国立学園編 2話 調整の合間に
現在、私達3人は家に帰っていた。
学長から、『国立能力者育成学園への編入試験』許可証やらなんやらを終えて、今は調整期間だ。
リビングのテーブルに突っ伏していると、起きてきたソラは、近くのソファーにぼすんと寝っ転がり、頭を抑える。
「頭痛い…ッ昨日力使いすぎたわ…」
「そっか…私もなんだよね…」
答えると、老人のように、ゆっくりと階段を降りてきたカイトは、私の近くの椅子に座り、
「お前らもか…俺も、昨日能力使い過ぎたみたいなんだ…」
今日は能力使えないな…。
「う"ーん"…」と全員が言って、頭を抱えていた。
ふと、チャイムが鳴った。
「…あれ、お客さんの予定ってあったかしら…」
「いや、なかったと思うぞ…?」
「…私が出るね」
私は2人よりも比較的症状が軽かったので、そのまま椅子から立ち上がり、扉を開く。
すると、見知った顔が目に入ってきた。
「おはようございますミムさん!今日は予定がないので、村長に家の場所を聞いて、遊びにきました!」
リリスだった。リリスもまた、能力や魔法の調整に勤しんでいる筈だが…私たちとは耐久力が違うのかな?
リリスは後ろの方で唸っているソラとカイトを見ると、顔を青ざめ、
「だっ、大丈夫ですか? 治癒魔法かけましょうか?」
ソラは少し顔を上げて、首を横に振り、
「私達のは、治癒魔法で治せないのよ。…あの場所に行けば、治ることは治るのだけど…」
ソラがぽつりと言うと、リリスは顔を輝かせ、
「でしたら、その場所に行きましょう!この状態では、とても見てられませんし」
「でも…リリスは多分…」
カイトはその先の言葉を止める。割と重症らしい。
私はため息をつき、
「リリス。私の邪精霊でカイトを、念力の魔法でソラを運ぶから、魔力補給お願いしていい?」
「はい!お任せを!」
☆
「…」
2人を抱え、私達は森の中を突き進んでいた。どこまでいっても木と草しかなく、少し薄暗い。でも、ここには魔物は出て来ない。
リリスは私に魔力を与えながら、
「あの…ここに何が?というか、魔物は大丈夫なんでしょうか…?」
「大丈夫。魔物は出て来ないから」
そのまま歩き続け、やがて薄暗い森の深い場所に着く。
「ここ」
「…?ここは…ただの森では…」
リリスは不思議そうにしている。でも、ここは間違いなく私達にとって一番体が楽になる場所なのだ。
夏休みの時も来た、不思議な空間。
あそこでは指輪を外してもいいし、怪我もしないし病気もすぐ治る。
私は森の木々を指差し、
「この辺りに、思いっきり魔力を注いでほしいの」
「ここに…ですか?」
「うん。ソラとカイトは状態的に無理だから、1人ずつ。まずはソラから入れないと」
「わっ、わかりました!」
指差した場所に、リリスは手を出す。
私も同じように、片手をその場所に掲げる。
「ッい"?!」
途端に、頭が割れるような激痛が襲ってきた。
「こらこら。君ら3人以外は入っちゃダメだよ〜?教えなかったっけ?」
「かはッ…ゲホッ…ッ」
ドサリと、地面に倒れ込む。さっきまでの激痛は無い。だが、あの声だけが頭の中に響いている。
「だっ、大丈夫ですかミムさん?! 目が…」
「目…?」
目に傷でもできてたのか?いやでも…さっきの声は…昔聞いた気がする…。誰だったっけ…。
…とりあえず、今日は無理だな。
「ごめんリリス。元の家に戻ってもいい?」
「…わかりました。何かあったんですよね」
リリスは何も言わず、したがってくれた。
あの声は…誰の声だったっけ。
何処かで会った…よね。
それに…リリスは、どうして"目"なんて言ったんだ?鏡で見てみても、傷とかはなかったけど…。
リリスが治してくれたのかな…。




