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魔珠  作者: 千月志保
第7章 リザレス魔術研究所
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書庫(3)

 メノウの言っていた魔珠のエネルギーをより効率よく抽出する方法のことだろうか。ハウルが連れ去れたということは、スイの動きを警戒しているということだ。兵器開発の根拠になり得る技術の存在をスイに明かしてしまうつもりなのだろうか。

 レヴィリンと和やかに会話を交わしながら廊下を歩いている間、いろいろな憶測が頭の中をよぎっては消えていた。できるだけ多くの可能性を考えてこれから起こる事態に備える。

 研究所の扉には鍵穴があったが、レヴィリンは手をかざして魔力で扉を開けた。よくある鍵と魔力、どちらで開閉しても構わないタイプの扉だ。鍵を持っていなくても魔力でロックすれば、その魔力を認識してロックを解除することができる。

「そこにかけたまえ」

 座り心地の良さそうなソファを示しながら、レヴィリンが言った。自身はその奥、窓際にある木製の机に持っていた本を置いて、代わりに両サイドにある本棚から厚みのある本を一冊取ってスイの正面に座った。

「では、早速だが」

 レヴィリンは鋭い眼差しでスイの黒い瞳をのぞき込んだ。

「外務室の報告では、兵器が見つかったという事実しか伝えてもらえなくてね。私は兵器の外観や形状がどのようなものだったか興味があるのだよ」

 魔珠を研究する宮廷魔術師ならば当然だ。隣国がどのような技術を持っているのか、それは重要な情報だ。スイはできる限りの言葉を尽くして兵器の形や大きさ、球の中の美しい光の運動やその速度、色彩、明るさなどを思い出しながら描写した。レヴィリンは深く頷きながらスイの話を聞いていた。一通り話が終わって初めてレヴィリンは口を開いた。

「だいたい私の予想していたとおりの外観だ。大きさは水晶玉程度か。なるほど」

 しばらく何かを考えていたようだったが、スイの姿が目に映り、現実に引き戻された。

「いや。大変興味深い話だった。感謝するよ」

「お役に立てたようでしたら幸いです」

 スイは穏やかな笑顔を浮かべる。

「では、私からもエネルギー抽出の話をするとしようか」

 レヴィリンは前のめりになっていた姿勢を起こし、ソファに座り直した。

「こんな話は君は耳にたこができるほど聞いているだろうが、まずは基本だ。魔珠は魔法水に溶かしてエネルギーを抽出する。魔珠を魔法水に入れると、ゆっくりとその成分が溶け出し、我々の魔力の元となるエネルギーが空気中に放出される。魔法を使うとき、我々はそのエネルギーを集めて魔力に変えて使っているわけだ」

 スイは頷いた。ここまでは学校の授業でも習うことだ。

「そして、濃度の高い魔法水で魔珠を溶解すると、放出されるエネルギー量が大きくなる。そこでリザレスでは可能な限り高い濃度の魔法水で魔珠を溶解し、一つの魔珠からできるだけ多くのエネルギーを抽出する方法が実用化されている」

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