1、出会い
私、
宮都坂 彩乃は
だれかに命を狙われているらしい。。
……………………………
ここは戦国時代。
武士が名誉や家族のために戦い、争いを繰り返している時代。
そんな中、のどやかな雰囲気を持つここ、
「桜ヶ原」の地域一体をとりしきっているのは
剣豪が多い事で有名な宮都坂家。
私の家なのです。
かつての戦で政治において悪魔のように権力を使い
桜ヶ原を支配していた長谷河家に勝ち抜いてから、
住民の生活を守る事で信頼を得る戦国大名となったのです。
…そんな宮都坂家の一人娘・宮都坂 彩乃は命を狙われていた。
「父様!どうして外出禁止なんですかーっ?!」
すぱーん、
と小気味いい音をたてて宮都坂家の姫・彩乃が
宮都坂家の当主の部屋へ押し入り
玉座の上で胡座をかいている父親に詰め寄った。
「矢文が届いておったからのー」
【姫のお命頂戴いたす】
へろへろと弱々しく、
まるで小学生がかいたような字が
矢文の上で踊っていた。
「愛娘を死なせてしまうわけにはいかないからの」
父はそういい彩乃の目の前に文を突き出す。
「外出禁止はいやですー!」
彩乃は父から文を奪って、叫ぶ。
「それにこんな紙切れ一枚ごときで天下の宮都坂が何を恐れるんですか!!」
彩乃は一国の姫でありながら城下街の見回りを日課にしている。
城で過ごすだけでなく街の事や
桜ヶ原で暮らす人達を理解することが大事だと
彩乃は思っているからだ。
最近も彩乃は
見回りの際にでくわした街人の財布をスった犯人を
自慢の俊足で追いかけ、捕まえた。
それだけの度胸と体術とを得られたのは、
宮都坂に仕えている父が信頼をしている
有能な武士によって叩き込まれたからだった。
いざというときに自分の身は守れるように、と。
そして、可能な限り、民を守れるように。
と望んだのは父だったが、
体術やら剣の扱いを覚えたことで、彩乃はおてんばな姫となったわけで。。
「ネ、外出くらいしたっていーですよね?」
今も父を張り倒しそうな勢いで襲っている、、
「姫、当主の言う通りに外出はお控えください」
そばにいた従者が父親に詰寄る彩乃をとめに入る。
「ちょっと、どきなさいよ…!!」
邪魔をしてくる従者を、蹴散らせようとしたが
見慣れない銀髪で長身の男だと気付く。
武士ではない、異国の者のような身なり。
凛々しい目付き。
「‥誰?」
そう尋ねると男はふっと微笑み彩乃の質問に答えた。
「俺は、今日から姫サマ専属の守役をするシンです。よろしく姫サマ」
…守役?
そんな話聞いてない。
特にそんな人を付けてほしいとも感じていなかった。
ふと父様の方をみると視線がバッチリあった。
「早めの対処は必要じゃからな‥」
「でも、、!」
彩乃の言葉を遮るように
パチン、と父は開いていた扇子を閉じた。
そのとたん、部屋に流れる空気が変わる。
「何かあってからでは遅い。もっと姫としての自覚をもつのじゃ。よいか、彩乃」
父は、多くの武士を率いる当主の顔をしていた。
「はい、、」
その雰囲気に飲まれて彩乃は返事を返した。
……………………………
(…軽そうなヤツ)
それが私のシンに対する第一印象だった。
私の後ろをついて歩いてくるときも
必ずすれ違う女家来に声をかけ、ナンパのような行為をしていたし、
不用意に女の子とあらば笑顔を振り撒いて歩く。
正直、こんなやつに守られたいと思わなかった
一人でも大丈夫だって思ったの。
―――――――
…だから、
あなたの言葉全部、
あのときの私は
信じられなかったの
信じてたら何か変わっていたのかな。
博とも、刀を交えることなんてなかったのかな
あなたは、守るって言ってくれたのにね
あのとき、
信じてあげられなくて
…ごめんね




