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7、不安



「ひゃー!すごい人!」


彩乃は、一人で城の改装工事の見物にきていた。


城内だということで、シンは用があったら呼びに来いといっていた。

どうやら部屋で鍛錬をするらしい。



「姫様、久しぶりだなー」


「あ、!!!八郎さん!」


聞き覚えのある声に振り向くと、

街で土木を専門に事業を営んでいる八郎さんだった。



「この頃街来ないじゃないか。何かあったのかと心配してたんだぞ?」


「最近、忙しくて」


「そうかい、また暇になったら遊びにきなよ」


と言われ、微笑み返す。



‥まさか、命を狙われているだなんていえない。。


心配を掛けるわけにもいかないし、街に不穏な空気をもたらすわけにはいかないから。



「この木も使うの?」


彩乃が指したのは彩乃の背丈程ある多くの木。


「頑丈に締めてあるが、、危ないから触ってくれるなよ。」


「はぁい」


そういい、

彩乃はそろりとその木が立て掛けてある壁から離れた。


「俺は仕事で案内してやれないが、城の工事もそうみれるもんじゃないだろ。」


16年生きてきたが、大掛かりなものは2年に一回程度だったと思いだす。


「せっかくだからみてけよー」


そういって八郎さんは奥へといってしまう。



「じゃーみてきますかー!」


移動しようと足を踏み出した。


その途端、

ずるっと滑る音がした。


「?」


立て掛けてあった木が倒れ、そして謀ったかのように彩乃に襲い掛かる。


「ーっ!」


彩乃はとっさに身を丸めた。


ガタン、と彩乃の上に覆いかぶさって来る。


(痛い‥、重い…

体に力、入んないよ、、)


「きゃー、彩乃様!」

女管が叫ぶ声が聞こえた。

「誰か、誰かー!!」

「今、人を‥」


叫んでないで、助けてよ、、と思うが、腹に丸太が乗っかっていて声も出せない。



「彩乃様!」


その音を聞き付けてきたのか、由衣が駆け付ける。


彩乃の上に散らばったり、彩乃を下敷きにしている木を持ち上げ、よける。



「大丈夫ですか!?」


由衣の声が聞こえて顔を上げる。


「う…っ」


倒れてきた木で打ったようで、痛くて呻いてしまう。



「彩乃!大丈夫か!?」


慌てた声で現れたシンは手早く彩乃に乗っている木をどけはじめる。


「シン、、」


「今どけてやるから待ってろ!


「敬語‥」


彩乃はうめきつつもそう指摘する。


シンは敬語を使うのも忘れるほど、慌てていたのだろうか?



そう思うと自然に笑みがでる。


「そんな事、今はどーでもいい。辛いなら喋るなよ、、」



彩乃に倒れ込んでいた木を全てどかし終え、待機していた医師は医務室に運ぶように指示した。



彩乃に付き添おうとしたが、シンは何か腑に落ちなくて、現場に残り、話を聞いた。


聞くと、倒れないように頑丈に縛り付け、立て掛けてあったという。


そんなもの簡単に倒れるものなのだろうか?


そりゃ、立て掛け方が甘かったのが原因だったりするのかもしれない。


が、

それは誰かの陰謀のようにシンは感じた。


(まさかな、、)



シンは、胸に不安をいだきつつも、医務室へと向かった。






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