12.前日の安らぎ
この夜を過ごしていけば、βテスト終了まで残り1日となってしまう。
つまり、明後日にはゲームを購入した人がゲームにログインして参加することになる
その人たちとも俺は戦わなければいけないのかと思うと心が苦しい
だけど、俺もみんなも命が懸かっている。まぁ、もう死んでいるのだから
懸かっているというのは言い方としてはあまり良くないのかもな。
だが、もしもクリア出来たらと考えるとやはり諦めたくないのは確かだ
一人でも多くの人を救って、巻き込ませないように巻き込まれないように
やって行かなければならない。また辛気臭くなってしまったかな
五人で話してウルジェルの街で一泊することになった。
だが、泊めてくれそうな場所がない
まぁ、中央の広場であんなことやっていたらそりゃ泊めてくれないよね
記憶操作とか出来たりしたら楽なんだが、ルール違反っぽいから無理だと思うけど
さて、どうしたもんかな野宿はマジで嫌だな
歩きまくってた初日を思い出すわ。
まぁ、歩き続けるよりかはマシだけど、βテスト終了の1日前とは思えない
とてつもなく貧相な暮らしじゃねえかと思った。
そうこうしているうちに朔夜くんと同行してから
2時間経ってて、残念な空気を1時間ほど味わっている
朔夜くんが悪いわけではない。NPCとはいえ
誰がどう見たって同じ行動を取る人の方が割合は高いだろう
むしろ優しく接してくれるほど情の厚い人は少ないだろうな
それはβテストプレイヤーならなおさらになってくるだろう
逆にβテストプレイヤーなら安易に近づいてくる
奴の方が危険視すべきだろうな、利用してやろうという
奴は少なからずいると考えても間違いじゃないはず
俺らみたいな方が少数派で悪い奴と戦う時に数では不利になるだろうな
莉緒奈とも多分接触する可能性は高い
あいつがこっち側に来てくれれば助かるが、来ないと一段と厳しくなるだろうな
それは俺が身を以て知っているから、かなり辛辣でしかない
色々考えていたら一時的に別行動をしていた誠が戻ってきた
結構真面目な顔をしていてこちらに向かってくる、何があったんだろうかと
俺も真剣な顔になった、すると
「泊まれる場所が見つかった、ただ問題があってな
4人までしか泊めれないらしい
まぁ、解決策は一人野宿ということで龍司が野宿をすれば
済む話なんだが、龍司は12時以降は一人で行動出来ないほどの
幽霊恐怖症なやつだから、ダメなんだよな…
こういう時に役に立たないのが残念だよ。
昼間であれば野宿はしてくれると思うんだが」
俺がニコッと笑って
「じゃあスキルを使って光で照らしてやろうそれなら問題ないだろう
テントでも作ってやればいい思うしそこまで行ったら
もう野宿じゃなくてキャンプだろう
龍司キャンプだと思って一人で草むらで寝てくれないか?」
俺も龍司に押し付ける、かなり体がボロボロな俺からしたら
野宿なんかしてらんねーし体力はこの中で一番少ないだろう
スキルをまだリセットで振り直してないけど
それでも体力は一番ないと思う、強化した体力ですら一番下とか
俺には潜在能力がないんだなとがっくりする
戦闘においてはかなり向上するんだけどなぁ、戦いにスイッチが切り替わらないと
全然ダメダメなクズニートでしかないから、と自分に言い訳をして慰める
頑張るのはゲームだけでいいしな
そういえばこの世界の中ゲームだったか、もう疲れで脳があんまり動いてない
早く寝たいというのが体が教えてくれる唯一のことだ
俺が眠たそうな顔をしていると誠がパッと笑顔になって話し始める
「ドローアウトをやらないか?
