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魔珠  作者: 千月志保
第11章 迎撃準備
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感謝(2)

「そうか」

 セイラムとクレアはまだ緊張した面持ちのままだ。スイは穏やかな笑みを浮かべた。

「私を産んでくださったこと、そして私をヘキ様に託してくださったことに感謝しました。コウさんのおかげで私は今、幸せに暮らしていると伝えると喜んでくださいました」

 セイラムははっとする。クレアは口元を押さえて涙を浮かべた。

「父上と母上にも私の希望どおりに育てていただいて感謝しています。コウさんにもお伝えしたのですが、素晴らしい父親と母親が二人もいて、私は本当に幸せです」

 セイラムが一瞬ほっとしたような表情をしたが、すぐに申し訳なさそうに切り出した。

「こんな日が来るとは思っていなかった。全く想定していなかったんだ。お前のことは一生私たちの子どもとして育てていくつもりだった。実際、本当の子どもだと思って育てていた。黙っていたこと、お前は快く思ってはいないだろうな」

 言われてスイの方が戸惑う。

「真実を知り、産みの親とお話ができて良かったとは思っていますが、今まで黙っていらしたことについて特別な感情は持っていません」

 すっとひと息ついてスイは頭を下げた。

「父上、母上、ここまで育てていただいてありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします」

 クレアの嗚咽が聞こえた。セイラムはにっこり微笑んだ。

「こちらこそよろしく。お前は私たちの子どもだ。今までもこれからもずっと」

「ありがとう、スイ」

 クレアが顔を上げて言う。スイは笑顔で頷いた。

「ところで、早速なのですが、父上」

 スイは持ってきていた剣を取り出す。

「忙しないな」

 セイラムが苦笑する。スイは構わず鞘から剣を抜いた。父親なのだから、ここは遠慮しない。

「これを見ていただこうと思って」

「失礼」

 セイラムが真剣な表情になって剣を見る。

「里の者がこのような刃の短剣を携帯しているのを見たような気がするが、これは里で手に入れたものか?」

 スイは青竜の刃が魔珠を含む合金からできていて、魔力を吸収、蓄積、放出することができる特殊な剣であり、忍びの者たちが使う短剣用に開発された刃なのだと説明する。

「里の長老から直接いただきました」

「なるほど」

 セイラムは早速自身の手で握って感覚を確かめてみる。

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