5話 戦いの幕開け
「さあさあ!ついに最終戦!まさかまさか、辺境伯領地の公立学園生徒、強すぎたー!」
さて。これを読んでいる皆様は思っているだろう。
『最終戦より前の戦いはどうした?』ってね。
見どころがないのさ。
指輪外して手加減してても勝っちゃって、もう何も面白くなくて。
なので最終戦までぶっ飛ばしました。
「ミム〜?行くわよー」
「はーい」
☆
「おやおや〜?選手達の入場だー!」
「まず、召喚系能力を完封していたミム選手!あらゆる魔法や能力を縛っていた能力者泣かせなソラ選手、そして受けた傷すら変化させる底知れないカイト選手!」
「なんか変なあだ名ついてるわね…」
「いいじゃん。より楽しいかもだし」
私達がケラケラ笑いながら入ると、中には既に3人の選手、もといこの学園のランク1〜3にいる人達がいた。
その中で、長い金髪をした女性が、
「初めまして、公立学園のお三方。まずは自己紹介と行きましょう?」
おや…珍しいな。こういうタイプ。
女性は自分の胸に手を置いて、
「私はアデリーよ。呼び方は好きにしてちょうだい。能力は〈逆行〉。宜しくね」
同じく、長い金髪を縛っている男性が来て、
「俺はラシャード。能力は〈召喚王〉だ」
「ふん…ユルキだ。能力は〈魔法王〉。どうせ平民ごときじゃ勝てんと思うがな」
全員金髪…血縁関係がありそうだな。
ソラが一歩前に出て、
「私達の自己紹介はいるのかしら?」
「要らないわ。もう知ってるもの。…早速、始めましょう」
「さあ、最終戦!勝つのはどっちだー!? …始め!」
アナウンサーの声が響いた。
まずは小手調べといこう。
「ソラ」
「はいはい。【石能 孔雀石】」
「?」
3人全員の能力をまずは縛る。これで様子をみよう。
最初に動いたのはアデリーさんだった。しゃがんで足首にある宝石に触れる。すると、それは真っ二つに割れた。
「あら。案外脆いわね」
そう言いながら、他2人の宝石を割っていく。成る程…初段界のソラでは抑えられない。
となれば、私とカイトも厳しいかもな。
「さて。やられてばかりじゃいけないからね。俺も行こう。【召喚王 風の大精霊】」
「…おお」
ラシャードさんの後ろに綺麗な羽を持つ精霊が現れた。風の精霊だから、攻撃特化かな…。
「【ねえ…貴方は私のものにはならないの?…なら、要らないね】」
手をかざして、そう言う。今にも攻撃を出しそうだった精霊の動きはぴたりと止まった。
ラシャードさんは少し驚いたが、
「やっぱり、君の能力は〈精霊〉だよね?精霊しか従属にできないのなら、俺に勝ち目がありそうだけど」
「…さあ?」
こてんと首を傾げると、彼は面白くなさそうな顔をする。
カイトが私の肩に手を置き、
「ミム。少し技を打ってみていいか?」
「いいよ」
「【〈変永〉 地面】」
ドガン!と音がして、地面が抉れ、あちこちに穴が生まれる。
が、アデリーさんは何の意味もないと言わんばかりに、穴を綺麗に消した。
黙っていたユルキさんは一歩前に出ると剣を向け、
「どうやら、お前らの能力は全てオレらが無効化できてしまうみたいだな?負けしかない勝負に挑む気かァ?」
「ふふっ、そうね兄様!アンタらには負けしかないわ!ネックレスを壊される前に降参したらどうかしら?」
アデリーさんが本性であろう話し方をしてきた。ラシャードさんも、言葉こそ発しないが、口はニヤニヤと笑っている。
「…そうだ!ミム、君にプレゼントを贈ろう!」
「?」
ラシャードさんは手を大きく掲げ、
「【召喚王 ファイヤードラゴン】」
途端に、真っ赤な魔法陣が地面に出る。
そして、真っ赤な体に羽を持つ、巨大なドラゴンが姿を表した。
ソラは少し震え、
「これは…」
「ヤバいな…ミム、大丈夫か?」
カイトの声は、私の耳に届いているようで、届いていない。
…ずっと欲しかったのだ。ドラゴンが。強く美しく、そして気高い。
「カイト。指輪持ってて」
「え?…ああ!」
ひょいっと、後ろの方に外した指輪を投げる。
私はそのままドラゴンの前に立つ。
ドラゴンは、唸りながら私を見る。ラシャードさんは大きく笑い、
「気でも狂ったかい?! 君の能力じゃあ、ドラゴンなんて無理さ!」
「【ねぇ…私のモノになってよ?♡】」




