フクロウのお爺さんとドングリ池
暗いモグラさんが掘った穴の中をリス君とコマドリさんは進んでいきます。
モグラさんは暗くても感覚やにおいなどで方向などはわかるらしく迷うことなく進んでいきます。
リス君はウサギのおばさんからロウソクをもらいその明かりをたよりに転ばないように進み、その後ろをコマドリさんが穴の壁に当たらないように飛んでついていきます。
そして、
「すまんが、ここからは君たちだけで行ってくれるかな。昼間は地上は明るすぎてな。」
「了解。」
とリス君に続きコマドリさんが
「わかりました。ここまでありがとうございます。」
とお礼を言いました。
「ここで待っているから、無事に話が終ったらここに戻ってきなさい。帰り道を案内するから。」
とモグラさんは言ってくれました。
フクロウのお爺さんの家はヤナギ沼のほとりに立っている大きな木の中ほどにありました。
リス君とコマドリさんは穴から出て、沼のほとりを歩き木の下まで行きました。
「リス君登れる?」
「いつも木登りして遊んでるから楽勝です。」
といってリス君はするすると木を登っていき、コマドリさんは飛んでフクロウのお爺さんの家のドアを叩きました。
「どちら様かな。」
「西の森から来たリスです。」
「コマドリです。」
「どうぞ、お入りなさい。」
と言われたのでドアを開けて中に入りました。
家の中は
「それで遠いところから儂になにかようかな。」
リス君とコマドリさんの事情を聴いたフクロウのお爺さんはこんなことを教えてくれました。
「川を遥か上流に山がある。その山と森の境目くらいにドングリ池という良く澄んだきれいな池がある。そこにドングリを投げお願いをすればどんな願いも叶えてくれると言われておる。」
「そんな池のことは聞いたことがありませんが本当にあるんでしょうか。」
「ここが逆さ虹の森と呼ばれる前にはよく知られた話で、多くの動物がお願いにいっておったそうじゃ。しかし、逆さ虹の森と呼ばれるようになってからは森が豊になりドングリ池に行くものもいなくなり、それを知るものもほとんどいなくなったそうじゃ。
じゃからドングリ池があるのは間違いないが本当に願いを叶えてくれるかはわからん。それでもいくか。」
「はい。行きます。」
とリス君が元気良く答える。
コマドリさんも
「みんなと入れるのなら可能性があることは何でもやりたいんです。」
といった。
「そうか。では、願いを叶えてもらう為に、このドングリを持っていきなさい。
これは昔お願い事をする為のものだと伝えられている。儂がもっていても使うことはないから君たちが使うといい。」
「ありがとうございます。」
フクロウのお爺さんから袋に入ったドングリをもらい、リス君とコマドリさんはもう一度フクロウのお爺さんにお礼をいって、モグラさんの所に戻り、ウサギのおばさんの家まで帰っていきました。
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