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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第24話 勇者は再会する

 男の発言を聞いた僕は訝しむ。

 思わぬ内容だったので返答に悩む。

 暫し黙り込んだ末、僕は本心からの意見を口にした。


「話が読めないな。どうして決闘なんだ」


「それは私から説明しよう」


 向こうの集団から落ち着いた声がした。

 兵士の間から進み出してきたのは、真紅の鎧を纏う女だ。

 艶やかな銀の短髪に、凛と引き結ばれた唇。

 澄んだ眼差しが僕を射抜く。


「久しぶりだね」


「レナ……」


 僕は彼女の名を口にした。

 個人的に忘れもしない人物だ。

 彼女は魔王討伐の英雄に選ばれながらも、それを辞退した唯一の人物である。


 レナ・ウォルニア。

 日頃から騎士を自称しているが、どこの国にも所属しない傭兵だ。

 魔術と剣術の複合技能を得意としており、対人戦闘において並ぶ者はいないとされる。

 数々の戦場において勝利を導いてきた英雄であった。


 そんなレナは魔王討伐を断り、僕達が死闘を展開する間も傭兵業を続けた。

 別に彼女を責めるつもりはない。

 魔王討伐は強制されて行うものではないし、かなり危険な旅路だ。

 それでも僕としては接しづらい人物には違いなかった。


 真紅の騎士レナは優雅な動作で立ち止まると、飄々とした調子で話しかけてくる。


「君が暴走したと聞いて派遣されたけど、思ったより冷静じゃないか」


「期待に添えなくて残念だよ」


「うんうん。残念だ」


 皮肉を返すも、レナの微笑は崩れない。

 彼女は良くも悪くも他人に左右されない性格だった。

 基本的に空気を読めない――否、読まない節がある。

 僕は正直そこまで親しくないが、まるで旧知の中であるかのように接してくる。


 レナは底知れない笑みを深める。


「それにしても、軽口を叩く余裕があるとはね。あの頃より人間らしくなったようだ」


 あの頃とは、魔王討伐直後の時期のことだろう。

 魔族の蔓延る領域を抜けて帰還した僕は、レナとも会話をした。

 記憶が曖昧なので内容はよく憶えていないが、たぶん大したことは話していないはずだ。


 僕は嬉しそうなレナを一瞥し、声音を落として彼女に尋ねる。


「世間話をしに来たわけじゃない。なぜ決闘を提案するのか教えてくれないか」


「ああ、いいとも」


 素直に頷いたレナは事情を説明し始めた。

 なんでも現在の彼女は、領主に雇われているらしい。

 僕の一連の殺戮を受けて、領主が指名したそうだ。


 辞退したとは言え、レナは魔王討伐に選ばれるほどの英雄である。

 気狂い勇者の相手には最適だと考えたのだろう。


 レナが依頼されたのは、被害の収束であった。

 すなわち僕を殺して、これ以上の被害を食い止めるのが仕事だった。

 依頼を受けたレナはどういうわけか決闘形式を計画し、現在に至るという。

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