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22 ディスヘルト地底湖


 私たちはドラゴンが封印されている場所へと向かう。

 道中で魔物に遭遇するのはめんどうなので、体から有り余ってる魔力を溢れさせてみる。


 こうすると魔物は近寄って来れないと考えている。

 それの検証も兼ねるのにちょうど良い。


 そんなことより、王都に行く前にイリアさん達には食事代を少し余分に渡しておこうかな。まぁ、この間の金貨1枚で十分だと言われそうだけど。そこは無理やり受け取ってもらおう。居候させてもらっているんだし。

 しかしラーメン屋魔改造計画はいつスタートできるのやら……

 はぁ、もしかしてもう私ラーメン食べれないんじゃ………


 場違いなことを考えながら森の中を進んでいく。




 かなり速い馬できたのだが、それでも3時間ほど経過しただろうか。


 魔物は1匹も現れない。

 私の予想は正しかったのかな?


 かなり深くまで来た。

 ここ、1人で来たらさすがに迷いそうだ。


 そう言えば、山に封印されているって言ってたけど……。


 山がないよね?

 

 ある洞窟の入り口のような場所でノインさん達が止まった。

 えっと、確かドラゴンが現れたのは山って言ってたよね。


 すると、私の疑問を感じ取ったのか、カイルさんが声をかけてくれた。


「リンが疑問に思っていることだろうが、ここは山だった場所だ」

「えっと…つまり……?」

「200年前の戦闘で山ごと吹き飛んでな。ここはディスヘルト地底湖と呼ばれている。あまりここの場所を広めると興味本位で近寄ってしまうものがいるかもしれないから、一部のものにしか知られていないんだ」

「つまり今はこの洞窟の中に封印されているということですか?」

「あぁそうだ。とは言っても俺たちもドラゴンの姿を直接見たわけではない。洞窟の中を進むとさらに扉があってな。開けたいとも思わないが、俺たちにはどうやって開けるのかすらわからん」

「えっと、それじゃここに本当にドラゴンが封印されているのかわからないのでは?」

「先代からこの中にドラゴンが封印されていると語り継がれている。幻や御伽噺ではなく、実際に封印したもの達から伝わってきているから、間違い無い。それに実際に探知魔法を使ってみろ」

「あっ、そうでした。私使えるんでした」


 探知魔法を使ってみる。



 って!?

 何だこのかっこいいオーラ!!!!


 ヤベェ、超カッケェ。


 犬っころやウサギさんとは別次元のかっこよさだ。なんか、すごい神々しい。

 オーラまでかっこいいとか、ドラゴンの名は伊達じゃないね。


「えっと、たしかにすごいです」

「間違いないようだな…」


 洞窟の中に入る。


 ちなみに、ここにいるのは私にノインさん、カイルさん、デューセルに所属している兵士が4人だ。

 あまり数が多くても、私がいる限り足手纏いになる可能性のほうが高い。

 私の魔法の巻き添えで死なれても困る。


 ということで兵の数を最低限にするようにとノインさんに提案したのだ。

 そういうわけで今ここにいるのは最低限の人数だ。


 さて、洞窟の中に何か情報があれば良いんだけど…

 戦いで山が吹き飛んだぐらいだし、あまり期待しても仕方ない……か。



 洞窟に入ると、すぐに階段が見えてくる。


 皆が緊張した表情で階段を降りる。





 階段を降り始めて中々の時間が経った。


 それにしても、どれほど階段を降りたっけ…。10分はひたすら階段を降り続けている。山ごと吹っ飛んだというから、この洞窟は相当な深さまであるのかな…。


 考えているうちに、どうやら一番下まできたようだ。


 目の前には、かなりの大きさの扉がある。


 なんだこれ。横は100m以上。高さはその倍以上あるんじゃない?


 探知魔法をずっと使っているのだが、扉の前に立った瞬間から何かが変わり、異様なオーラに変わった。

 扉の先から異常な気配を感じる。


 これは……



  ─────ヤバい。



「みんな、今すぐ下がって」

「リン?」

「下がってください」

「どうした?」


 あーもう!!


「早く下がれ!!!!!」


 今までとは段違いな私の口調に全員が驚くが、私の言う通りに下がってくれた。私のキャラを返してよ。



 その直後、扉がゆっくりと、開く。


 ─────ゴッ…ゴゴゴゴゴ………


 ヤバい。扉が開いているのに、中は何も見えない。

 全力で防御魔法を使用する。


 探知魔法は一旦やめて、魔力を壁に、強度を高める。初めてやってみるけど大丈夫なのかな。


 

 直後





 ─────ゴォォォォオッッッッッ!!!!!



