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俺様ヒーロー  作者: 真山羊野
本編
9/45

MISSION9 変装ヒーロー変身麒麟

「あわわわわわわ」


どうしよう。どうしようどうしよう!

ある雨上がりの日、俺はとうとう携帯を壊してしまった


水溜まりにうっかりポチャンしてショートしたらしくウンともスンとも言わない


「買い換えなきゃダメなんだよね…」


仕方無く携帯を買い換える事にした




次の日の休日、携帯ショップに来た俺に受付のお姉さんが声をかけて来た


「いらっしゃいませぇー。お探しの携帯はございますか―?」


「うーん。黄色で何かお勧めとかありますか?」


俺が聞くとお姉さんがニッコリ笑って言う


「でしたらーこちらはどうでしょうか?」


差し出されたのはまさかのタッチパネルのスマートフォン。しかも最新機種だし値段も結構しそう…

これには俺もちょっと悩んだ


「こちらはヒーローモデルでして使い易さも抜群なんですよ」


ヒーロー?厨二感漂う名前

…まあ、良い機会だし流行にでも乗って見ようかな

値段は痛手だけど使いやすさで選べば少しは我慢出来そうだ


「いくらですか?」


「契約料その他込みでヒーローになる契約をして頂ける場合無料になります」


ちょ、お姉さん…笑顔で痛々しいよ

ドッキリ?…でもしたいの?


でも今タダになるなら万々歳だ

少しぐらい怪しくてもつぎのコミケ資金が温存できるなら…


「じゃあお願いします」


安全性と薄くて高い本なら俺は薄くて高い本を取る





本当にタダだったよ―

俺は町中を歩きながら苦笑いする


そう言えばヒーローって言ったら今年の文化祭で青龍に助けて貰ったんだよね

うっかりレイヤー魂に火が付いて本気でコスプレしたら間違えられたのは災難だったけど


そう考えてたら新しく買った携帯が鳴った


「はい、黄瀬 鈴です」


(はじめまして!)


おうわっ!?誰!?


(私の名前は稲穂!今から君のナビゲーションを勤めます、よろしくどうぞ!)


「はあ…黄瀬です。宜しくお願いします…」


勢いに押されてついつい普通に返事をしてしまった


(さっそくだけど近くに人目に付かない路地とかあるかい?)


え?えーと…


「ビルの隙間なら」


(じゃあその間に隠れて)


何故に?!

でも取りあえず隠れる


(多分画面にヒーローアイコンがあるからそれを押しすと撮影画面にいくのだよ。そしたら好きな物を撮影!続きはそのあとで!)


ブツッと音がして電話が切れた

画面を見ると確かに…アイコンがある


「なんかのいたずら…?」


首を傾げてふと隙間から大通りを覗くと…


「!?」


青龍がいた

あれは…朱雀!?白虎も、あれは鳳凰だし風神も!ってことは…やっぱり!玄武もいる!


噂のヒーローが闘っていたのは前に俺を襲った…そう、東だ

そこでようやく確信する


…これは…コスプレじゃなくて本当(マジ)


「やるしかない…んだよね?」


俺はアイコンをタッチした

撮影して下さいと文字が現れる


何を…あ、そうだ


俺は鞄の中からカメラを取り出して撮影した


(きたきたきたぁっ!改めましてナビゲーション稲穂!宜しくッ!)


稲穂のハイテンションな声で自分の服を見ると彼らとはちょっと違った服になっている

例えるならば軍服みたいなデザイン…だ

稲穂の声は腰のトランシーバーから聞こえた


(じゃあ手短に説明するのだよ。普通は腰のカメラで撮影した物が実体化するんだけど君にはもう一つ、特殊能力があって人を撮影すると服装や得意技、能力がコピーできるから有効活用してね!)


「なるほど…レイヤー魂に火が付くね」


俺らしくて良いんじゃないかな?


(それで名前なんだけともう皆仇名名乗ってるから好きな名前でいいですよ―)


好きな…?

うーん…黄瀬、鈴…きせ、りん…きせりん…キリン?

キリン…きりん…よし!


(決まったみたいだね!じゃあレディゴーッ!)


