アルミホイルの赤子
学校の下駄箱で、それは這って進んでいた。
ちらちらと光を反射し、目に留まったその小さな生き物は人の赤子のようであった。
両の手と足をつき、交互に前に出して進んでいる。
しかし、その赤子は、アルミホイルで出来ていた。
本当にアルミで出来ているわけではないのだろうが、少なくともその赤子を目にしたとき、アルミホイルをくしゃくしゃにまとめて、広げた時のあの凹凸と、ギラギラと光を反射する銀色が真っ先に思い浮かんだのである。
私はそれに近づいて、じっと見ていた。
赤子はこちらを気にもせず、真っすぐにてくてくと進んでいた。
すると私は恐怖を覚えた。
なぜかと言われても分からない、ただ、こちらを意に介さず進むその様を見ていると、意味の分からない感情なり、衝動なりがあふれ出てきた。
嫌悪感とも、憎悪ともとれる感覚だったが、ともかく身の毛がよだち、今すぐコイツをぐちゃぐちゃにして壊さなくてはと、しようのない衝動に駆り立てられた。
私はそのアルミホイルの赤子を掴み上げた。
思いのほか人の肌らしい、ぬるい温度が伝わってきて、その気持ち悪さから私は赤子を引き裂いた。
二つに裂き、六つに裂き、九つに裂き。
口がないのか、赤子は随分と静かにバラバラになった。
すると、その裂かれた欠片たちがうねうねと動いて、また一つに戻ろうとした。
どこかの映画で見た化け物か、エイリアンかの様であった。
私は気持ちが悪くなった。
しかし、抱いたままの破壊衝動は抑えきれずに、左手に一片の肉片を持ったまま走り出した。
私がどうしたところで、結局この肉片はあの赤子の元へ戻るのだろう。
しかし今は、赤子を壊したままにしておかなくてはならないと思った。
走って。
走って。
ぐちょ、ぐにょ、むにぇ、うにぇ。と左の掌に伝わってくる感覚に、神経を逆撫でされるような不快感に襲われて。
私は自分の左手を見ないままに、走った。
最後まで用でいただきありがとうございます!
実は、今回のアルミホイルの赤子は僕自身の夢に出てきたモノです。
面白かったので書いて小説にさせていただきました。
こちらの短編たちでは思いついたことなどを留めておくとともに、自身の執筆能力の向上のために書いていきたいと思います。
よろしくお願いします!




