プロローグ 濡れ衣を着せられて。
心機一転の連載版です。
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「伯爵家令嬢、レイン・ウィクターソンは絞首刑とする」
「えー……!?」
ある日の昼下がり、一人の令嬢に死刑が宣告された。
彼女の名前は先ほど裁判官が述べた通り、レイン・ウィクターソンという。赤い髪に青の瞳、顔立ちは比較的整ってはいるものの、平均の域を出ない少女であった。そんな彼女がなぜ、手首を拘束されながら死刑宣告を受けているのだろうか。
彼女も何かしらのドッキリと思っているらしく、周囲を頻りに見回していた。
だが、それらしい雰囲気ではない。
「……マジ、です?」
そのことに気付いたのか、レインは目を丸くしてしまうのだった。
そして、事の重大さに気付いたらしい。しかしながら、それはそれで理由が分からずに困惑するしかなかった。
どうして自分は、殺されなければならないのだろう。
レインは必死にここまでの経緯を思い出すが、これといって変なことはなかったはず。いつものように起床して、給仕の子たちと談笑し、紅茶を飲んでいた。
そうしていると意識が遠くなり、気が付いたらこれだ。
まるで何も分からない。
「そろそろ観念するんだな、この女狐」
「女狐、って……」
そんな困惑を察したのか、裁判官の一人がそう強く言い放った。
レインは大きなショックを受けるが、どうすることもできないままだ。そうしていると、いよいよ問答無用ということになったのだろう。
「おい、そいつを連れていけ!」
「ちょっと、待って……!」
「煩いぞ、黙れ!!」
「あっ……!?」
数名の兵士が乱暴に彼女の肩を掴み、後頭部に一撃を加えたのだった。
そこで、少女の意識は途切れてしまう。
ここまでが、レイン・ウィクターソンに残っている記憶。
そして、彼女が次に目を覚ましたのは――。
◆
「起きなさい、レイン・ウィクターソンさん!」
「ひゃ、ひゃい!?」
――懐かしい、卒業したはずの王都立魔法学園。
担任教師の難しい表情は、先ほどまでの出来事が嘘だったかのように。いいや、それはあり得るはずがなかった。夢なのだとすれば、そこに至るまでの経験が生々しすぎる。
だとすれば、今見ている光景が夢なのか。
レインはそう考えて、ただただ眉をひそめるだけだった。
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