 ロケットから放たれたかのような猛烈な炎が扉の先から襲ってくる。


「っっ…!!!」


 これは、ヤバい。


 防いだとはいえ、衝撃波が起こる。


 今の爆風でノインさん達が階段の何十段か上に飛ばされ、私の立っていた足元は、20センチほどめり込んでいる。


 今の初撃はなんとか防いだが、これを防ぎながら闘うとなれば……… 想像したくもない。


 一瞬の間に後ろを確認する。かろうじて全員生きているようだ。広範囲にヒールをかけ、ノインさん達の体力を回復させる。

 とはいえ、骨や内臓がいくらかやられている可能性もある。回復したとはいえすぐに動けるようにはならないかも。


 さて、今のは間違いなくドラゴンの攻撃だろう。封印が完全に解かれた?


 今ここで最大火力で魔法を放っても良いが、この扉の奥を未だハッキリ見ていない。


 悠長なことを言っている場合ではないかもしれないが、扉の奥を見ない限りは本末転倒だ。あるかもしれない手がかりもろとも全て消しとばしてしまえば意味がない。


 そう考えた私は、扉の中に入る。

 それを見た、かろうじて息のあるカイルさんが私に向かって声をあげる。


「リン…! 待て! そんな…ところに1人で入る馬鹿が…どこに…いる!! 応援を…待つんだ! お前1人ではさすが…に無理だろ!!」


 カイルさんも少し冷静さを失っている。


「カイルさん。ありがとう。だけどおそらくこの国で一番強いのは私だよ。その私が行ってみてダメだったら、みんなすぐにここから逃げたほうがいい。1時間経っても私が戻って来なかったら、探すなんて馬鹿な真似はやめて、絶対に逃げて。約束してくれる?」

「待て! ならせめて俺も! 時間稼ぎぐらいはできるはずだ………」

「今の攻撃を見たでしょう。カイルさんにあれを防ぐ力はない。それに、さっきみたいに私がカイルさんを守ってやれる保障もない。ごめんなさい。時間がもったいないから、行くね」

「ま、待て!!」


 カイルさんには申し訳ないけど言い争いをしている時間はない。

 私は扉の中に入る。魔力障壁を作り、カイルさん達が入ってくるのを防ごうと考えた。



 その時。




 ─────ゴゴゴゴゴッッ……



 扉が勝手に閉まる。


 うーん。ラッキー? なのかな? 無駄な魔力を使わずに済んだし。

 だけど逃げ場がなくなっちゃったね。さすがにまだ異世界生活満喫してないよ私。


 敵の居場所を探るために探知魔法を使用する。


 とりあえず火属性魔法に対抗するため、同時進行で水属性魔法を高威力でイメージする。


 正面から敵が来ればいいんだけどな…


 そんなことを考えていると、異変に気づいた。


 探知魔法に、魔力が感知されない。


 その状況に、頭をフル回転させ、さまざまなパターンを脳内で巡らせた。


 最悪なパターンは転移だ。ドラゴンが別の場所に転移したり、私だけが別の場所に転移させられていたとなれば、相当な被害が出るかもしれない。


 次に最悪なのは私の探知魔法が効かないことだ。

 敵がどこにいるかは目視でわかるかもしれないが、今はかなり暗闇の中だ。これほどの敵になれば常に位置を把握しておいたほうが戦いやすいに決まっている。


 他には、私みたいに魔力をひっこめたりできる可能性もある。

 この可能性が1番マシなのかな。


 とりあえず集中する。



 ………


 うーん。なにもこない。


 なにかしら仕掛けてくると思ったんだけどな…


 とりあえずライトのようなものをイメージして魔法を使ってみる。

 っと。できた。意外とできるもんだね。

 

 ん?


 何もない……? こんな馬鹿でかい扉の中に何もない?

 ただの壁だ。


 ドラゴンが封印されてるってパチこいてたってこと??

 最初に言ったやつ誰だよ。


 とはいえ、転移の可能性もある。

 

 うーん。

 可能性が色々ありすぎて、かなり困惑している。


 とりあえずさっきの高火力魔法、現実に起こっていることから推測してみる。

 

 まずあれは、何かの仕掛けだったってこと?

 

 けど扉はどうしても開かないって言ってたし……何か途中でフラグが立っちゃったの?


 うーん………。わからん。


 何も解決しない。


 てかこれ、私帰れなくない? やばくない?

 こんなとこに閉じ込められるのはさすがに嫌だよ……扉破壊したらさすがに怒られるかな……。



「いつまで妾を放っておくのじゃ」

「はい!?」


 な、何? いきなり声が聞こえたんだけど………


 って声?? 


 誰かいる………?


「全く、せっかく期待したのにこんな小娘だったとはな。まぁしかし妾ほどではないが可愛げがあってよいではないか」

「はい?」


 えっと?なに?


「おい! いつまで上を見ている。お前の目の前におるじゃろ」


 目の前? だだっ広い空間の後ろは壁じゃん???


 あ、もしかして壁にまた何かギミックがあるのかな……

 声が近いからおかしいような気もするけど………


 とりあえず行ってみよう。

 さすがに怖いし歩くか。


 一歩踏み出す。



 ───ゴフッ



 うん?

 何かを、()()()


「妾を蹴るとは、なかなかな小娘のう」




 足元を見る。



 そこには




 ───────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


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