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国立学園編 2話 調整の合間に

 現在、私達3人は家に帰っていた。

 学長から、『国立能力者育成学園への編入試験』許可証やらなんやらを終えて、今は調整期間だ。


 リビングのテーブルに突っ伏していると、起きてきたソラは、近くのソファーにぼすんと寝っ転がり、頭を抑える。


 「頭痛い…ッ昨日力使いすぎたわ…」


 「そっか…私もなんだよね…」


 答えると、老人のように、ゆっくりと階段を降りてきたカイトは、私の近くの椅子に座り、


 「お前らもか…俺も、昨日能力使い過ぎたみたいなんだ…」


 今日は能力使えないな…。

 「う"ーん"…」と全員が言って、頭を抱えていた。

 ふと、チャイムが鳴った。


 「…あれ、お客さんの予定ってあったかしら…」


 「いや、なかったと思うぞ…?」


 「…私が出るね」


 私は2人よりも比較的症状が軽かったので、そのまま椅子から立ち上がり、扉を開く。

 すると、見知った顔が目に入ってきた。


 「おはようございますミムさん!今日は予定がないので、村長に家の場所を聞いて、遊びにきました!」


 リリスだった。リリスもまた、能力や魔法の調整に勤しんでいる筈だが…私たちとは耐久力が違うのかな?

 リリスは後ろの方で唸っているソラとカイトを見ると、顔を青ざめ、


 「だっ、大丈夫ですか? 治癒魔法かけましょうか?」


 ソラは少し顔を上げて、首を横に振り、


 「私達のは、治癒魔法で治せないのよ。…あの場所に行けば、治ることは治るのだけど…」


 ソラがぽつりと言うと、リリスは顔を輝かせ、


 「でしたら、その場所に行きましょう!この状態では、とても見てられませんし」


 「でも…リリスは多分…」


 カイトはその先の言葉を止める。割と重症らしい。

 私はため息をつき、


 「リリス。私の邪精霊でカイトを、念力の魔法でソラを運ぶから、魔力補給お願いしていい?」



 「はい!お任せを!」





 「…」


 2人を抱え、私達は森の中を突き進んでいた。どこまでいっても木と草しかなく、少し薄暗い。でも、ここには魔物は出て来ない。

 リリスは私に魔力を与えながら、


 「あの…ここに何が?というか、魔物は大丈夫なんでしょうか…?」


 「大丈夫。魔物は出て来ないから」


 そのまま歩き続け、やがて薄暗い森の深い場所に着く。


 「ここ」


 「…?ここは…ただの森では…」


 リリスは不思議そうにしている。でも、ここは間違いなく私達にとって一番体が楽になる場所なのだ。

 夏休みの時も来た、不思議な空間。

 あそこでは指輪を外してもいいし、怪我もしないし病気もすぐ治る。

 私は森の木々を指差し、


 「この辺りに、思いっきり魔力を注いでほしいの」


 「ここに…ですか?」


 「うん。ソラとカイトは状態的に無理だから、1人ずつ。まずはソラから入れないと」


 「わっ、わかりました!」


 指差した場所に、リリスは手を出す。

 私も同じように、片手をその場所に掲げる。




 「ッい"?!」


 途端に、頭が割れるような激痛が襲ってきた。


 



 「こらこら。君ら3人以外は入っちゃダメだよ〜?教えなかったっけ?」





 「かはッ…ゲホッ…ッ」


 ドサリと、地面に倒れ込む。さっきまでの激痛は無い。だが、あの声だけが頭の中に響いている。


 「だっ、大丈夫ですかミムさん?! 目が…」


 「目…?」


 目に傷でもできてたのか?いやでも…さっきの声は…昔聞いた気がする…。誰だったっけ…。

 …とりあえず、今日は無理だな。


 「ごめんリリス。元の家に戻ってもいい?」


 「…わかりました。何かあったんですよね」


 リリスは何も言わず、したがってくれた。

 


 あの声は…誰の声だったっけ。

 何処かで会った…よね。



 それに…リリスは、どうして"目"なんて言ったんだ?鏡で見てみても、傷とかはなかったけど…。

 リリスが治してくれたのかな…。

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