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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
結界石と魔封石士
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魔力不足

目が覚めた時、窓の外は明るかったが、それが朝なのか昼なのか、それとも夕方に近い時間なのかすぐに判断できなかった。半身を起こして空を見れば、太陽が上がり切っていない午前中であることはすぐに理解できた。

だんだんと意識がはっきりしてくると、部屋の中を見渡した。

テーブルと椅子が1つ。とても簡素な部屋はティアナが城にいる間泊まるために用意された部屋だった。

「いつ戻って来たんだろう」

自分はベッドに寝ていた。その前に何があったのか思い出していく。

「ディランさんは魔封石の試作品を作って結界石に触れさせたはず」

それと同時に結界石が光を放って、ディランを呑み込もうとした。咄嗟にティアナは彼を庇おうとしたが、2人とも一緒に光に呑まれてしまった。

次に気が付いた時、ティアナは魔力の嵐の中にいた。そこで魔力操作を行って魔力の嵐からディランと自分を護っていると、知らない女性が目の前に現れた。

「あの人は」

見たことのない女性だった。それでもどこか懐かしくて温かいと思ったのを覚えている。そして、彼女がティアナの耳元で囁いた言葉を思い出す。

「あっ・・・」

言葉を思い出すと同時に、その女性が誰であったのか見当がついた。

「魔封石を作らないと」

ベッドから抜け出して立ち上がったティアナだったが、その場でふらついてベッドに腰を落としてしまった。

「魔力が足りてない」

両手を広げて見つめる。思考ははっきりとしたが、体が思うように動かなかった。魔力の嵐から護るために魔力操作をしたが、思った以上に魔力を消耗していたのだろう。それ以外にも結界石に魔力を奪われたことも気が付いた。あの光に飲み込まれたことで、ティアナの魔力のほとんどを奪われてしまった。

今の状態で魔封石を作ろうとしても、小さな力が宿った魔封石くらいしか作れないだろう。

「魔力を回復させないと」

肝心の魔封石を作れなければ作業が先に進まない。ため息をついてベッドに横になると、どうしてこの部屋にいるのか考えていたことを思い出した。

「確かクロードが」

この部屋で一度目を覚ましたことを思い出す。心配そうにするクロードに休むように言われたが、ティアナは魔封石を作らなければという衝動で起き上がろうとした。それをクロードに止められて、彼を困らせたのだった。悲しそうにするクロードに手を伸ばしたティアナだったが、彼に強く抱きしめら、そして告白されたのだ。

それを思い出すと途端に顔が熱くなった。ティアナがクロードの気持ちに応えると、彼の顔が近づいてきて。

「キスしたはず」

そっと唇に指で触れると、彼とのキスの感触が蘇ってしまった。

叫びたい気持ちを堪えて、心の中でだけ盛大に叫びながら悶える。

「うぅぅ、しっかりしなくちゃ」

恋愛感情を含んだキスはこれが初めてだった。王子殿下と婚約していた時も、お互い政略結婚だとわかったうえで、お互いを支え合っていこうという考えで一緒にいた。そのため、殿下がキスをくれる時はいつも頬か額だけだったのだ。それを不満に思うこともなくティアナは受け入れていた。

深呼吸を意識して繰り返してから、再びベッドから立ち上がった。クロードとの口づけの後からの記憶が一切ないことを考えると、それ以降ずっと眠っていたのだろう。魔力が回復していないことから、それほど時間が経っていないことは予測できるが、ここでのんびり回復するのを待っているわけにもいかない。

状況を把握するためにティアナは部屋を出ることにした。今は少しでも早く結界石を完成させることが優先される。

廊下に出ると、辺りが静まり返っていた。眠っていた間に何が起きたのか知っておく必要がある。そのためにまず一番近いクロードの部屋を訪ねることにした。

そこで再び彼とキスをしたことを思い出して、まともに顔を見て話せるだろうかと思ってしまった。

「状況の確認をするだけよ」

そう自分に言い聞かせて扉をノックした。

「はい」

静かに扉が開かれて中からクロードが顔を出した。

「・・・・・」

「えっと、おはようかしら?」

ティアナの姿を見たクロードが固まってしまったので、とりあえず挨拶をしてみた。まだ午前中のはずだからおはようにしてみたが、ちょっと不安があったので疑問形になってしまった。

その間にクロードはティアナの頭から足の先まで視線を動かして確認すると、急に肩を掴んできた。驚いたティアナが今度は固まる。

「起きて大丈夫なのか」

「とりあえずは」

「本当に?」

クロードの顔が近づく。顔色を確かめるようにのぞき込まれるが、あまりの近さにキスをしたことを思い出してしまい、途端に頬が熱くなるのを感じた。

頬を染めたことに気が付いたクロードがすぐに顔を離すが、肩に触れている手は離してくれなかった。

「すまない。昨日何度か様子を見ていたんだが、目を覚ます様子がなかったから心配していたんだ。なんともないならよかった」

そういうクロードの頬も少し赤らんでいるような気がしたが、それよりも気になる言葉があった。

「昨日、目を覚まさなかった?」

ティアナの感覚では数時間だけ眠っていたと思っていた。

「私どれくらい眠っていたの?」

「丸1日だ」

その言葉に驚くしかない。魔力の回復具合から考えても、1日休んでいたのならほとんど回復していてもいいはずだ。だが、今の魔力は半分も戻ってきていない。おかしな差が生まれていることに混乱する。

「ここで話しても仕方がないな。ティアナは部屋に戻っていてくれ。目が覚めたことを報告してくる」

「それなら私も」

一緒についていった方が早いと思ったが、手を伸ばした瞬間体がふらついた。それをクロードが支えてくれると、すぐに部屋へと促された。

「まだ万全じゃないんだろう。ディランもまだ目を覚ましていないから、とりあえず部屋で休んでいた方がいい」

「せめて、今の状況を知りたいわ」

丸1日眠っていた間に何か起こっているのなら聞いておきたかった。倒れてしまったためにその後の結界石のこともわかっていない。そう訴えるとクロードは少しの間考えるような素振りを見せたが、首を振って何も答えてくれなかった。

「俺からだと詳しい状況を説明できない。みんなが集まったところで話をした方がいいだろう」

そう言って、ティアナを部屋に戻すと彼は報告のためにすぐに部屋を出ていった。


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