それで一人残った人が野宿ということで」
ドローアウトというのはじゃんけんで3人いるとする引き分けが二人だった場合
残りの一人が負けとなる遊び方だ
今回は五人いるから四人が引き分けになる
意外と決まらなさそうに見えるが、実際そうでもなく
呆気なく終わったりすることの方が多い
みんなこれには賛成して楽しんでやろうとし始める
だが、あまりやってることは楽しくない
なんせ一人の犠牲者を出すための手段なのであって
平たいところを言うと解決はしていない、諦めたわけである。
まぁ、こういうのは提案した誠が野宿になるんだろうな
もうフラグは立ってる、俺はそこまで運悪くないから
多分大丈夫だろうという、甘い考えでいる亜疑斗
変な時に運が良い亜疑斗はこういう場面で
運の良さを発揮する、意味はほとんどない
探索などの時に役立てて欲しいと誠や龍司が予々思っている
元気よく龍司が最初はグーと言ってみんなも続く
5分ほど経っただろうか、意外と決まらない
龍司以外はこれ以上時間をかけるとくたばりそうな顔をしている
龍司が気前よく
「これで決めてやるぜじゃんけん
うぉおおおおおりゃあああああああ」
龍司以外の人がみんなチョキで龍司だけがグーだった
「う、嘘だろ野宿は嫌だぁあああああああああ」
大声で叫ぶ、うるさいからスキルで音を遮断した
夜中でこの大声はヤバイだろう
赤ちゃん泣くだろうな、迫力だけは無駄にあったし
なんかめんどくさくなりそうだから
俺が外で寝ようかと思っていた時に
誠が
「しょうがないな、俺がおもりをしてきたんだから
今日もおもりをしてやるか、
3人で寝なよ俺と龍司の二人で野宿…はしたくないから
他の泊まれそうな場所に泊まるとするよ
まぁ、最悪前泊まっていた裏の場所にでも泊まるし
かなり狭い路地だったが」
お前らもかなり過ごしてきた環境は悪いようだな
俺は野宿はまだしてないけど
歩きまくった初日とか、歩きまくった初日とか
歩きまくった…あの時は疲れたわ
なんか一年前のことを思い出している感じだ
「ありがとうな、かなりお世話になってるのに
またお世話になってしまう」
なんか照れくさい
神巫がもじもじしながら
「私は二人と一緒に寝るんですか??
初めてを迎えるんですね」
なんか神巫さんがちょっとおかしくなっている
大丈夫だろうか、いや大丈夫なわけないな
グロッキー状態になってるのは見ての通りだから
早く宿に行って寝かせようか
そうして、二人と三人に分かれて行動し始める
三人で歩いてると不思議と
昔から知っているような気がしてくる。
実はそうなのかもしれない、ただそれが生きていた時とは限らない
前世なのかもしれない、前世なんかわからねえし
今更わかってもな
この街を見渡して、現世のこの時間帯はどうなっているんだろうか
柄にもなく、気になってしまった
興味なんか全くないのに
俺は終点の街がどんな景色なのだろうか想像もできない
美しいイレルダの街、そこからまた俺らは進み続ける。
それを考えると冒険を楽しむことが少しは出来るかもしれない
食事を取ることができてホッとした
寝る前に俺はスキル確認した
すると一つ増えているということに気がついた
流石に俺でも察することができる
明日の24時からゲームスタートになる。
だからもう準備しているのだろう
無駄に周到な奴らで本当にムカつくが
あいつらもいずれ倒さなければ、ゲーム終わらせることができないんだろうな
スキルをリセットして、新たなスキルに振ろうとしたら
エラーが出た。You already have ability
え?英語?読めねえ
二人は寝ている訳ではないから、聞くことはできるが
このレベルの英語習ったはず
だから聞くのは嫌だな恥ずかしいし…
けれども全く覚えてない。
だから聞きたくないなぁ
ゲーム内検索できるかなこれに全てをかける
英語を入力して検索し始める、すると一件引っかかった
流石にこのレベルなら出てくるんだな
意味はあなたはその能力を既に持っている。
持っている?passiveスキルってことか
じゃあ、振る必要がないんだな。
ってなんでpassiveスキルっていう表示が出てこない?