俺は声に押される様にして地面を蹴った


「うっひゃぁぁあっ!?」


そしたら思いの外、軽々ビルを超えたものだから変な声で叫ぶ。慌てて身体を動かして着地地点を東の前にした


「「「「「「「はあ!?」」」」」」」


敵味方全員でハモるって仲良いね…


「はじめまして。俺は麒麟!色は黄色!」


まあとにかく自己紹介をして東に向き直った

極力笑顔にしてしっかり見据える


「あの時は世話になったね。借りは返さないと」


カメラを突き付けて俺は言う


「勝負しよう!」


東がポカーンとしたのがわかる

俺は青龍の笑い方をちょっと真似た


「まあ、強制参加だけど」


それから全身タイツの群れに突っ込んでカメラを構える


変身(コスプレ)『全身タイツ』」


シャッターを押して同じ姿になって高らかに声を上げた


「麒麟はどーれだっ♪」


律義にも敵だったけど全身タイツ全員が同じポーズで一時停止する


「……はぁ……?」


東が一生懸命状況を把握しようとしてるけど無茶ってものだ


コッソリ東に近付く


「ってか仮面外しゃあ判るんじゃ…」


青龍ソレ言っちゃダメだって!


「結果発表―!答えは…」


またカメラを取り出す


「俺でしたっ」


同時に東を撮影

うーん…これは『東モード』?


「なっ!?パクるな!」


「なっ!?パクるな!」


「真似するな!」


「真似するな!」


「いい加減にしろ!」


「いい加減にしろ!」


「だからぁああっ!辞めろって」


「だからぁああっ!辞めろって」


「オウムかお前」


「オウムかお前」


「……」


「……」


古典的だけど古き良き嫌がらせだよねコレ

こんな使い方もあるんだな


俺はコッソリカメラの液晶画面で東の能力を確認する


え?以外

一応攻撃力とか高い


ん…?武器は日本刀?

へー。流派は…了解!


「ねえ!朱雀」


後ろを振り返って朱雀に声をかける。それと同時に変身を解いた

慣れたら結構便利だ


「ん?何かな?」


「日本刀ない?」


「あるよ。某戦国ゲームとか某刀少年漫画とか某擬人化漫画とか某ゲームとか某ゲームとかetc…」


「ふ、普通ので…」


朱雀は頷いた


「じゃあ転送『日本刀』世界の名刀シリーズ『ムラマサ』とかいっちゃう?」


妖刀―ッッッッッ!!!!!!?

普通じゃないよソレ!!?


普通のレベルが違うよねぇ!?


「あ、りがとう…?」


使うのが恐ろしい

けど、今はこれしかないから鞘から抜き放って切っ先を東に向けた

とあるゲームのコスプレをした気分でキメ顔を作る


「俺の流儀…(本当は東の)…見せてあげようか」


「お前も剣士か。…まあいい」


東も何処からか刀を取り出して構えた


「東乱流剣技…屍ッ!」


早い。けど動きはどう動くのか…なんて全部コピー済みだから避けるなんて造作もない


「なっ!?」


一瞬のスキを突いて峰打ち

東は又も膝から崩れ落ちる結果になった


「東乱流剣技―すきありっ」


ニコッと笑って刀を鞘に戻す


「ありがとうございましたー。I\\\'m winer!!」


振り替えると青龍達も部下軍団を倒し終えていた

俺を見ると青龍がニヨッと笑う

白虎と朱雀が俺に手を差し出して言った


「「ようこそ麒麟」」



それで後日談


「えぇぇえ!?青龍が青ヶ島さんで、朱雀が赤城さんで…白虎が白幡さんで、玄武が黒河さんで、風神が緑濱さんに、鳳凰が鳥華院さん!?」


「嗚呼。それでお前は同じクラスの…」


「黄瀬 鈴だよ」


「きせりん?」


白虎が首を傾げる

きせりんってモリ●ン的な響きだね


「呼び方は何でも良いよ」


「じゃあきせりん」


さいですか


「鈴」


青ヶ島さんは名前呼び派なんだ


「黄色君!」


緑濱さん、まんまだね…


「鈴君…」


赤城さんも名前呼び派?


「き、黄瀬君でいいかな?」


この中じゃ黒河さんが正面だ…


「黄瀬鈴」


フルネームですか鳥華院様…


その後、ざっと互いの自己紹介を一通り終えると赤城さんが一息ついて言った



「改めてようこそ、黄瀬 鈴君」




俺のヒーロー生活は始まったばかり



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