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第2話:ピカピカ戦法、お披露目

翌日、俺は自信満々で冒険者ギルドの扉を蹴るように開けた。


「おはようございまーす! 最も簡単なゴブリン討伐依頼、一つくださーい!」


俺の威勢のいい声に、朝から酒を飲んでいた屈強な冒険者たちがギシッと顔を向ける。


「なんだ、ハズレ王子か」

「ぎゃはは! ゴブリンを綺麗にしてやるのかよ!」


嘲笑がギルドに響き渡る。だが、今日の俺は違う。受付のお姉さん、エリスさんの元へ向かう。彼女はいつも通りの疲れた顔で俺を見た。


「相川さん…また無茶する気ですか? あなたのスキルリストじゃ、ゴブリン5匹でも危険ですよ」

「見ててくださいって。俺、新戦法を編み出したんで」


俺はニヤリと笑い、一番報酬の安い「ゴブリンの洞窟」の討伐依頼書を受け取った。誰もやりたがらない、ジメジメして岩だらけの面倒なダンジョンだ。…そう、岩だらけ。俺にとっては最高のステージだ。


洞窟の入り口に立ち、俺は深呼吸した。腰には安物の短剣、そして手には魔石で灯るランタン。これが俺の全装備だ。


「キシャシャシャ!」


奥の暗がりから、下卑た笑い声と共に5匹のゴブリンが姿を現した。手には錆びた棍棒。俺がただの非力な人間だと見抜き、完全に舐めきっている。


「上等だ、お前ら。俺の記念すべき新戦法の最初の餌食になれ!」


俺はランタンを高く掲げた。ゴブリンたちが、獲物を見つけた捕食者の目で一斉に駆け出してくる! その瞬間、俺はスキルを発動させた。


「―――世界よ、輝け!【半径10メートルの石をピカピカに磨き上げる】!」


昨日、寝る前にもう一回ガチャを引いたら、同じスキルの上位互換が出て範囲が広がっていたのは幸運だった。


次の瞬間、世界から音が消えた。

俺を中心に、洞窟の床、壁、天井、そこに存在する大小すべての石という石が、一瞬にして完璧な鏡面へと変貌したのだ。掲げたランタンの灯りが、数万、数億の鏡に乱反射し、無限の光となって洞窟内を駆け巡る。


「ギ、ギギィィィィアアアアア!?」


ゴブリンたちの絶叫が響き渡った。網膜を焼き尽くすほどの純粋な光の暴力。それは、もはや照明ではなく、指向性を持った閃光兵器だった。


目を潰されたゴブリンたちは方向感覚を失い、ツルッツルに磨かれた床に足を取られて派手に転倒。仲間同士でぶつかり、壁に頭を打ち付けている。俺はというと、スキル発動と同時に【まぶたを1.5倍厚くする】という、これまた昔手に入れた地味スキルで光を完全にシャットアウトしていた。


混乱の極みにあるゴブリンたちの元へ、俺はゆっくりと歩み寄る。戦闘は、もはや作業だった。


討伐を終え、俺は改めて洞窟内を見渡した。まるで万華鏡の中にいるようだ。その時、壁の一点が、他と違う光り方をしていることに気づいた。磨き上げたことで、岩のテクスチャに隠されていた不自然な〝継ぎ目〟が、鏡面の反射によってくっきりと浮かび上がっていたのだ。


「なんだこれ…隠し扉?」


壁の一部を押してみると、ゴゴゴ…と重い音を立てて、隠された通路が姿を現した。その奥からは、今まで感じたことのない濃密な魔力が漏れ出している。


ハズレスキルだと思っていた【石磨き】が、ただ敵を倒すだけでなく、誰も見つけられなかったダンジョンの秘密まで暴いてしまった。


「面白くなってきたじゃないか…!」


ハズレスキルしか出ないスキルガチャ。だが、その組み合わせは無限大。俺の冒険は、今、本当の意味で始まったのだ。

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