第一話「トーキョー」
第一話「トーキョー」
…あーー…こういう時に何と言えばいいのかよくわからないが、とにかく僕にはいくつか疑問がある。
まず、僕はいったい誰だ?
自分が何者なのかどこから来たのか全く分からない。気づけばここにいた。そう、この意味不明な街に…
そしてこれが二つ目の疑問、いったいここはどこなんだ?自分の今の境遇は例えるなら…卵から孵化したひな鳥が外界を始めて見たら、巣ではなく、道の真ん中だったような……そう…
【一寸先は闇】のような状況だ。
だが…何よりもわけがわからないのは…
一体…ここで暮らしている生物は何なんだ!!人間からは遠く離れた姿をしている!その上、皆が皆違う姿形体格をしているではないか!!中には、僕の姿を見つけ次第、食いに襲ってきそうな狂暴な見た目をした化け物もいる。ああ……怖いよ…正直この街から逃げたいよ…
なあ、誰か教えてくれよ!この街からの脱出方法を!!
今、僕は路地のごみ箱の陰から多くの化け物が、まるで人間みたいに生活を営んでいる謎の風景をかれこれ数時間は眺めている。最初のあたりは、これは悪い夢だと信じてやまなかった。だが、1時間、2時間と時間が経過するにつれて、僕は、今見ている光景、僕がいる状況は夢などではないと気づかざるを得なくなっていった。
下手に声を出したら…きっと奴らは僕目がけて襲い掛かってくるだろう!
そう思い、僕は、ずっと出そうになる声を押し殺し、息をひそめていたわけだった。
その時だった。
ードスッ…ドスッ…
「!?」
僕の後ろから何か恐ろしい足音が聞こえ始めた。恐怖のあまり、体ががくがくふるえていたが、恐る恐る後ろを振り向いた。
ードスッ、ドスッ、ドスッ
明らかに音が大きくなっている。そして暗闇の奥に何か赤く光る眼が見え出した。その目の高さからすると、恐らく、3メートルはある化け物だろう。
(ああ…僕、死ぬのか…)
もうそう思えてきた。走馬灯は、頭に残っている思い出もないから特にないが、その巨大な化け物の足音が、僕には死の足音に聞こえる。
そして…
ソイツは、姿を現すのだった。
第一話完




