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魔珠  作者: 千月志保
第3章 傷痕
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スイ宅訪問

「突然申し訳ございません。近くを通ったので、久しぶりに話がしたくなって寄ってみたんです」

 ソファに座らせてもらって落ち着いて、先ほど言おうとしていたことをようやく言えた。

「さようでございましたか」

 シェリスはにこやかに頷いたが、急にその表情に陰りが見えた。

「実は」

 キリトはシェリスの方を見た。とても不安そうな目をしていたに違いない。だが、他の表情を浮かべることはできなかった。


 その前日、スイが帰ってきたのは、夕食の少し前だった。長旅のせいか疲れている様子だった。セイラムは仕事で二日前から家を空けていた。

「おかえりなさい、スイ」

 荷物を部屋に置いてすぐに帰りを知らせようとクレアの部屋に向かったが、途中の階段付近で逆に出迎えられた。シェリスから到着したことを聞いて来てくれたのだろう。後からシェリスも追いついた。

「もうすぐ夕食のお時間ですが……」

 シェリスがスイの顔をちらっと見ると、クレアはすぐに察してスイに訊いた。

「さすがに少し疲れているみたいね。ひと休みしてからにする?」

「いえ。いつもどおりで構いません」

 スイは完璧な笑顔を作ってみせた。

「疲れて見えますか? 家に帰ってほっとしてしまって。久しぶりなのですから、もっとしゃんとしなくてはいけませんね」

「いいのよ。帰ってきたときくらい」

 クレアもスイの笑顔を見て笑った。


「夕食を食べ終わってからもしばらくマーラルのことなどお二人でお茶を飲みながら雑談をされていました」

 シェリスは続けた。

「奥様の方がそろそろ部屋に戻らないかと言って席を立たれました。お帰りになったばかりのスイ様に早く休んでいただきたかったのでしょう。スイ様はお茶をもう一杯楽しんでからにするとおっしゃったので、奥様は先に退室されました。ところが、奥様が退室されると、すぐに顔色がみるみる悪くなられまして」


「スイ様も今日は早めにお休みになられた方がよろしいのではないですか?」

 まだカップに茶が残っていたが、心配になったシェリスは声をかけずにはいられなかった。

「そうだな。そうしよう」

 スイは穏やかな微笑みを浮かべたが、顔色までは変えられなかった。

 残りの茶を五分ほどたっぷりと時間を使って飲んで、スイは退室した。

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