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魔封石使いと破壊騎士  作者: ハナショウブ
新しい護衛と襲撃
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謎の男たち

迫る剣を叩き落とすように剣を振るったクロードは、振り返ることなく後ろに庇ったティアナに声をかけた。

「無事か?」

「・・・うん」

息を吐きだすように返事が返ってきて、とりあえず無事であるようだ。爆発音を聞きつけて駆け付けてみれば、ティアナが襲われている状況になっていた。なぜ襲われているのか、男たちが何者なのか聞いている余裕はなさそうだった。

「クロード」

名前を呼ばれたが振り返ることはできない。目の前の男に向かって横一線に剣を振ると、男が大きく後方に跳んで距離を取る。クロードの出現は予定外だったのか、舌打ちをした男が近くにいた弓を構えた男に目配せをした。

その様子を伺いながら、クロードは振り返ることなくティアナに指示を出す。

「森に向かって走れ」

「え?」

「森の中は泉の精霊の領域だ。上手くいけば助けてくれるはずだ」

襲ってきた男たちは、ここがどういう場所なのか知らないのだろう。フォーンは森に寄り添うようにできた町だ。森は癒しの泉を護るように存在し、泉に住む精霊は森全体を自分の領域としている。

フォームトン家は、この土地の領主であり、森を管理することを精霊に許されて森の中に屋敷を建てている。

今の攻撃は森の中で行われ、泉の精霊の領域を侵したと判断されただろう。そう考えたクロードは、森の中に逃げるように提案した。

泉の精霊とは前に一度会っているので、きっと助けてくれるだろう。

「行け」

短い言葉だったが、ティアナはすぐに駆けだした。

それを見た男2人が動く。

弓を構えた男が、番えた矢を走り去るティアナの背中に向けて放つ。それを剣で叩き落とすと、もう一人がクロードに向かって迫ってきていた。突き出された剣先をぎりぎりでかわし、剣を振りあがるように斬る。再び後方に跳んだ男に、今度はクロードが迫ろうとしたが、その前に矢が飛んできた。

横に飛び回避すると、矢は後ろにあった木に突き刺さった。

森の中に入っていったティアナの姿はすでに見えなくなっていた。あとは精霊が護ってくれるだろう。

ピチャン

耳元で水が跳ねる音を聞いた気がした。

はっとしたクロードは剣に魔力を流した。

「水よ」

男が迫ってくる。振り下ろされる剣に向かって、クロードは剣を振り上げた。金属の打ち合う音が響いた瞬間、クロードの剣から水飛沫が上がり、無数の水の粒が男を襲う。

「ぎゃっ」

1粒は小さく弱くても、それを全身に浴びた男は悲鳴をあげて地面に転がった。

転がる男に蹴りを入れると、くぐもった声を上げて男が動かなくなる。そこで止まることなく、弓を持った男に向かって走った。

何が起きたのか状況を把握できなかったようで、男が矢を番えるよりも先にクロードが目の前に迫り、腹に膝蹴りをお見舞いした。体をくの字に折り曲げた男は、そのまま地面に崩れ落ちる。

動かなくなった2人を確認していると、後方で火柱が上がった。

振り返ると、立ち上る炎のすぐ近くで水柱を盾にキースが耐えているところだった。だが、炎の勢いの方が強いらしく、水を飲みこんでキースに迫る。大きく後方に跳んで炎を避けたキースだが、バランスを崩して膝をついた。肩で大きく息をしていることからも、かなり体力が消耗されていることが窺える。

「キース!」

クロードが叫ぶと、よろよろとしながらもキースは立ち上がって剣を構えた。見つめる先には1人の魔術師。

魔法では圧倒的に相手の方が上だ。魔術師がこちらに視線を向けた。倒れている仲間の確認をしたのかもしれない。動かない男たちをそのままに、クロードはキースの隣まで駆け寄った。

「お嬢様は?」

魔術師との戦いでティアナの確認ができていなかったのだろう。一瞬こちらに視線を向けて尋ねてきた。

「大丈夫だ」

泉の精霊が護ってくれていることを今ここで話している暇はない。短く答えると、それだけで理解したのか彼はそれ以上何も言わずに、目の前の魔術師を見据えた。

「あれがボスだろう。魔法だけだと押される」

息1つ乱していない魔術師は、どこか勝ち誇ったような顔をしている。

魔法騎士が2人になっても勝てる自信があるのだろう。疲れ切っているキースに、魔法を放つことのできないクロードでは、圧倒的に不利だとわかる。

「合図をしたら森に向かって走れ」

ティアナに出したのと同じ指示を出すと、クロードは前に進み出た。

「何をする気だ?」

「2対1でもこちらが不利だ。今はティアナの無事を優先した方がいい」

剣を構えると、魔術師も杖を構えた。

「行け」

短く言うと、地面を蹴った。キースが反対に森の中に走っていく気配を感じながら、剣に魔力を集中させる。

「水よ」

ピチャン

再び耳もとで水が跳ねる音がする。

勝ち誇った顔をする魔術師が杖を振るった。

すると彼の周りに人の顔くらいの大きさの炎の球がいくつも出現する。クロードに向かって杖を突き付けると、火球は勢いよくこちらに飛んできた。

飛んでくる火球をすべて剣で切り伏せていく。水の力を纏った剣が火球を斬ると、炎の勢いが消えて、空気に溶け込むように消えていく。

それを見た魔術師が眉間に皺を寄せる。クロードのような魔法の使い方をする人間は他に見たことがないのだろう。そのため、彼の行動は予想外だったようだ。

火球を斬りながら迫ってくる様子に、魔術師は地面に杖を突きたてた。小さな呟きとともに、クロードの足元が淡く赤い光を放った。咄嗟に横に大きく跳ぶと、地面から火柱が上がる。

上空に吹き上がった炎は、意志を持ったかのように空中でうねると、今度はクロードに向かって降りかかってきた。

吹き上がった炎を避けることはできたが、その圧に押されて近くの木に身体を押し付けられる形になったクロードは、上から降ってくる炎を避けるように森の中に飛び込んだ。

炎が近くの木を巻き込んで地面にめり込むと、轟音を上げて散っていく。散らばった火が無事だった木に触れるとそこから火が燃え広がった。

ちゃぷん。

先ほどより大きな水の音が聞こえた。すると、木に燃え移った炎が一瞬にして消え失せる。白煙が辺りに立ち込めると、クロードは魔術師を置いて、そのまま森の中へと姿を消した。


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