いつもなら表示されるはず
なんでこのタイミングでスキルが増えるのはわかるが
passiveと表示されないのはなぜだ
他のスキルを慌てて見てみるが、他のスキルはpassiveにはpassiveと表示される
このスキルは特別なのだろうか
だか、その効果を見ることもできない。
能力がわからないスキルがpassiveとか
持っていてもいなくてもあまり変わらない感じがするが
スキルポイントを振る必要がないと考えたら
まぁ、損ではないかもしもマイナス効果のスキルだったら
その可能性はほとんどないと思うが、運営の狙いなどは全くわからない
明日も早くなるだろう、早めに寝ようか
スキルを振り直して、装備をしっかり整えて
「しっかり寝て、明日に備えよう
ゲームスタートしてしまったら
何が起こるかわからない。
龍司はきっと誠に俺が今言うことを同じ感じで言うだろうから心配していない
もしも一人になってしまった時は、フレンドリストを表示して誰でもいいから
連絡してほしい、そういうことにならないようにはするけど
万が一っていうことで念を押しておきたい
みんな、俺と同じぐらい強いと思う。だからこそ、自分に自信を持ちながら
慢心にはならないように行動してほしい」
朔夜くんと神巫さんは真剣な表情で最後まで話を聞いてくれた
そしてしっかり頷いてくれた、本当に良い人と出会えたと思う。
涙が出そうになったが、手で少し顔をこすって何気に隠した
ここで泣いたら、辛いことがあった時心が折れてしまう気がした
最近、思い込みすぎなことが増えてきたが
少しは軽く考えるべきなのか、どこまで策を立てても足りない気がする
もっと頭が良くなりたい。
俺もそろそろ眠くなったから、みんなが寝たのを確認して
俺もベッドについて眠りにつく
男がりゅんの肩を揺らしている
「りゅん…りゅん!お前の調査対象はどうだ?順調か?
いや、言い方を変えるとしよーか
お前が見込んだ奴は今どんな感じに成長している?
たかが数週間じゃやっぱり変わらねえか?凡人はゴミだからな
お前は天才すぎる逸脱しすぎている、だからこうなっている
ゲームスタートの決定は変わらないのはよく心に刻むんだな」
りゅんの表情がちっとも変わらない
「私は私です。それは変わりませんよ、ジョセ…いや、鏡さん
このゲームで生き残る人は何人いるんですかね、
私の予想では二十人でしょうか、甘いと思われそうですが
意外性を持つ人がかなり多いと思われます。
私は賭け事があまり好きでも得意でもありません。
だから、当たらないことを願います」
「それじゃ予想する意味ねえじゃないかぁーい
まぁ、そこら辺が天才と言われるところなのかもしれねぇな
四熊なんちゃらは覚醒すんのか楽しみだな
まぁ、まずはそこまで生きなければならないのが第一関門クリア
8つの選ばれし覚醒者になれて第二関門クリア
まぁ、そこで死なないようにしないと意味ねえけどな
覚醒したのに死にました。じゃ、発現の無駄
まぁ、そこから死…それ以上はお前に言っても無駄だな」
「その先を言ってくれても構いませんが、多分その類は知っていると思いますよ」
すると男が顔をしかめて
「りゅんお前…やはり記憶が戻っているんじゃぁねえだろうな?
まぁ、戻っていても俺にはどうすることもできないが、
運命を変えるのはやめてくれよ
面白く…いや変えてもらった方が面白いかもなぁ
まぁ、その話は俺以外にすんな、内密にしておけ」
男が去っていくと、りゅんが聞こえないレベルでボソッと呟く
「四熊 亜疑斗…しん…の持ち主だとしたら
このゲームは大いなる彼の冒険記録になるかもしれませんね
死ななければの話ですが」
登場キャラが増えていく、無駄な伏線に見えるけどそんなことはない!はず…




