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魔珠  作者: 千月志保
第4章 マーラル魔術研究所
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第九実験準備室(1)

 メノウが心配そうに顔をのぞき込んでいる。うなされていたのだろうか。何か悪い夢を見ていたような気がする。

「気がついた?」

 手足を縛られたまま床に転がされていた。手首を後ろで縛られているため、身動きが取りにくい。体の状態を確かめながらゆっくりと起き上がる。倒れたときに打ったのだろう。所々に少し鈍い痛みを感じないこともないが、これからの行動に支障を来すような異状はないようだ。

「ここがどこか分かるか?」

 意識がはっきりとしたところで問うてみる。

「魔術研究所の地下二階みたい」

「そんな場所があったのか」

 メノウが送ってきてくれた見取り図には載っていなかった。地下のさらにしたにももうワンフロアあったということか。これはさすがに知らなかった。

「第九実験準備室って書いてあった」

 スイは辺りを見回した。箱がいくつも積み重なっていた。棚もある。実験に使用する器材や薬品などが入っているのだろう。実験道具の倉庫といった感じだ。ただ、木製の扉はどっしりと重厚な感じだ。マーラルでは処刑の対象となった政治犯などを魔術の実験に利用するという報告を見たことがある。おそらくこの部屋は物だけでなく、そういった人を閉じ込めておく部屋でもあるのだろう。

「マーラル王は僕を実験に連れて行こうと思って来たらしい。そこに運悪く君は出くわしたんだ」

 マーラル王ヌビスは才能に恵まれた大魔術師でもある。

 魔珠の力が漂っているこの世界では、誰でもその力を集めて火をつけたり、明かりを点したりすることができる。そういったわずかな魔力なら誰でも訳なく集めることができる。

 しかし、例えば攻撃魔法など戦闘に使う魔法や治癒魔法などには大量の魔力が必要となる。それだけの魔力を短時間で集めることができるかどうかは完全にその人の技量次第である。さらに、集めた魔力を効率よく使えるかどうかというのも大切だ。これらには素質の上に鍛錬が必要となる。

 ヌビスはその全てを持っている。生まれながらにして素質に恵まれ、幼い頃から魔術に興味を持ち、研究所から師を招き、知識を貪欲に蓄積し、その技を磨いてきた。いまや右に出る魔術師は研究所にもいないのではないかと言われるほどの実力だ。

「そして、私も道連れにされたわけか」

 スイは苦笑した。まさかあの場所にヌビスが現れるとは思っていなかった。

「実験は明日の夜に変更だって言ってた。道連れというか、メインディッシュはむしろ君の方みたいなかんじだったけど」

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