第五話
そして、その四人に見送られユウマは、リステーの元になんともいえない感じで歩いていったら。
こちらに歩いてきたユウマに、リステーは偉そうに声をかけた。
「庶民よ、よくぞ逃げずに来たな。今から僕が貴様に戦闘とは何かを教えてやる」
なんか、凄く上から目線のリステーに、ユウマはゲンナリして。
『さっき、決闘て言って無かったけ?』そう思っていると。
「ユウマ様、武器は何を使われますか?」
執事のセバリオに、武器は何を使うか尋ねられた。
「はあ、まあ素手で良いんじゃないですか?」
しかしユウマ自身は、本気で戦う気が全然無かったのでそう答えた。
なぜなら、いつものスキル【真理眼】を使用してリステーの状態などを確認してみた。
するといつもの、薄い青色のスクリーの表記が普段なら格下など表示されているのだが、今回のリステーの表記には、今まで見たことの無い表示で非戦闘者で弱者の呪いと表記していた。
『なんのこっちゃこの表記は?』とユウマは思って。
でも先程リステーにあった時、たしか魔導騎士学校を上位で卒業したと言っていたが、その話も若干怪しいし。
それに現役騎士との訓練で勝ったと言うのは、やはりどうも引っ掛かる。
恐らくキュリカが説明してくれた事が正しいのだろう。
『本気で戦って大丈夫か、それに弱者の呪いってなんだ?』
そうユウマが、目をつぶって色々考えていると。
この仕草がどうやら彼には、気に喰わなかったのか、額に青筋を立てて喚きだした。
「きっ、きっ、きさまー。戦闘を舐めてるのか!そんな態度をとっているなら、目に物見せてくれる」
そして、その怒り狂ったリステーに対して間の抜けた声で。
「へっ、いやー、別に舐めてないですけど?てかそんなの舐めたくないですよ」
その言葉に執事のセバリオは、必死に笑いを堪えていた。
そのユウマの態度と笑いを堪えているセバリオを交互に見て。
「ぐっ、ぐぬぬ!きさま僕を愚弄する気か、それに素手でこの僕に勝てると思ってるのか?この庶民が何様のつもりか!」
すべての怒りをユウマに向け、リステーが地団駄を踏んで喚き散らした。
そんなリステーに向けて。
「いやぁ、庶民、庶民って、あなたの方が何様ですか?」
「なっ!僕は貴族。子爵の息子で、ここの領主を叔父に持つリステー様だぞ!偉いのだぞ」
何故かリステーは自分が偉いと、勘違いをしているようなので、それは違うのではと言葉をかけた。
「いやいや、それは貴方が偉い訳ではなく。貴方の親御さんと領主のロベルトさんが偉いのでしょう。貴方は関係ないし何もしてないのでしょう」
ユウマがリステー言葉を論破していると。
「うっ、あっ・・・・・!?」
少し考えてから言葉が見付からず。
頭から湯気が出そうになるくらいに顔を赤くして、すごい形相でこちらを睨みつけて来た。
《ブチッ》何か切れる音が・・・・!
そう、ついにリステーの堪忍袋の緒が切れた。
そして執事のセバリオが開始の合図をする前に、勢い良く襲いかかって。
ユウマに向けて剣を振り上げて攻撃をしてきた。
第三章:第六話につづく
・
・
しかし、ユウマはリステーの攻撃を軽々と考え事をしながら避けていた。




