42 前代未聞の献上品(特大)
ひとしきり私の魔法を満喫した国王は、今日私が門のあたりで討伐した魔物の話を聞いてきた。
「そのことなんですけど、国王様にお土産がありまして……」
「何だ? 俺に敬語などいらん。リンも覚えておけ。自分より弱いやつに敬語を使う必要はない。もし自分より弱いやつが上から目線でモノを言ってみろ。すぐにボコボコにしてやれ」
「じゃあわたしがお前を今すぐボコボコにしてやろうか?」
「ハッハッハッ!!! 盛り乳の分際で強がるなよ?」
「ぶっ殺すぞゴルァ?」
この国みんな頭おかしいの?
いや、この国王とサリナさんを見てたらわかる。おかしい。
てかサリナさんめっちゃ顔怖いんですけど!?
「あ、あの……お2人とも……」
「まぁ、リンちゃん。ごめんなさいね。この男が喧嘩を売ってきたもんだから、つい」
「い、いえ………」
「喧嘩を売ってきたのはお前だ」
あ、やばい。また嫌な予感が………
「あ、あの!! それで国王様にお見せしたい物が!!」
「む? なんだ? まぁ敬語はそのうちよしてくれ」
「えっと、縦横に50m程度の広さがあればいいんですが…‥」
「なら庭でよかろう」
「それだと……その、目立つというか、混乱するというか」
「構わんだろ。なんとかなる」
「えぇ……」
「リンちゃんが困ってるでしょうが! ねぇ、リンちゃん。裏庭にいきましょう。あそこなら人もいないわ」
「お、お願いします……」
『テアはよく黙ってみてられるね……』
『賑やかで良いではないか』
基本テアは静かにしている。何やら平和な光景を楽しんでいるようだ。
私にとっては、この脳筋の行動は見ていて地獄だけどね。
まぁテアも1000年以上生きてきたんだ。ずっとベラベラ喋ってるようじゃ顎がどっか行ってしまいそうになるだろう。
そんなことを考えていると裏庭についた。
確かに人はいない。ここならいいよね。
真ん中にさっき倒した鹿を出す。
「ほほう………」国王は何やら感心している。
「うふふふ……」サリナさんは何やら微笑んでいる。
自分がこれまで嫌というほど経験してきた反応と違う。
普通はここで驚く……
あっ。
そうだ、この人たち、普通じゃなかったんだった。
「これを国王様に献上するということで、私の実力の証明を決定づけるというのでどうでしょうか」
「こんなデカブツをタダでというのか?さすがの俺でも見たことないぞ」
「タダで大丈夫です」
「リンちゃん? こいつを売り飛ばすなりすれば、名誉もお金もなんでも手に入るのよ?」
「いえ、こんなもの出てくればいつでもやれますので。だからこそ、私の実力の証明になればと」
「ハッハッハッ!! リンはどうやら俺が思っていたより面白い子のようだ。ますます興味が出てきた。どれ、カードを出してみろ」
「えぇっと?」
「こんなもの1人で討伐できるやつはこの世界にはおらん。リンがいなければ、討伐できていたとしてもかなりの被害が出ているだろう。つまりこの国はリンによって救われたと言っても当然誤りはない」
「そ、それで…?」
「なに、討伐確認のハンコを押すだけだ」
「そ、それならまぁ…」
そう言って国王にカードを差し出す。
何やら魔力を込めると、私のカードに刻印のようなものが押された。
「それにしても、さすがの俺もここまでこればあの手紙の内容を信じるしかないな」
「わたしは最初から信じていたわよ? リンちゃん」
「あ、ありがとうございますサリナさん……」
「もう! いい加減に堅苦しい言葉はやめてちょうだい!」
ペシっ!
サリナさんが私の背中を叩く。痛みは感じないけど、意外と強そうだ。
サリナさんも割と脳筋の節が……?
「それよりもこんなデカブツをここに置いておくわけにもいかん。それに、リンが目立ちたくないとは言えこんなデカブツを解体しようとなれば内密にもできん」
「それでしたら、私がここから離れたらもう自由にしてくださって大丈夫です。私が献上したことだけは伏せといてもらえれば」
「助かる」
というわけで、粗大ゴミを国王に押し付けることに成功した。




