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序章:あの日の後悔。

昼前に、オープニング終了予定です(*‘ω‘ *)

今日は頑張って、いっぱい更新します。




「(色々試したけど、これは夢じゃない。だったら、さっきの死刑宣告の場面が夢で、私はまだ魔法学園を卒業していない……?)」



 レインは悶々と考えつつ、王都立魔法学園の中央広場に続く廊下を歩いていた。一度息抜きをしたかったのだが、このままでは気持ちの切り替えようがない。

 先ほど目を覚ましてから、彼女は様々なことを試してみた。自分の頬をつねることから始まり、周囲の生徒への日時確認。さらには何かのドッキリではないか、という確認も。

 しかし時間が経てば経つほど、あの日に見ていた思い出の景色と周囲が重なっていくのだった。だが、だからこそ死刑宣告が夢ではない、とも思う。


「あまりに、見覚えがありすぎるわ……」


 いまの自分が卒業するまでの期間は、おおよそ三年ほど。

 三年前の出来事といえば、記憶に残っていないにしても感覚として憶えていることも多かった。だからこそ、寒気を覚える。レインには強烈なまでの既視感があるのだった。

 そのため、もしここが現実の世界だとすれば、自分に起きた可能性は一つ。


「……戻って、きたの? 過去に」


 にわかには信じがたいが、感覚としては一番腑に落ちてしまった。

 周囲から劣等生と呼ばれて、友達も限られていた学園生時代。色々な経験と、後悔を残した場所であるここに、何の因果かレインは帰ってきてしまった。

 だったら、もしかしたら、と思う。

 今から動き出せば、あの死刑宣告を回避できるのではないか、と。

 そして何故、自分が死刑宣告を受けなければならないのか、とも。


「ううん、でも……どうしたら?」


 そこまで思案して、あまりに大きすぎる話と気付いて目眩がした。

 レインは深いため息をついてから、間もなく到着する中央広場へと視線を投げる。そして、ある揉め事に気が付くのだった。


「あの子は、たしか……」


 どうやら、イジメらしい。

 レインの角度からはちょうど、その集団の行いが丸見えになっていた。周囲にいる他の人々は気付く様子はない。あるいは、見えていても見て見ぬ振りをしているのか。

 そう思うと、胸がチクリと痛むのだった。

 だって今の状況は過去に経験があり、その時の自分は――。



「…………や――」



 すると、何かに背を押されるようにして。

 レインはイジメを行う集団に向かって、こう声を上げていた。



「やめなさい、アイルくんは嫌がっているでしょう!?」――と。







「あの、助けてくださってありがとうございます」

「いいの、気にしないで。これは、私の罪滅ぼしだから……」

「罪滅ぼし、ですか……?」



 少しの時間が経って、中央広場にはレインとイジメられていた同級生――アイル・ゼファーの姿だけがあった。もうすでに、次の授業が始まっている時間だ。

 結果的にサボる状況となった彼女たち以外に、人はいないだろう。

 レインはその状況で、改めて自分の記憶を呼び起こすのだった。


「ねぇ、アイルくん……? 貴方――」


 そして、緊張した声色で同級生に告げる。



「この後、なにをするつもりだったの……?」――と。



 レインのその問いかけに、驚いた表情を浮かべたのはアイル。

 彼は紫色の円らな瞳を大きく見開いてから、どこか慌てたような表情で答えた。


「べ、別に何も……! きっと、普通に授業に行ってましたよ!?」

「……そう、ね」


 それを聞いて、レインはどこか悲しげな表情を浮かべる。

 何故なら彼女には、一つの確信があったからだ。クラスメイトから現在の日時を聞いた際に『あの出来事の日』に、自分は戻ったのだと知っていたから。

 嫌というほどに夢に見た。

 自分が勇気をだせば変わっていたと、幾度も考えた。

 それでも、自分はその時になにもできなかった。心があまりに、弱かったから。



 今日は目の前の少年、アイル・ゼファーが『自害した日』だ。



 何の因果か分からない。

 それでも、自分はあの日と同じようにイジメの場面に出くわした。

 以前の自分ならきっと、彼への行いを見て見ぬ振りをしたに違いない。そして最期の日まで、そのことを後悔し続けただろう。

 だけど今は、彼とこうやって言葉を交わしていた。

 それがどこか嬉しくもあり、切なくもあった。


「でも、凄いですよレインさん! どこで、あんな情報を!?」

「えー……いや、ちょっとね?」


 そんな彼女に、事情を知らないアイルは目を輝かせて訊いてくる。

 それというのも先ほどのイジメ集団に対して、レインが言い放った言葉だった。彼女はやや怯えた声色で、集団に向かってこう告げたのである。



『あの薬品の話を、先生にバラしますよ!』――と。



 それもまた、以前の自分が卒業間近に知った話。

 あの学生たちはずっと、禁止薬物に手を出していたのだ。その情報を現時点で知るのは、おそらくレインしかいない。そう、未来を知る彼女にしか分からなかった。

 だが、そんな反則技でも効果はあったらしい。

 結果として、他言しないことを条件にアイルを救ったのだった。


「(こんな情報でもないと、助けに入れないのよね。私って……)」


 ふと、そう思う。

 罪滅ぼしというのは、そういうことだった。

 自分がアイルのイジメから目を背け、一日を平穏に過ごした後にアイルは死んだ。周囲が忘れていく中でも、レインだけは忘れることができなかったのだから。


「あの、レインさん……!」

「え、どうしたの?」


 そう考えていると、アイルが声を上げた。

 そして、こう言うのだ。



「厚かましいんですけど、お願いします! ボクの――」



 まるで、告白でもするような勢いで。



「と、友達になってください!!」――と。



 それを聞いて、レインは唖然とした。

 しかし、すぐにどこかおかしく感じて笑ってしまうのだ。そして、



「うん、良いわよ。私たちは『友達』……ね?」



 小指を差し出し、少年のそれと絡める。

 すると彼は嬉しそうに頬を赤らめ、こう言うのだった。


「この御恩は、いつか必ず! 次はボクが――」


 幼い表情に、確かな覚悟を決めて。




「貴方を助けますから!」――と。



 

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