77:代償って美味しいの?
『扉が開きます』
そんな声が部屋に響く
随分前に閉ざされた扉の方を見ると、そこにあったはずの壁は無くなっていた
私は立ち上がり伸びをする
『ようやくか…』
『まぁまぁ。この待機時間ももう少ししか無いしね?』
『こっちとしては、変わる前に別の場所行くからな特に関係ないんだけど…』
『おいおい。そう急がなくても…』
『想には想の予定があるんだ。そう引き留めようとするものじゃないぞ?』
『そうですよドイン。あまり口出しして予定を狂わすのも問題ですから』
『何話してんのさ。ほら、キャリっちとマスターが行きたがってるよ』
『おっと、悪かったな』
『申し訳ございません』
『いや、こっちとしては問題ない』
『私も!そんなことより掘りに行こうよ!ほら、ワリンも何か言ってよ!』
『……えぁ?』
『はぁ、ワリンはもう少し聞いてくれ、キャリーは少し待ってくれ。そもそもマスターに何掘るか聞いてないだろ』
『あ、そうじゃん!という訳で』
そういうと、彼女はアリアラの方を見る
『今日は属性岩も掘ってほしい。あれば掘ってほしいぐらいだ』
『分かった』
…これって、私も掘っていいのか?
特に知識とかも無いし、絶対に属性岩を傷つけると思うのだが…
『ねぇ。私って掘っていいの?』
『……駄目だな』
『あ~~…じゃあ私は何を?』
『それじゃあ、魔物を討伐してくれるか?他のメンバーは掘れるから、全員で集中して採掘出来るんだ。普段だったら、全員が集中していなきゃならず、採掘に集中できなかったんだが、想が全部やってくれるというのなら…』
『流石にやるよ。他には何もできないしね』
『待ってください。最下層の魔物は相当強いのですが…』
『まぁまぁ。強いって言ったってベヒーモスぐらいだったら問題無いし!』
『へ?』
シアスのそんな腑抜けた声がエレベーター内に響く
『待つのじゃ。本当にベヒーモスを単独討伐行けるのかのぅ?』
『それだったら、ヤバくない?普通に強いパーティ分の強さあんじゃん』
『…流石に嘘でしょ?』
なんと、嘘を疑われる程だとは思っていなかった
辺りは静寂に包まれる
そんな静寂を切り裂いたのはアリアラだった
『ま、想が言うのなら本当だろう』
『待ってよ!嘘だったらこっちの命が…』
『私だってそれを見たわけじゃないが…こいつだったらやり兼ねない。そう思っている。もし命の危険に瀕することがあれば、俺が責任を取ろう』
『…マスターがそこまで言うのだったら…』
『他のみんなも、特に異論はあるか?』
ドインのそんな問いに、誰も言葉を発さなかった
アリアラがいかに信頼されているのかが分かる
まぁ、そりゃあパーティの一員のような者、信頼しているに決まっているか
そうして、私達は歩き始める
でも、なんでアリアラは私の話を信用したのか
私は、彼に聞くことにした
『ねぇ。なんで私の話をそんなに信頼してくれるの?』
『そりゃ、トリガーを見せて来たのが大きいな』
『そんなに?』
『そりゃ勿論。あれは大革命だ。そんなものを簡単に見せてくれて、尚且作り方さえも教えてくれた。それに、俺だってそこまで実力がないわけじゃない。それ、聖女の加護と悪魔の最上級加護だろ?』
『へ?』
私ってなんか加護あったっけ?
『おいおい。自覚してなかったのか?聖女の加護で、聖属性が使えるようになって、悪魔の最上級加護は、呪属性を使えるようになる。聖女の方はその名の通り、聖女のみしか使えない。悪魔の最上級加護は、魔王と四天王、大罪のみしか出来ないと聞く。それに、双方だいぶ隠れていた。だから、魔鉱石の面々は気が付いてなかったんだ』
『なるほどねぇ…』
あの二名、何やってんだ?
