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魔珠  作者: 千月志保
第5章 魔術兵器
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脱出(3)

「持ち帰らないと」

 メノウは兵器に近づいた。よく見ると、魔法陣の周りに結界が張られている。

「解除しないと触れられないみたいだね」

 スイは辺りを見回した。壁に何やらスイッチのようなものがついている。

「これがロックになっているようだが」

 メノウもスイッチを見る。

「鍵とかで開けるタイプじゃなくて魔力を注ぎ込んで開けるタイプだね」

「おそらくこれに触れることを許された人物の魔力だけが登録されていて、他の人の魔力を注いでも反応しないというやつだろうな」

「残念。証拠は持ち帰れないか」

 この目で見たというだけでも収穫だが、できれば証拠品を没収していきたかった。

「いや。待て」

 スイは首の後ろの紐を解き、右肩からローブを滑らせ、右腕を抜いた。はだけた右胸に左手を置き、目を閉じる。

「スイ?」

 苦しそうな呻き声とともに右胸にくっきりと青白い光の筋が浮かび上がる。右手を壁につけて倒れそうになる体を支え、傷跡から放出される魔力を集める。呪いがまだ有効である以上、傷跡に刻み込まれた魔力は。

 スイはゆっくりと胸から手を放し、スイッチに近づけた。長い指に先ほどと同じ青白い光が点る。背後で結界が消滅し、魔法陣が収縮する。

「迂闊でしたね、マーラル王。私に呪いを施した報いですよ」

 人の悪い笑いを浮かべながら、スイはその場にくずおれた。呪術はその使用者の魔力によってその場所に固定されるため、考えるのもおぞましいことだが、スイの傷跡にはヌビスの魔力が潜んでいる。この計画の中心人物であるヌビスの魔力がこのスイッチに登録されていないはずはない。そう考えての行動だ。

「よく思いついたね。大丈夫?」

 スイの体を心配しながら、メノウが訊くと、スイは荒くなった呼吸を整えながら笑顔で返した。

「それよりも兵器を」

「分かった」

 メノウはスイから離れ、すっと手を伸ばして美しく輝く魔珠を取った。

「よし、行こう」

 まだ右胸を押さえていたスイが体を起こし、走り出した。

「大丈夫なの?」

 魔珠を抱えたまま追いかけてきたメノウはすぐに追いついてスイの様子をうかがう。立ち上がることもままならないくらい苦しそうにしていたのに。

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