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Spica  作者: 国見炯
5/8

エピローグ




 副題・誰かの呟き。






「あーあ。物語に異物が混入しちゃったね」


「修正で呼んだけど、間に合わなかったか?」


「うん。折角頼み込んで貸してもらったのに、基本的な性格が変わっちゃってるよ」


「そうだな。凄い変わりように見えるが」


「この物語に“ヒロイン”は存在していないはずなのに、迷いこんで勝手にストーリーを変えるのって止めてほしいんだよね」


「管理するのも大変だよな」


「他人事だねー。そっちは順調なの?」


「おー。俺の所は順調順調。変な異物も迷い込んでないし」


「こっちだって、カナルにいかなかったらまだマシだったんだよ」


「略奪が好きって性格の女が転生して来たしな。そうじゃなければ、モブとして関わる事なく、物語が進んでいくはずだったな」


「そうなんだよー。時々流れてくるけど、本当にもう勘弁してって感じ。勝手にいじられてさー。あげくの果てにループする輩もいるし。ループなんて本来ないのに、何アレって感じ」


「この後はどうするんだ?」


「謝って帰ってもらうよー。カレンは彼を見た事によって、カナルとよりを戻す事はなくなったけどね。でも、あの“ヒロイン”がカナルを手放してくれて良かったよ。

 下手に接触される前に帰さないと、すっごーく怒られるね」


「そうだな。あんな“ヒロイン”が近付いただけで怒りそうだな」


「うん。そうなんだよね。

 でも、カナルの性格が変質しちゃったから、もう暴落の一途を辿るだけ」


「“ヒロイン”は?」


「アレは……何て言っていいのかな。カナルとさよならして、ディーダを落とそうとしてるけど、もう帰ってもらうし。卒業するまで誰ともくっつかないで地元に帰ってもらうよ。ここに居られると邪魔だしね」


「1度物語りに組み込まれると、こっちからは排除出来ないもんな」


「そうなんだよー。不便! 本当にふっべんーーー」


「まぁまぁ。今度愚痴に付き合ってやるよ」


「ホント? 珍しく優しいね!」


「珍しくは余計だ」


「でも実際はそうでしょ」


「まぁな」


「うん。でも嬉しいー。今回の剣は疲れたしー。っていうか、まだ“ヒロイン”が舞台に居るし」


「そうだな。だが、略奪愛を成立させた事で、誰も近付かないからいいだろ?」


「とは思うんだけどね。でも傷心を理由に他の登場人物を攻略しそうで嫌なんだよね」


「……」


「否定してよ」


「……」


「今までで一番冷たい眼差しだね」


「答えを俺に求めるな」


「だってー」


「だってじゃない」


「ケチー」


「それより早くディーダを帰した方がいい」


「話を変えたね」


「事実を言っただけだ」


「そうなんだけどねー。んじゃ、ディーダには帰ってもらうねー」


「そうしとけ。怖いから」


「そうだね。怖いしね」


「あぁ」


「よし。帰ってもらったよ」


「あぁ。無事に帰れたか?」


「勿論。でないと怖すぎ」


「そうだな」


「うん。傷一つついていないから大丈夫」


「出ないと本当に心底怖いしな」


「うん」


「この物語はどうするんだ?」


「後は成り行きに任せるよ」


「そうか」


「これ以上手を加えても無駄っぽいし」


「そうだな。これじゃあな」


「別れただけでいーよ。じゃ、僕は他の物語を見てくるよ」


「俺も行くか。それじゃあな」


「うん。それじゃあね」







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