ありがたいし、後でお礼は言っておくけど…
『まぁ、そんなわけだ。加護を掛けられるのは相当親しい仲という訳だ。そんな奴の話を嘘と直ぐに切り捨てる訳にはいかないからな。想も言ったからには全員守ってくれよ?』
『はは、わかった。任せてよ』
流石に楽だ
だって、散々混沌を以上に持っている無限回復してくる魔物とか、以上に強い魔物とかばっかり戦ってきたんだ
改めて、一般的な魔物程、楽なことなんてない
そんな気持ちを持ちながら、私は後ろを歩く
本来、こういう時は、私が先陣を切るのがいいだろうが、生憎と私には道が分からない
そんな奴が前に立つ意味もない
それに、後ろの方が全員を見渡せて守りやすくもある
そんなことをゆっくりと考えつつ歩いていると、一番前を歩いていたドインが立ち止まった
『想。この扉の奥にはボスの様な奴がいる。そいつを倒してくれないか?』
『いいけど…一応、何かは教えてくれる?』
『ああ。大体はゴーレムなんだが、偶にホワイトとブラック以外の種類が出る』
『つまり、アイアン、キラー、ボーン、カイザーか…』
まぁそれぐらいだったらいけるか
『まぁいけるよ』
『分かった。それじゃあ、想が最初に入ってくれ』
『了解』
そう返事を返して、私は彼の隣まで歩き、扉を押す
すると、少しばかり広い場所が現れる
そして中心に光輝く塊が存在している
……ここで珍しい奴引くのが私らしいよね
うん
あのダンジョン死ぬほどレアなやつ出てきていたっぽいしね……
というか、ここは肉体が残るのだろうか?
ダンジョンの様な状態なはずだが、完全なダンジョンという訳ではない
魔物は凄い量生まれるが、肉体は消滅しないのだろうか?
う~~ん…
まぁ、裁断すればいいか
そう思い、私は塊の方に腕を伸ばし、人差し指を少し上に伸ばす
そして、勢いよく指だけ降ろす
『はい、終わり』
『は?』
『ま、待ってよ。何もしてないじゃん!』
そんな声を後目に、私はあの塊に向けて歩みを進める
そして、片方を思いっきり蹴る
その瞬間、塊の半分が吹き飛んで、壁に突き刺さる
断面には、球状の空洞が開いており、魔力岩が落ちている
ただ、形が少しおかしい
細長い三角錐が空洞の中存在している
もしかして、裁断で真っ二つに切ったのか
それで、私が蹴った時に、もう片方も吹き飛んだって訳か
なるほどねぇ~
勝手に理解し、私がみんなの方を見ると、すぐそこにアリアラが居た
『これが、九つの聖剣の力か?』
『そうだね』
『なるほどな。それであれば、あいつらも納得するだろうな』
『そうであればありがたい』
『…ところでだが、その力、有限?』
『ほぼ無限。信じられない程回復が早い。魔力の十倍ぐらい早い。何なら全然使わない』
『…お前、想像以上に化け物じゃないか?』
『そだよ~』
『おお。私の想像以上に狂ってた』
『お褒めにあずかり光栄です』
『褒めてねぇ』
そんな適当な会話をしていると、魔鉱石の面々が話しかけてくる
『想さんって、思っていたよりずっと強いですね…』
『それ。マジで何したの?』
『僕も知りたい』
『これに関しては、儂もじゃ。今までこんな芸当、見たことないのでな』
『その…何やったんだ?』
『想!何やったの!』
キャリーが、私の肩を掴みグワングワンしてくる
『ま、まっ、ちょ、ま、ま、ちょ……ストップ!』
『はい』
私がストップといったら彼女は肩から手を放す
『早くて助かる』
『それで、説明してくれるかい?』
『えっと、あれは私の力の一部で、裁断っていう。裁断の効果は、どんな事があろうと、全てを裁断するっていう力があるだよね~それで真っ二つに切った』
『流石にそんな大いなる力。代償があるじゃろう?』
『無いよ』
『えぇ…』
まぁでも、確かに代償が無いのは不思議だ
……まぁ、代償が降りかかるとするならば、それを薙ぎ払うのみ
楽観的に考えてこ!
そっちの方が楽なんだから
どうもどうも
というわけで言うことがありません
特に何も思いつかないんですよね
まぁ、いいでしょう
こういう回があってもいいと思います
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は七月二十三日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




