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5話 戦いの幕開け

 「さあさあ!ついに最終戦!まさかまさか、辺境伯領地の公立学園生徒、強すぎたー!」


 さて。これを読んでいる皆様は思っているだろう。

 『最終戦より前の戦いはどうした?』ってね。


 見どころがないのさ。

 指輪外して手加減してても勝っちゃって、もう何も面白くなくて。

 なので最終戦までぶっ飛ばしました。


 「ミム〜?行くわよー」


 「はーい」





 「おやおや〜?選手達の入場だー!」


 「まず、召喚系能力を完封していたミム選手!あらゆる魔法や能力を縛っていた能力者泣かせなソラ選手、そして受けた傷すら変化させる底知れないカイト選手!」


 「なんか変なあだ名ついてるわね…」


 「いいじゃん。より楽しいかもだし」


 私達がケラケラ笑いながら入ると、中には既に3人の選手、もといこの学園のランク1〜3にいる人達がいた。

 その中で、長い金髪をした女性が、

 

 「初めまして、公立学園のお三方。まずは自己紹介と行きましょう?」


 おや…珍しいな。こういうタイプ。

 女性は自分の胸に手を置いて、


 「私はアデリーよ。呼び方は好きにしてちょうだい。能力は〈逆行〉。宜しくね」


 同じく、長い金髪を縛っている男性が来て、


 「俺はラシャード。能力は〈召喚王〉だ」


 「ふん…ユルキだ。能力は〈魔法王〉。どうせ平民ごときじゃ勝てんと思うがな」


 全員金髪…血縁関係がありそうだな。

 ソラが一歩前に出て、


 「私達の自己紹介はいるのかしら?」


 「要らないわ。もう知ってるもの。…早速、始めましょう」


 「さあ、最終戦!勝つのはどっちだー!? …始め!」


 アナウンサーの声が響いた。


 まずは小手調べといこう。


 「ソラ」


 「はいはい。【石能 孔雀石(マラカイト)】」


 「?」


 3人全員の能力をまずは縛る。これで様子をみよう。

 最初に動いたのはアデリーさんだった。しゃがんで足首にある宝石に触れる。すると、それは真っ二つに割れた。


 「あら。案外脆いわね」


 そう言いながら、他2人の宝石を割っていく。成る程…初段界のソラでは抑えられない。

 となれば、私とカイトも厳しいかもな。


 「さて。やられてばかりじゃいけないからね。俺も行こう。【召喚王 風の大精霊】」


 「…おお」


 ラシャードさんの後ろに綺麗な羽を持つ精霊が現れた。風の精霊だから、攻撃特化かな…。


 「【ねえ…貴方は私のものにはならないの?…なら、要らないね】」


 手をかざして、そう言う。今にも攻撃を出しそうだった精霊の動きはぴたりと止まった。

 ラシャードさんは少し驚いたが、


 「やっぱり、君の能力は〈精霊〉だよね?精霊しか従属にできないのなら、俺に勝ち目がありそうだけど」


 「…さあ?」


 こてんと首を傾げると、彼は面白くなさそうな顔をする。

 カイトが私の肩に手を置き、


 「ミム。少し技を打ってみていいか?」


 「いいよ」


 「【〈変永〉 地面】」


 ドガン!と音がして、地面が抉れ、あちこちに穴が生まれる。

 が、アデリーさんは何の意味もないと言わんばかりに、穴を綺麗に消した。

 黙っていたユルキさんは一歩前に出ると剣を向け、


 「どうやら、お前らの能力は全てオレらが無効化できてしまうみたいだな?負けしかない勝負に挑む気かァ?」


 「ふふっ、そうね兄様!アンタらには負けしかないわ!ネックレスを壊される前に降参したらどうかしら?」


 アデリーさんが本性であろう話し方をしてきた。ラシャードさんも、言葉こそ発しないが、口はニヤニヤと笑っている。


 「…そうだ!ミム、君にプレゼントを贈ろう!」


 「?」


 ラシャードさんは手を大きく掲げ、


 「【召喚王 ファイヤードラゴン】」


 途端に、真っ赤な魔法陣が地面に出る。


 そして、真っ赤な体に羽を持つ、巨大なドラゴンが姿を表した。

 ソラは少し震え、


 「これは…」


 「ヤバいな…ミム、大丈夫か?」


 カイトの声は、私の耳に届いているようで、届いていない。


 …ずっと欲しかったのだ。ドラゴンが。強く美しく、そして気高い。


 「カイト。指輪持ってて」


 「え?…ああ!」


 ひょいっと、後ろの方に外した指輪を投げる。


 私はそのままドラゴンの前に立つ。

 ドラゴンは、唸りながら私を見る。ラシャードさんは大きく笑い、


 「気でも狂ったかい?! 君の能力じゃあ、ドラゴンなんて無理さ!」




 「【ねぇ…私のモノになってよ?♡】」

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