↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/87

第27話 勇者は動揺する

 僕は兵士と傭兵を一瞥する。

 彼らは黙って僕とレナを眺めていた。

 観客のつもりなのだろうか。

 少なくとも介入する気配は見られない。


 僕はレナに視線を戻すと彼女に確認する。


「本当に一人で戦うつもりなのか」


「彼らがいたところで意味がない。肉の盾にしても脆すぎる」


 レナは苦笑する。

 冗談ではなく本気で言っているようだ。


 その考えは正しい。

 兵士と傭兵が参戦しても、ただ犠牲が増えるだけだった。

 多少は僕の隙を作れるかもしれないが、それも誤差の範囲だろう。

 乱戦になって不確定な流れになる方が、レナにとっては面倒に違いない。


 レナは左右の手の間で剣を踊らせる。

 剣は流れるように回転し、或いは空中を閃く。

 まるで曲芸師のような動きだった。

 ああやって手に馴染ませているのだろう。


 レナは決まった武器を持たない主義だ。

 型が決まって弱点となり得るためと聞いたことがある。

 そのため不定期に武器を変えており、現在の装備も見覚えが無かった。

 目の前で繰り返される動きは、慣れない武器を扱うための儀式であった。


 やがて動きを止めたレナの目が細まる。

 視線の鋭さは、まるで肉食獣のようであった。


「君とは一度戦ってみたかった。存分に楽しもうじゃないか」


「僕は楽しくない」


「はは、そう言うと思ったよ」


 レナは軽く笑うも、目は瞬きもせずに僕を凝視している。

 既に臨戦態勢らしい。


「実を言うと、君を驚かせる用意をしているんだ」


 そう言ってレナは空いた手を伸ばす。

 指先の虚空に柄が出現した。

 彼女が柄を握って引くと、鞘に包まれた剣が現れる。

 全体が漆黒に包まれた禍々しい剣だった。

 柄と刃の境界線には真っ赤な宝珠がはめ込まれている。


 僕はその形状を目にして硬直した。

 強烈な頭痛を感じてふらつく。

 吐き気を覚えながらも、なんとか声を発する。


「それは……まさか」


「ああ、そのまさかだ。これは君の仲間だった"黒騎士"の魔剣だよ」


 レナは全貌を現した剣を構えてみせる。

 最初の剣と合わせて二刀流で戦うつもりらしい。


(いや、そんなことはどうでもいい)


 あれは間違いなく魔王討伐の仲間――"黒騎士"アイリの愛剣だ。

 巨人との死闘で紛失し、使い手である彼女も相討ちで死んだ。

 それだというのに、なぜかレナが所持している。


「その魔剣を、どこで手に入れた?」


「君達があの巨人を殺した地だよ。欲しくなって探したんだ。これだけの魔剣はどれだけの金を積もうと手に入らないからね」


 レナは嬉しそうに魔剣を振った。

 嗜虐的な視線が僕を捉える。


「返してほしいかい?」


「……ッ」


 刹那、僕はほぼ反射的に石畳を蹴る。

 そして返答代わりにレナへと跳びかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 不死の体を魔剣で斬られればどうなるか、だな
[気になる点] 魔剣……ですか。 しかも主人公の反応からして、主人公にとっても十二分に脅威となる武器らしい。 これは続きが気になる。 [一言] 今話もありがとうございます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。