8話 カイトの本気
〜カイト視点〜
さて…どうするべきか。
指輪を外しても、思想に異常が出ていると、そう思うことはできない。いつから飲まれていたか、わからない。
「…やっ、辞めろ!! 貴様も、俺に何かするのか…ッ!」
「…そうだな。俺、気になってたんだ。ずっと、昔から」
「はぁ…?」
「貴族連中、王族連中ってのは、いつもそうだ。位イコール能力の強さだと思い込んでて、なんでもねじ伏せられると思ってんだろ」
「は…だから、なんだ…?」
俺は腰につけていた剣を抜き、倒れているユルキの元に歩いて行く。
「そりゃあ、思うだろ?あれ、思わないか?…そんな、権力依存思想、位依存思想が、どこから出てくるのかなあ…って」
「っへ…?」
俺は剣を突きつけ、
「思わないのか?その脳を、見た目を、考え方を、変化させ変化させ変化させ…でも、その思想だけは変化させても消えない。それはなぜ?俺の能力が効かないから?それとも、脳がそれを拒んでいるからか?」
「え…は?」
「俺は知りたいんだよ。変化させ変化させ変化させ…その果てに何があるのか。……お前で実験してもいいか?いいよな?」
「ヒッ…はっ、なんなんだよ?! なんなんだよお前ら!!」
「化け物とでも思ってんのか?残念ながらこれが俺らの本当なもので」
ひらりと言いながら、剣をより近くする。
すると、ユルキは一つ呼吸をしてから、どさりと倒れた。
「…」
俺は、その体に向かって手を伸ばす。気絶中の体は悲鳴が聞こえないからあまり能力を使っても面白くないが…まあ、いいか。
そう思った途端に、前が見えなくなる。
「カイト、終わり」
「それで終わりよカイト。決着はついたわ」
ミムとソラの声。と同時に、あの思想が消えていく。
頭が軽くなるのを直に感じた。
「…大丈夫だったか?」
「暴走のことなら大丈夫。決着もついたし」
ミムがそう言うと、会場が大きくどよめくと共にら声が上がる。
「なっ、なんとー!!!まさかまさかの、勝利だー! ミム選手、ソラ選手、カイト選手共に無傷!これを受けて、彼らの国立学園への編入試験、合格です!」
アナウンサーの声が大きく響いた。
一瞬の静寂の後、大きく歓声が上がった。
後でリリスから聞いたことだが、国立学園への編入試験は、合格率1%にも満たなかったらしい。
☆
「っあ…頭がぁ…」
ドームの控え室にて、私たち3人はソファーやらベッドやらに寝転んだ。
指輪を外して能力がガンガン使ったからか、頭が痛く眩暈も酷い。
「…ごめん3人共、遅くなったわ。大丈夫…じゃはいわね」
「カリアさん…?」
「ごめんミムさん。喋らなくていいわよ。治癒するから、寝てて」
「…はい」
少し目を閉じれば、すぐに意識が飛ぶ。
そのまま、私たちは眠ってしまった。




