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魔珠  作者: 千月志保
第10章 魔珠の里
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製造室(4)

「そうだよ。だって、そっくりだもん」

 メノウも加勢する。

 疑いようもなかった。それに嘘をつく理由もない。

「驚いたでしょ」

 つかつかと美しい姿勢でゆっくりとコウが歩いていった。いちばん手前のカプセルの前で止まったのを見てスイとメノウも後に続く。三人はカプセルを囲んだ。

「スイ、どのようにして魔珠を生成するのか、メノウから聞いたかしら?」

「はい」

 スイはカプセルの中で眠っている自分と同じ顔を見た。

「適性のある者とそのクローンを〈器〉にして魔珠を生成するのだと」

「そう」

 コウも悲しげな表情に戻ってそっとカプセルを撫でた。

「レヴィリン博士のデモンストレーションのとおり、あなたはとても優れた適性を持っていた。だから〈器〉として選ばれた」

 コウは一度きゅっと口を結んでから続けた。

「〈器〉として選ばれたとき、あなたは首が据わったばかりの赤子だった。確かにあなたと過ごした時間はまだそんなに長くはなかったけど、あなたのことは愛しく思っていたし、私にとってもうかけがえのない存在になっていた。そんなあなたを一生この中に閉じ込めておくなんて私にはできなかった。だからクローンを一体多く作成して、あなたを売人で国外に出ることのできる兄のヘキに託したの」

「じゃあスイと僕は……」

「従兄弟ということになるわね」

 二人は顔を見合わせた。

 弟のように思ったことは何度もあるが、まさか本当に血がつながっていたなんて。だが、それが執拗にメノウを守ろうとする理由の一つなのかもしれない。

「ヘキはリザレスに行ったとき、信頼できるセイラムさんにあなたをお願いした。子どものいなかったセイラムご夫妻は快くあなたを引き取ってくださった」

「そんなこと忍びの者にばれないようにできるの?」

 ヘキが里から人を連れ出せば、必ず忍びの者の知るところとなるはず。いったいどうやってその目をかいくぐってセイラムのところまで辿り着いたのか。

「スイの父親は忍びなの」

 これまた大層な血筋だ。スイとメノウは苦笑した。

「とても仲間たちに慕われていたみたいで、みんな同情してくれて見て見ぬ振りを通してくれた。それで五、六年は隠し通せたのだけど、長老会の知るところになってしまって」

 強ばった顔になった二人に対し、コウは穏やかに笑ったままだった。

「でもね、あなたがセイラムさんの仕事に興味を示していてヘキにもなついている、それにまだ連れて行き始めたばかりのメノウをとりわけかわいがっているという報告を受けて、長老会はあなたの成長を静観することにしたの。セイラムさんには他に子どもがいなかったから、信頼できるセイラムさんの育ててくれたあなたが担当官になってくれた方が、他の誰かになってもらうよりも里には都合がいいのではないかって」

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