8、じわじわと…
「じわじわと、追いつめられる感覚を…
彩乃。
あなたに、
味あわせてあげる。」
微々は月夜ツインテールを夜風になびかせ、微笑む。
彩乃の不幸を喜ぶように、、
……………………………
「姫、大丈夫ですか?!」
医務室に駆け付けたシンは、ぐるぐると包帯を巻いた彩乃の痛々しい姿を目にしていた。
「お怪我の方は、、」
「うん、平気…」
よろよろと立ち上がる彩乃。
支えていないと倒れてしまいそうで。
でも、彩乃は差し延べられたその手を払う。
「大丈夫、歩けるよ」
「…ごめん、オレがいなかったから、、」
自分がついていたら、彩乃はこんな怪我しなくてすんだのではないか、とシンは自分をせめずにはいられない。
「事故だったんだから、シンがついていたとしても同じよ。」
そう彩乃は笑うが、、
…本当に事故だったんだろうか?
そんなにタイミングよく、木が倒れるものだろうか?
…城内にも、微々の手が迫っている??
十分に、考られる事だった。
つまりは、
敵が城内に侵入しているということ。
どのような形でかはわからないが、敵は内部に潜んでいて、
彩乃の命を奪うときを狙っているのかもしれない。
「そんな事、させるか」
『微々』の好きなように、させてたまるか、、
とシンは誓い、強く唇を噛んだ。
…………………………………
「まだ全開じゃねーんだから歩くなよ!」
「もー、ちょっとひねってるだけじゃん。」
ぷーと彩乃は口を尖らせる。
事故から次の日。
彩乃はシンの注意を聞かず、城内を散歩したいとかいいだしてた。
「とりにいくもんあるなら、オレが行く!なんでも言え!」
………………………………
そういわれたが、
トイレにいくためにシンを起こすのも、なんだか恥ずかしかった。
だから彩乃は一人で暗い廊下を歩きトイレまで行く。
その帰り、、
ふと、
カタ、という音が後ろから聞こえた。
(だれ―…?)
痛くてふらつく足で、でも早く部屋へ帰ろうと廊下を歩く。
ふと、人の気配を感じ振り返るが誰もいない。
気のせい、だったのだろうか。。
そうであってほしい。
でも、、
嫌な想像が広がって、一層寒気がする。
(やだ、怖い…)
そろりと壁伝いに階段を下りようとした。
そのとき、、
どん、と後ろからの衝撃を感じ、
目の前に階段が迫る。
落ちる、と思ったときにはもう落ちていた。
「ーっ!!」
板に打ち付けられる衝撃を覚悟して彩乃は目を固く閉じた。
が、彩乃は抱き抱えられていた。
シンに。
「…姫、大丈夫、か?」
「うん、、ありがとう…」
シンに守られていたので、彩乃は怪我を負ってはいない。
たんたんたん、と犯人と思しい人物が駆けていく音が聞こえた。
「っ、待て!!」
シンが彩乃を床に下ろし、その姿を追う。
「ま、、」
彩乃は手を伸ばしてシンの腕を掴もうとしたが、するりと抜けてしまう。
シンは気付かずに階段を上り、後を追う。
(待って)
シンの後ろ姿を目で追いつつ、自分が何を言おうとしたのか考え、口を覆う。
行き場を無くした手を宙で握る、、
(どうして、待って、なんて言おうとしてしまったの…)
もし、シンが気付いていたら、自分はどうしていたのだろう。
そう思うと、彩乃は心の中を掻き乱される気持ちになった。




