表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔珠  作者: 千月志保
第9章 駆け引き
87/134

カードを切る時(1)

 二週間後。思っていたよりも早くその時は来た。

「メノウ様がお見えになっています」

 帰宅すると、シェリスにそう告げられた。スイはいつもどおり玄関の横の小さな応接室に入った。

「連絡してくれれば港まで迎えに行ったのに」

「あまり用意周到にされたら困るからね。不意討ちだよ」

 やはりメノウはやる気だ。情報の伝え方次第では大変な事態になってしまうかもしれない。動揺を見せないように余裕の表情で微笑んで返しながら気を引き締める。交渉を少しでも有利に持っていくための手段だと分かっていても、メノウを偽りの表情で誘導していくのは気分のいいものではない。

 なぜこんな事態になってしまったのか。

 研究所の動きに気づけなかったことが悔やまれる。

「私の部屋で話す? それとも取引の部屋?」

「取引の部屋で」

 即答だった。スイは心の中でため息をつきながらメノウを案内した。

「どうぞ」

 扉を開けて中に入ると、スイはいつもどおり訊ねた。

「お茶でいいか?」

「うん」

 茶の用意をしながら、スイはいつもどおり雑談を始めた。

「里には帰ったのか?」

「帰ったよ。偉い人たちと会っていろいろ話すことあったし」

 つまりメノウは里の幹部からリザレスへの対応の指示を受けているということだ。スイは話題をそらした。

「ヘキ様には会ったか?」

「うん。会った」

「元気にしておられる?」

「うん。元気そうだった」

 メノウもいつもどおり振る舞っているつもりらしかったが、返答が短くそっけない。余計なことを言わないように注意しているように見える。

 トレイにポットとカップを載せてそのままテーブルに置く。ポットから茶を注いでカップを並べると、スイも席についた。

「じゃあ仕入れた情報を聞かせてもらおうかな」

 スイはメノウと会った翌日、研究所の書庫にレヴィリンの論文を調べに行ったことを話した。書庫でレヴィリンに声をかけられ、研究室に招かれたことまで茶を飲みながら話した。メノウもいつもなら話を始める前から一口飲み出すのに、今日は一切手をつけない。警戒されているのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