勇者はいなくなって、勇者が残った
パソコンがぶっ壊れて、遅れたけども一応完結。
いやー、参ったわぁ。勇者が海賊に農民、料理人っておかしいだろ。
なんだか分からないけど、普通に撃破できているのかもよく分からんけど。
とりあえず、あのまま魔族だらけの中で残るのも危険だなぁと思って、魔王を追うとか行ってみたけど、どうしようかなぁ~。
別に大精霊にもなんかしろとか言われてないしなぁ。
とりあえず、勇者といえばハーレムパーティーだし、挨拶と応援でもしてみようかなぁ~。
勇者さんチィース!って感じでね。
よしっ!!行ってみよう。
今まで通り隠れながら、行くべ~。
火の勇者特製弁当を食いながら、ダラダラと移動して3日。
ようやくほんまもんの勇者発見~。
でも、周りも男ばっかだな~。もしかしてゲイ?
そう考えると何か昂るものがあるなぁww
とりあえず、テンションが上がらないし、挨拶するのは止めて観察することにしよう。
おぉ~。
勇者パーティー、ムサい男ばっかだけど、つええ~。
普通に魔物の群れを切り裂き続けながら、一直線に魔王のところに向かってるし。
う~ん。不完全な加護っていう割には勇者無双だな。
あっ、足止めにオッサンA、B、Cが残った。
これが、噂に名高い「ここは俺に任せて先に行け!」ってやつだな。どうでもいいけど「ここは俺に任せて先に逝け」だったら結構ひどいセリフだな。
とりあえず、一人きりの勇者のほうでも追うかな。
オッサンらの方を見て遅れたせいか口上も聞けなかったか、既に魔王との戦闘開始してるわ。
う~ん、普通に勇者負けそうだな~。
魔法も技術も身体能力も微妙に魔王の方が一歩上って感じ。
このままだと押し切られそうかな。
「仕方ないな。」
「「何者だ!?」」
あぁ、やべっ。つい声に出してしまったか。
隠れるのを止めて、両者の前に顔を出した風の勇者。
「俺は風の勇者。平和な世界で遊び尽くすため勇者に勝手に加勢する。覚悟しろ!!」
「なんだと!?貴様ら我が城や海軍を奪っていった奴らの一味か?」
魔王が青筋立てて激高している。こえぇ~www
「それは知らんっ!!!」
ついとぼけてしまったwww
まぁいいか。とりあえず、攻撃だ!!
風の勇者が行動に移した瞬間、姿が消え、魔王の背後に現れた。
「喰らえっ!必殺の膝かっくん!!」
鈍い音がその場に響き渡り、魔王が膝をついた。
「ぐはっ!なんだこの衝撃は!?しかもケガはないだと。何だ、これは?」
明らかに動揺している魔王を見て、ちょっと嬉しい。
仕方ないから説明してやるかな~。
「早く立て。そんな義理もないが、今説明してやる。俺の職業は遊び人だっ!俺が遊びだと思うことに強力な補正がかかる一方で、俺が遊んでいる限り、遊んでいる当事者たちはケガすることはない。ちなみに、痛覚は普通にあるから拷問とか最適の職業だっ!ふっふっふ!」
幼少期に試してみたが、ドラゴンと肩パンしても相手が泣きいれるまで全然余裕だったからな。たぶん問題なかろうなのだ。
「ついでに追加だが、遊びのルールを破った場合は唯一殺傷力のある断罪のしっぺをするからな。ドラゴンですら一撃だから、変なことを考えるなよ。」
不思議とこの説明をすると皆ルール無視し始めるけど、何でかな?
ちなみに、ドラゴンの野郎は肩パン中にブレスしてきやがったので、尻尾にかましてやったら、モン○ンみたいな動きで尻尾がポロッと取れてたわww
「ならば貴様など恐れるに足りぬ。無視すれば良いのだっ!」
構えなおし、戦闘を再開しようとする魔王。
「甘すぎるぜ。さぁ次行くぞ。」
またも風の勇者が行動に移した瞬間、魔王の背後に突然出現し、
「だらっしゃあああああ!!!」
渾身のカンチョウを決め、そのまま魔王の体を持ち上げる。
「ぐほぉぉぉ!!」
鶏を絞めるような悲しい声が辺りに響くと共に明らかに手の甲まで突き刺さっている姿に勇者はそっと尻を抑えた。
「か~ら~のぉぉぉ~。サイ○クラッシャー!!!」
目にも止まらぬ速さで風の勇者が回転し、あたかも尻に吸い込まれるかのように徐々に腕が魔王の尻に突き刺さってゆく。
「ごほぉぉぉ。うっ・・うっ・・あぁぁ」
魔王の新たな扉が開きかける気配を感じながら、肘まで突き刺さったところで、回転が止まる。
「さぁ、勇者。速やかに魔王の首を刎ねろ。」
風の勇者がそう言いながら、そっと魔王を勇者に向ける。
「えっ。あ、あぁ。」
呆然としながらも、ようやく自分の役割を思い出したのか剣を構えなおす。
「魔王よ、さらばだ。」
「ま、待てっ!!」
そうして、実にあっさりと魔王は討伐された。
「では、勇者よ。さらばだ。また会うことがあれば、次は遊びで勝負するとしよう。では、かくれんぼ!」
その場から消えるように姿を消して風の勇者はいなくなった。
その後、勇者は魔王殺しの英雄として迎えられることとなり、平穏な日々が戻った。
しかし、新たな魔王の出現の報告がなされ、討伐を求める声が高まると、どこからかカンチョウの悪魔が現れ、討伐計画の発案者や支持者に対し、制裁を加え続けることによって、その都度計画は立ち消えることとなった。
それと共に、今まで聞いたこともないような娯楽が市井に広まるとともに、人間対魔族対抗、あるいは協力しての娯楽なども生まれ、種族間の融和を図ることとなったため、自然とそのような声が上がることも減っていった。
なお、魔王討伐により四大精霊の行動は精霊王に露見し、著しい折檻を受けることとなった。