朝食 ビールの浅漬け
誤字報告ありがとうございます。
今後も宜しくお願いします。
「先生、今回も容赦無しでしたね」
ベットの布団にくるまりなから弥生さん笑顔で話しかけてくる。時刻は次の日の朝になっていた。自分でも良く体力が続くと驚いている。一寝入りすれば復活しているし。
「まだだよ」
「やん。もう。あ。また、あ」
お約束の行動を取る。はぁ最高。
弥生さんは今日1日休みとなっている。ことを終えると彼女はシャワーを浴びていた。僕は簡単な朝食を作る。夕べは、正確には午後から頑張った結果、夕食を取り忘れて眠ってしまっていた。二人とも腹ペコだ。
残りご飯が大量にある。チャーハンか雑炊。雑炊がいいな。もう一品おかずも作ろう。冷蔵庫の中を見る。卵にきゅうり。大根。ほぼ何もないな。調味料だけはある。
まず、大根ときゅうりでも切ってみるか。一口サイズに切り分け、ビニール袋に入れ塩をふる。隠し味でカラシと発泡酒を少々。発泡酒の残りはあとで飲もう。袋をもみもみして冷蔵庫へ。
次はお湯を沸かし、卵をかき混ぜる。沸騰したお湯にご飯を入れ卵も投入。あとは少し煮込めば完成。空っぽの胃に優しい適当料理だ。大根の葉を最後に乗せる。
「あ、いい匂い」
調理が終わる頃、弥生さんが風呂よりあがって来た。
「良いタイミングですね。朝食が出来たところにです。ちょっと質素でお口に合うか不安ですが一緒に食べましょう」
「はい!」
弥生さんはシャワーを浴び頭がスッキリしたようだ。リフレッシュしてものすごく元気だ。だが少し不安だ。料理にケチをつけるような人ではないけど。気にいってもらえるだろうか。
「雑炊ときゅうりと大根の浅漬けです。雑炊どれくらい、よそりますか?」
「普通にお願いします」
僕は言われるままにお茶碗に雑炊を盛る。その上に刻んだ大根の葉を乗せる。小鉢を出し、きゅうりと大根の浅漬けを盛り付ける。全てを整えてから食卓に料理を出した。飲み物はみんな大好き麦茶だ。
「美味しそう。頂きます」
彼女は手を合わせてから箸を動かした。まずはきゅうりの漬物を取り口に運んだ。自信作ではあるが内心ドキドキだ。
「懐かしい。先生のビール漬だ」
「懐かしい?あぁ。おばちゃん当たりが作ってくれたの?」
「あ、え。はい。祖母が良く作ってくれました。私は母からも祖母からも作り方を教えてもらえませんでしたから」
「簡単だよ。今からでもお母さんに教えてもらえば?」
「残念ですが母は5年前に亡くなっています」
「ごめん」
まさか、弥生さんのお母さんが亡くなっていたとは知らず、申し訳ないことを口走ってしまった。彼女を傷つけてしまっただろうか?
「先生の気にする事ではないですよ」
その言葉に安徳する。すると次なる疑問が、沸いてくる。
「弥生の家族ってどんな感じなの?」
「父と二人妹がいます」
「三姉妹の長女?」
「はい」
「弥生がいて。文ちゃんがいて。あとは?」
「真ん中に真央っていう次女がいます。そのうち先生にお世話になるかも」
「なんで?」
「真央は教育学部の4年生なんですよ。来年あたり同僚になる可能性があります」
「高校教師目指しているんだ。応援したいね」
「はい。宜しくお願いします」
「長女30次女22?三女11」
「先生。何ですか?その言い方。若い方がいいんですか?」
「そんなつもりはないよ。さあ、朝食を食べよう冷めちゃうよ」
「うー。なんかものすごい勢いで誤魔化された気がする」
三姉妹と聞き安心したのだ。沢田が文ちゃんは弥生さんの娘では?と言いだした時、僕も少しだけその可能性を疑った。
無くはないけど。弥生さんが『実はバツイチで文が娘です』とか言いだすほうがしっくりくる。バツイチ再婚。娘付き。あり得る。と思った。実際はもう一人真ん中に妹がいるのだ。間違いなく三姉妹であろう。
お母さんが亡くなっているのは残念だ。
「美味しいです。あれ?先生、食べてないですけど大丈夫ですか?」
「いえ、弥生の感想を聞いてから食べようと思ってました」
「もう。早く食べて下さい」
そうだ。腹ペコだ。今はエネルギーを補給しょう。
「今日はどうします?」
朝食を終え、コーヒーを入れる。じっくり余裕を取り、弥生さんに今日の要望を聞く。彼女だって何かしたいことあるだろう。
「先生の好きなことでいいですよ」
いやー。一番困る解答が来た。僕が好きなこと?昨日のいっぱいしたけどなぁ。今日もする?それでもいいか。ダメだろ。そうた!
「僕の好きなこと。何でもいいの?」
「はい」
「じゃあ。弥生さんの家に行きたいです」
「ダメです」
「そっ即答?」
「私の家なんか面白くないですよ」
「僕は弥生さんの住んでいるとこ行きたい」
「うー」
「行くよ」
「だってお掃除が」
「家の前で待つよ」
「うー。わかりました。それで」
今日は弥生の住む場所へ行くことになった。その前に彼女に似合う指輪を見ておきたいな。




