その瞳に映るモノ
「ーーあっ、やっほー!」
すっかり回復したらしいアリシアに大声出すなよと苦笑しつつ、
こうして一日おきに来ているにも関わらず、それが酷く懐かしく感じられた。
しばらく日は経ち、ここは病院の一室である。
思ったよりも軽傷だったアリシアは、あと数日もすれば退院出来るそうだ。
そしてこの日、何よりもコウヤが驚いたのが、
…友達達の寄せ書きが書かれた色紙が窓際に置かれていた。
「――良かったなー友達ゼロじゃなかったんだなー…。ウッ、…お兄さん感動で涙が」
「変な心配にも程があるよ?!」
――それから話は花咲き、
あの時の眼鏡っ娘も見舞いに訪れていたそうで、コウヤは安堵というか安心のような物を覚えた。
「…あのさ」
「ん?」
「ーーありがとっ」
「…おうっ」
春の陽気が煌めく昼下がりのことであった。
* * *
「古い記録を辿っていたらようやく見つかったよ。およそ七十年前、この地を再開拓するために入植した開拓団が持ち込んだ物…それがお前さんの<パラディン>の正体だ」
その後、三回目の事情聴取のために鉱山の事務所を訪ねたコウヤ。
終わり際にトーマスにそう言われたのが切っ掛けである。
「…やっぱり回収、ですかね」
「あれはもうお前さんの物だよ。そしてようこそ、ベルデ鉱山開発ギルドへ」
「…俺が、ギルドに?」
「どんなに見積もっても一年は掛かるそうだ。何もしないままそんなに待っていられる性分では無いだろう?」
その沈黙をトーマスは肯定と捉えた。
「決まりだな。これから猫の手も借りたくなる位忙しくなるのは確定済みでね、ギルド証なんかの交付手続きはまた後日まとめてになるだろう。良いかな?」
「はい!」
* * *
そして案内されたヴァリアントのハンガーに、〈パラディン〉の姿があった。
ヴァリアントや採掘道具の予備部品に囲まれて佇むその姿は完全に整備されて新品同様であり、簡単に磨かれたその白亜の表面には周囲の光景が映り込まんばかりであった。
ギルドの仕事を受けるのはこの機体を使っての仕事が主であり、これから長いつきあいになるだろうとコウヤは思ったのだ。
「…よろしくな、相棒!」
小さなその影が〈パラディン〉の瞳に映っていた。




