陽桜家
それは、ずっと前の出来事
俺の親父、蒼山貴明は生前こんなことを過去に言っていたという
「シルヴァ…私の息子にもし、彼女が出来たら 私の変わりに守ってくれないか」
「よしてくれ、まるで遺言じゃないか」
「必然的に…私が付き合おうとしていた女の家系と、になってしまうだろうな 能力者を本格的にするならば」
「違う女と結婚するならどうするんだ?」
「それはそれで、幸せに過ごして欲しいよ」
「で?その女の名前はなんだ」
「彼女の名前は…」
俺は、司令官に呼ばれて司令官室へ向かった
「次の仲間ですか?」
「ああ、女の子でな 」
「名前はなんていうんです」
「"陽桜 瞳" だ」
「陽桜…瞳…」
司令官はモニターを見ながら話す
「瞳は、お前の親父、蒼山貴明が付き合おうとしていたお嬢さんのとこの家系だな 当時はお嬢さんだったが、今では立派な母親だ」
そう聞くと、俺は背筋が凍った
「付き合おうとした、って、その奥さんに振られたんですか?」
「ああ 既に違う旦那さんと結婚していて、今の瞳くんがいるんだ」
「そうですか…」
司令官は小さいメモをデスク越しで俺に寄越した
「これは?」
「瞳くんがいる家の住所だ 貴明のことを知っているから、能力者の説明は不要だろうが…とにかく、迎えに行ってあげなさい 既にアポはとっている」
メモを見ると電話番号まで書いてあった
知らない家だから、直で聞くことにした
電話をかけると、すぐに瞳本人が出た
アポをとっているため、すぐに了承を得られた
瞳が迎えに来てくれるらしい
「よし、分かった、能力者施設付近のコンビニで待ち合わせな」
能力者施設は瞳の家からでも見えるが、実際には行ったことがないらしい
瞳が住む家は、隣町だが、母親が車で向かうという
「……あの車か?」
ついでに買い出しした俺に、目の前に車が止まった
「はじめまして!あなたが蒼山滝さん?」
金髪の、緑色のタンクトップに赤いロングスカートだった
目は赤い色
「はじめまして よろしく頼むよ」
「あなた髪の毛長いのね! あ、親には男友達って話したから」
「あ、ああ…」
「瞳、待ちなさい! 今、蒼山って!?」
その母親が運転席から出てきた
「あ、あなたは…?」
「はじめまして "陽桜峰子" 蒼山貴明を振った、元能力者です…」
黒いスカートに、薄めの長袖を着ていた
大体50歳ぐらいに見える
「はじめまして…あなたが、俺の親父と縁がある?」
「はい あなたが、きっと能力者のリーダーになるのでしょうね 凛々しい顔立ち 貴明に似ているわ」
「なっ あんな強い能力者には、なれません 第一!、親父には世界を滅ぼす力があるとか」
峰子さんは、車に乗ってくださいと促した
3人で能力者施設へ向かう
「そうね… でも結局、使わずに済んだのよ あなたも見たでしょう?滝くん 貴明の死に方を」
「!!」
忘れもしない、親父が目の前で死んだのを
カルテー二というやつが空中で親父を殴っていた
力尽きたところを、あいつは
「思い…出したくない…!!」
「お母さん!滝さんが苦しんでいるじゃない!!」
「滝くん 私からもお願いするわ あの、カルテー二を倒して!!」
話している最中にいつの間にか能力者施設に着いた
「滝くん、私もシルヴァに挨拶していいかしら」
「ええ、構いません」
司令官室では
「おや?1人先客が増えたな」
「久しぶりね?シルヴァ・トラーズ?」
「誰だ、その名前を呼ぶのは!!」
峰子さんが先手を切り扉を開けると、慌て出た司令官がいた
「み、峰子…!??」
「ふふ、久しぶりね、シルヴァ 教え子を連れてきたわ!」
「は、はじめまして…陽桜、瞳です…」
「司令官、俺が将来、ここのリーダーになんのってほんとかよ?」
司令官は頭を抱える
「滝…その立場はまだまだ早いぞ まだ仲間が3人なんだからな とりあえず、もう学校から戻ってきた智嬉も呼ぼう」
智嬉はまだ学校に通っている
まだ戦闘でどう戦うか決まらないかららしい
「ふ、くく…どうやら着実に土台を作っているようだな 滝…お前を必ず倒す…」
アジト内でカルテー二はずっと俺たちを監視していた――