エピローグ
副題・誰かの呟き。
「あーあ。物語に異物が混入しちゃったね」
「修正で呼んだけど、間に合わなかったか?」
「うん。折角頼み込んで貸してもらったのに、基本的な性格が変わっちゃってるよ」
「そうだな。凄い変わりように見えるが」
「この物語に“ヒロイン”は存在していないはずなのに、迷いこんで勝手にストーリーを変えるのって止めてほしいんだよね」
「管理するのも大変だよな」
「他人事だねー。そっちは順調なの?」
「おー。俺の所は順調順調。変な異物も迷い込んでないし」
「こっちだって、カナルにいかなかったらまだマシだったんだよ」
「略奪が好きって性格の女が転生して来たしな。そうじゃなければ、モブとして関わる事なく、物語が進んでいくはずだったな」
「そうなんだよー。時々流れてくるけど、本当にもう勘弁してって感じ。勝手にいじられてさー。あげくの果てにループする輩もいるし。ループなんて本来ないのに、何アレって感じ」
「この後はどうするんだ?」
「謝って帰ってもらうよー。カレンは彼を見た事によって、カナルとよりを戻す事はなくなったけどね。でも、あの“ヒロイン”がカナルを手放してくれて良かったよ。
下手に接触される前に帰さないと、すっごーく怒られるね」
「そうだな。あんな“ヒロイン”が近付いただけで怒りそうだな」
「うん。そうなんだよね。
でも、カナルの性格が変質しちゃったから、もう暴落の一途を辿るだけ」
「“ヒロイン”は?」
「アレは……何て言っていいのかな。カナルとさよならして、ディーダを落とそうとしてるけど、もう帰ってもらうし。卒業するまで誰ともくっつかないで地元に帰ってもらうよ。ここに居られると邪魔だしね」
「1度物語りに組み込まれると、こっちからは排除出来ないもんな」
「そうなんだよー。不便! 本当にふっべんーーー」
「まぁまぁ。今度愚痴に付き合ってやるよ」
「ホント? 珍しく優しいね!」
「珍しくは余計だ」
「でも実際はそうでしょ」
「まぁな」
「うん。でも嬉しいー。今回の剣は疲れたしー。っていうか、まだ“ヒロイン”が舞台に居るし」
「そうだな。だが、略奪愛を成立させた事で、誰も近付かないからいいだろ?」
「とは思うんだけどね。でも傷心を理由に他の登場人物を攻略しそうで嫌なんだよね」
「……」
「否定してよ」
「……」
「今までで一番冷たい眼差しだね」
「答えを俺に求めるな」
「だってー」
「だってじゃない」
「ケチー」
「それより早くディーダを帰した方がいい」
「話を変えたね」
「事実を言っただけだ」
「そうなんだけどねー。んじゃ、ディーダには帰ってもらうねー」
「そうしとけ。怖いから」
「そうだね。怖いしね」
「あぁ」
「よし。帰ってもらったよ」
「あぁ。無事に帰れたか?」
「勿論。でないと怖すぎ」
「そうだな」
「うん。傷一つついていないから大丈夫」
「出ないと本当に心底怖いしな」
「うん」
「この物語はどうするんだ?」
「後は成り行きに任せるよ」
「そうか」
「これ以上手を加えても無駄っぽいし」
「そうだな。これじゃあな」
「別れただけでいーよ。じゃ、僕は他の物語を見てくるよ」
「俺も行くか。それじゃあな」
「うん。それじゃあね」




