三日目のカレーライス
夕日の差し込むリビングで、アキラとリクはテレビを見ていた。
「ただいまー、遅くなっちゃってごめんねー、カレーあっためるから待ってて」
スーツ姿の母が、ヒールを脱ぎ捨てるようにして台所へ向かう。
「えー、昨日も一昨日もカレーだったじゃん」
口を尖らせたリクが、ソファーの背もたれから身を乗り出して言った。
「ごめんね、明日はちゃんとしたの作るから」
母は申し訳なさそうに、無理やり笑顔を作る。
「いやだ、今日ちがうのがいい、カレーいやだ」
「うるさいなぁ、静かにしてよリク、今テレビいいとこなの」
そう言ってアキラがリクを睨むと、リクはシュンとして目尻に涙を浮かべた。
アキラは一時停止していたアニメを再生する。
シュンとしていたリクも、少しするとテレビを食い入るように見始めた。
アキラが横目に台所を見ると、レンジの前に立つ悲しげな背中が見えた。
テーブルの上ではスライスチーズをのせたカレーライスが湯気を立てている。
「いただきます」
食卓で三人一緒に手を合わせると同時に、
アキラががっつくようにカレーをほおばった。
「どう、おいしい?」
「うん」
アキラが顔も上げずそっけなく答える。
「ママ、見て見て、チーズ‼」
「あらすごい、くもの糸見たいねぇ」
リクとの会話を続けながらも、時折母はアキラの方を見て、嬉しそうに、でもどこか申し訳なさそうに目を細めた。




