↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拾った黒猫を溺愛していたら、いつの間にか大魔導士に溺愛されていました〜魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/39

報告と

 リンはレイと共にお城へ来ていた。陛下へ謁見する為だ。銀髪から黒髪へとなったリンは、迷いが吹っ切れたかのように堂々としていた。

「ランドゥの国の姫が見つかったらしい!」「生きていたのか……!」「魔導士のレイ様が連れ立っているそうだ」

 噂は城から、そのうちに町へも届くだろう。


「面をあげよ」

 リンが顔を上げる。

「おぉ! リン姫! 大きくなって……」

 陛下は涙を溜めている。隣のお妃はこちらに駆け寄ってきた。

「生きていたのね……無事でよかった!」

「ありがとうございます。ご心配をお掛けして、申し訳ございません!」

「いいのよ。事情があったのでしょう?」

 妃はリンを抱きしめて泣いた。

 その様子をレイは後ろで見つめていた。


 

 今までの事情を伝え、報告を終えたニ人。ロン殿下とマドカも交え、談笑していた。

「リン姫は、ヒーラーの素質があるのだな。しかも魔導士を目指すとは……。レイ良かったな」

 陛下は、かつての婚約者同士が並んでいることに、感慨深い視線を送った。

「はい。リンは、私が長年追っていた魔法使いを、自分で捕まえてしまいました。きっと、魔導士試験も容易く合格するでしょう」

 レイが紅茶を飲みながらさらりと言う。

「それにしても、ロンも知っていたなんて……」

 妃がロン殿下をじっと見る。

「すみません母上。兄から口止めされていたので」

 ロン殿下はニコニコと、全く悪びれていない笑顔を振りまいた。

「リン姫はレイの屋敷にいるのよね? 城へ戻る気はないの?」

 妃が優しく声をかける。

「はい。レイ様に魔法の特訓もさせてもらっていますし……」

「母上、リンを連れて行くのは私が容認しません」

 レイが口を挟む。

「レイ様……」

 そんな主人に頭を抱えるマドカ。

「まぁ! レイは昔からリン姫の事になると頑固なんだから!」

 妃は楽しそうに笑った。レイの隣りで赤くなるリンだった。


 ◇


「陛下とお妃様へご報告できて良かった……」

 リンはほっと胸を撫で下ろす。

「そうだね。二人とも喜んでていたね」

 レイは空を見上げた。

「あの……レイ?」

 リンがレイのローブをそっと握る。

「ん? どうしたの?」

 レイが優しい瞳でリンを見つめる。


 ああ、私……レイのこと……好きなんだ。


 リンは不意に、自分の気持ちに気が付いた。

「あの、私、レイのこと……」

「ふふふ」

 笑ってリンに向き直るレイ。リンの肩を掴むと、そっと顔を近づけた。

「……す」

 突然、リンに口付けするレイ。

「……ごめんね。我慢できなかった」

 レイが微笑む。リンは顔を真っ赤にして口をパクパクさせた。

「それで? 私のこと好きなの?」

 レイがぐいぐい聞いてくる。そうなのだが、確かに間違っていないのだが……!

「な、なんで私の告白を遮るのよ——!」

「ふふふ。だから、リンが可愛くて我慢できなかったんだよ。ごめんね?」

 全く悪びれていない謝罪である。

 二人は仲良く家へと帰るのであった。


 ◇


 学園祭の事件から数日が経った。

 その後、ライアンは事情聴取を受け釈放された。人質を取られて脅されていた事、まだ少年という事で、しばらく監視は付くが母と弟と暮らせるようだ。魔法学園は自主退学するそうだが、「自分の力で魔導士を目指すよ」と前を向いていた。きっとそのうち、最年少魔導士として名を馳せるだろう。

 

 リンは迷っていた……魔法使いは捕まり、脅威は去った。マーサの事も大丈夫である。もう銀髪にする必要はないが、黒髪だと言うことが知られれば、学園中に王族だと言うことがバレてしまう。それに、レイとの関係も……。


 エマとカナタには事情を話したい。魔法学園を退学するにしても、言おう! 勇気を出して、言うの!

 

「リン〜お客様ですよ」

 マーサの声が聞こえる。


 誰だろう?


