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魔珠  作者: 千月志保
第3章 傷痕
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交換研修

「俺、フローラに行って政権が代わったあと、国がどうなっているのか見てみたいんだ。お前は?」

 夏休み前、寮で同じ部屋だった二人は、消灯してベッドにもぐったあとも雑談をしていた。キリトが問うと、スイは答えた。

「私はマーラルに行く」

「マーラル? お前、なかなかチャレンジャーだな」

 マーラルは当時からヌビスという王が治めていたが、その前王辺りから独裁色が強くなり、公開できない情報が増えたため、研修は全て城の敷地内で行われるようになっていた。常に監視がつき、研修生は許可を得た場所以外を回ることは不可能だった。ちょっとでも監視の目に不審に映るような真似をすれば、どうなるか分からない。

「このような機会にでもないと行けないだろう」

「ま、確かにそれはそうだな」

 交換研修なら各国との合意で行われている制度なので、入国の許可が得られる上、行動の自由はなくても、個人で入国するよりもずっと身の安全は保障される。合意している以上、本人に過失がない限り、研修生は無事に帰さないわけにはいかない。

「気をつけて行ってこいよ」

「ああ。お前もな」

 いつもの笑顔で別れる。一人になってキリトは急に不安になる。なぜだか分からないのだが、もやもやする。

 明日から夏休み。キリトは二日後にフローラに出発することになっていた。そして、スイはその一週間後。ちょうどキリトと入れ違いになるようにリザレスを離れることになっていた。

 果たしてキリトの不安は的中する。


 何だろう。この不安は。

 スイは昨日の夕方頃帰ってきているはず。なぜだか嫌な予感ばかりがして、いても立ってもいられなくなった。

 そんなに気になるなら顔を見に行けばいいじゃないか。

 キリトは時計を見た。午前十時。もう訪ねていっても迷惑な時間ではない。

「キリト・クラウスと申します」

 スイに会いたいと続ける前に扉が開いた。

「キリト様。スイ様のご学友でいらっしゃいますね」

 白髪の男性が迎えてくれる。

「カーマイン家の執事をしておりますシェリスと申します。こちらへどうぞ」

 案内されるまま、玄関のすぐ左手の部屋に入った。あまり広い部屋ではない。ソファとテーブルと本棚。おそらく応接室だろう。

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