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242 それぞれのお世話役


「そんで、これって私が行くだけでいいの?」

「まさか、リンちゃんだけではさすがにな」

「なんか悲しいよ」

「はっはっ! せっかくやのに、そんなこと言わんといてな」

「せっかく…? もしかして…」

「ウチが、護衛役や」

「はぁっ!?」


 よくもまぁ、そんなにぽんぽことフィリアを国外に出して大丈夫なんですかねぇ?


「冷静に考えて、フィリアほどの人間が護衛につくっておかしくない?」

「まぁ、護衛なんてしょうもないの何人も付けるよりかは、ちゃんと対処できるのを1人付けといたらそれでええやん」

「いやまぁそれはそうなんだけど」

「それに、まさかリンちゃんに護衛がいるなんてこっちも思ってへんし。ウチはあくまで面倒見や」

「あの。それはそれで何とも言えないが」

「まぁ細かいことは気にせんでええやん。もしなんらかの取引があった場合はウチがやるよってことや」

「じゃあ面倒ごとは全部押し付けるからね? だって面倒見なんでしょ?」

「面倒ごとを起こす前提は、やめよな?」


 ふっ。


「出発は?」

「特に決まってへんよ。学院が始まるまではもう少しあるから、それまでに行ってもいいし。もし都合が合わんのやったら学院が始まってからでもいいんちゃう?」

「けど後期は試験とか色々あるし…」

「リンちゃんは実技がいけてもなぁ」

「なっ、なにそれ! 私が脳みそまで筋肉で出来てるって言いたいのっ!?」

「けど算術は得意やん。リンちゃんの算術は噂になってるで」

「まぁそれは前も言ったじゃん。けどどうしても歴史系がね…」

「ウチは両方サッパリやから、それだけでもすごいと思うんやけどなぁ。現実はそんなに甘くないな」

「イオに馬鹿にされてたよ」

「えっ…イオにっ…馬鹿にされてた……?」


 話を盛ってやったぜ。


「フィリアは脳筋だから攻撃魔法しか興味ないって言ってた」

「だってカッコいいやん」

「いや、イオの方がかっこいいでしょ。私も目に魔法陣浮かべて魔法使ってみ……」


 あっ、やべ。

 本音が……


「はぁ…リンちゃんはそっちの人間やったか…」

「たっ、ため息つくな!」


 悪かったね。そっちの人間で。


 そう言えば、一つ気になってたことがあった。


「ちょっと真面目な話になるんだけど」

「どうしたん」

「あの子たち、魔法かなんかで声と聴覚を奪われてたって言ったじゃん。そういう魔法って、言い方悪いかもしれないけど、メジャーなの?」

「もちろん、表向きにそんなメジャーな魔法はないよ。けど、この間の教会の一件で、かなり危ない魔法や魔道具を研究しているところがあったと判明したのも事実や。イオに言わせればまだ可愛い方らしいけど、それはあくまで本気の戦争や争いと比べればの話で、平和な日常からすれば十分な脅威や」


 案外この世界は、物騒な魔法が発展してしまっているのかもしれない。

 銃や原子力などがないこの世界では、魔法こそが良くも悪くもさまざまな手段だ。


 自分のこれまでの常識では考えもしなかったことだから、たまに忘れてしまう。


「ほな、日程が決まったら言うてな。ウチはいつでもいいから」


 ほんと、そんな適当で大丈夫なの。


 遠くの方で、一斗缶お姉さん達と遊んでいる子供達に目を向ける。

 私が近づくと、子供達もそれに反応して私の元へと歩み寄ってくる。


「リンさんっ! お話しは終わったんですか?」

「終わったよっ。私たちもそろそろ行こっか」


 アーニャ含め、本当にいい子達だ。


 私なら近くで大事な話をしてると言われたら、気になって気になって仕方がないけどね。


 みんなを連れ、テリスさんの元へと行く。

 子供達に好かれてしまったのか、一斗缶お姉さんもついてきた。


 そのお姉さん、きっと怒らせたら怖いよ。




 その後は、テリスさん達と無事に会うことができ、子供達の自己紹介もそれぞれ終わったところで、この話は一旦の結末を迎えた。


 帰り際に、テリスさんからお礼があると言われ、可愛らしいネックレスをもらった。

 どうやら、自分たちの故郷へ帰ってしまった人たちが、私のためにと作った物らしい。

 洗ったりしてもサビない素材を使っているらしいから、お風呂の時とかも常に肩身離さず付けれるやつだ。

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