「はーーい……」

 応接室へ入ると、そこにはエマとカナタが座っていた。

「ふ、二人とも、どうしてここへ!?」

 リンは目を白黒させる。負けじとエマとカナタも驚いて固まっている。

「えっと、招待されて……」

「私も……」

 カナタが手紙を見せてくれる。それはお茶会の招待状であった。差出人は……レイ?

「これが昨日届いてね。しかも烏が持ってきたのよ! これは本物だと思って、ここの住所に来たの」

「僕もだよ! これは魔導士様に会えるチャンスだと思って来たんだけど……」

「……なんでリンがここにいるの?」

 カナタが首を傾げる。

「それに、その髪色……瞳も……」

 エマが口を開けたまま、リンを見て固まっている。

 リンはしどろもどろである。

「あ、えっと……それは」


 どうしよう? さっきまで打ち明けようと思ってたのに、勇気が……


「二人共、よく来たね」

 二人の顔がパァッと明るくなる。リンが振り返ると、戸口に寄りかかったレイが立っていた。

「レイ様!」「魔導士様!」

 エマとカナタが頬を染める。

「実は、リンから二人に話があるんだ」

「わ、わたし!?」

 レイがリンを見て大きく頷く。レイにはお見通しだったらしい。

「レイ……ありがとう」

 リンは二人に向き直る。

 「エマ、カナタ。……実は私、ランドゥの国の姫なの! あと、レイは私の婚約者ですっ!」

 一気に話すと、リンはそっと二人を見た。

 エマとカナタは、驚きで固まっている。

「……あの、今まで黙ってて、ごめんなさい」

 リンが頭を下げる。

「リン! 謝らないで、いいのよ。驚いただけ! 別に怒ってないわ!」

 エマが駆け寄ってきた。

「そうか。リンはお姫様だったのか……レイ魔導士様が婚約者、ほぇ〜」

 カナタは放心状態だが、ハッと我に帰りリンを見た。

「そうだよ! 謝る事なんてないよ? リンはそうしないといけない事情があったんでしょ? ……ライラの事は聞いてるからさ」

「そっか……。ありがとう二人とも。ライラにも、また会いに行こう!」

 リンが二人を元気づける。

「そうだね!」

 カナタがメガネを直しながら、大きく頷く。

「騙してたこと、文句言わないとね!」

 エマも笑顔で頷いた。

「……よかった。じゃあ、招待した通りお茶にしようか! マドカ頼む」

 レイが呼ぶと、マドカがお茶と美味しそうなお菓子をを運んできた。

「……あれ? 以前にもお会いしました……?」

 エマがマドカを見て目を丸くしている。

「エマ殿、ご挨拶が遅れて申し訳ないございません。私、レイ様の弟子兼従者のマドカと申します。ロン殿下の級友でもあります」

「そうだったの……ってことは、リンは」

「ごめん! マドカの事は知ってました!」

 リンが頭を下げる。

「ちなみに、ロン殿下は私の弟だよ?」

 レイが美しく微笑む。

「そ、そうだったの……」

 エマは小さく呟いた。


 夕日が赤く染まる。お茶会はお開きになった。

「じゃあ、今日はありがとう!」

「ご馳走様でした」

 二人を見送るリンとレイ。

 しかし、エマとカナタが振り返り、顔を見合わせて何やら立ち止まっている。と、こちらに戻ってきた。

「どうしたの?」

 リンが訊ねる。

「……リンは学園続けるの?」

 二人が心配そうな顔でリンに問いかけた。

「えっと……」

 下を向くリン。


 私は通いたい……でも、きっと難しい……。


「あのね、私は、学園に通いたいけど……それは——」

「リンは実践以外の知識がまだまだ足りないんだから、学園は通い続けた方がいいんじゃないかな?」

 と、レイが助け舟を出した。まぁ、もっともな正論なのだが……

 二人がほっとした顔をした。

「よかった!」

 カナタが声を上げる。

「ライラもいなくなって、リンまで辞めちゃったら悲しかったの!」

 エマはリンの手をギュッと握った。

「じゃあ、また学園でね!」

 二人は大きく手を振って帰って行った。二人が見えなくなるまで見送ると、リンはレイの手を握った。

「レイ! 大好き!」

 リンは最高の笑顔でレイに笑いかけた。レイはリンを愛おしげに見つめるのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

面白ければ星5、つまらなければ星1

ついでにブックマークもいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。