盗賊の顔面が破裂する。

 あまりの威力に耐えられなかったのだ。

 僕は顔の潰れた死体の腕を掴んで振り回し、迫る盗賊に叩き付けて撲殺する。


 休む間もなく、死角から矢が飛来した。

 僕は体を反転させると、振り向きざまに短剣を一閃する。

 斬撃は的確に矢を切断した。

 鏃が僕の頬を抉るも、気にする必要はない。


 僕は矢を放った盗賊に跳びかかり、押し倒しながら短剣で心臓を貫く。

 盗賊は必死に抵抗していたが、力勝負で僕に敵うはずがない。

 魔獣に挑む方がまだ勝機があったろう。


 短剣を引き抜いた僕は血を振り払う。

 深く息を吐うと、濃密な血の臭いが鼻腔を突き抜けた。

 眩みそうな臭いだが、もう嗅ぎ慣れている。

 僕は短剣を握り直して残る盗賊達へと疾走した。


 そこからさらに攻撃し続けて、盗賊の数を減らしていく。

 彼らは統率が取れていない。

 恐怖による動揺が原因だろう。

 おそらく普段の実力を出し切れていないが、僕には関係ない。


 実践とはそういうものだ。

 思い通りにいく方が珍しく、逆境の中で奮い立てるか否かが瀬戸際だった。

 彼らにはそれだけの力がなかった。

 だから同情はしない。

 僕はただ利用するのみである。


 無心になって戦ううちに、無事な盗賊は残り一人となっていた。

 杖を持つ魔術師だ。

 男は地面に雷撃を放つと、それを放射して僕のもとへ飛ばしてくる。


 僕は命中する寸前に跳躍して雷撃を躱した。

 その勢いで魔術師に飛び蹴りを浴びせる。


 派手に吹っ飛んだ魔術師が地面を転がった。

 うつ伏せになったまま起き上がってこない。

 見れば首がありえない角度に曲がっていた。


「…………」


 最後の一人の死を確かめた僕は武器を落とす。

 返り血まれの外套を脱ぎ捨てると、無言で辺りを見回した。


 盗賊の大半が死んでいる。

 しかし、一部の者は辛うじて生きていた。

 僕が意図的に手加減をしたのだ。


 彼らは村に搬送し、治療したのちに労働力にするつもりである。

 人材不足を少しでも補わなければならない。

 それと此度の襲撃について、詳しい話を聞きたかった。


 盗賊団は規模からして先遣隊だろう。

 やがて本隊が到来する可能性も十分にある。

 今のうちに対策を立てておきたかった。


 僕は結界に再び穴を作り、盗賊達を村の内部へ運び始めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第42話からここまで、主人公がこれでもかとばかりに殺戮を行う点。 [気になる点] 盗賊どもを強制労働させるとして、恐怖心だけで反逆を抑えられるかな? (単に恐怖を与えるだけではダメで、物理…
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