14 3日目 - 午前(1)
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つい先日、毎週楽しみにしていた魔装学園HxHが終わってしまって悲しみに暮れているひとりぼっちの桜です(;´Д⊂)
いや~途中シルヴィアたんのカットに関しては「AT-Xお前でもダメなのか!?」と遺憾の意を示したくなりましたが、全体的に素晴らしい作品でした。
接続改装に始まり、絶頂改装、背徳武装、連結改装に関してはこの作者は天才だと確信しましたよwそして”あの尻尾”はいったい何処に…?(¬_¬)
私はエリシア押しでしたが(CV的なあれでw)最後のお話を見た時、愛音が大好きになってました。素晴らしい最終回……の!Aパートでした(ーー;)
来期もこんな素晴らしい作品があったらいいな~。
では3日目の開幕です。
ちょっとページ数がかさんで10ページ超えちゃいましたが、どうぞお楽しみください<(_ _*)>
マリアンヌは静かな声で話し始めた。
「カーナよ、お前はもっと空気の読める人間だと思っていたよ、我は」
城を出て馬車に乗り込むなり紹介された2名。
その中に、シアの名前は無かった。
マリアンヌは遠まわしにシアを連れて来いと言ったつもりだったのだがな、と流し目で睨む。
睨まれたカーナ、わなわなと手を振るわせた。
「も、申し訳ありませんマリアンヌ様。自然に、自~然に、シアを連れ出そうとしたのですが中々…こう、上手くいかなくて、、努力が結果に結び付かないもどかしさみたいなものをヒシヒシと感じてます、はい」
「なら別に指名とかすればよかろうに…」
「ですがそうなると他の囚人達にマリアンヌ様の意図を悟られる可能性が」
「我の意図って何さ?」
「えぇ!?」
間の抜けた声で反応するカーナ。
思わず前のめりの姿勢になる。
「無いんですか?」
「無いよ、ただお前の話を聞いてシアと話したかっただけだ」
「えぇぇ」
「こっちがええだよ! で、こいつらは何でこんな黒いローブを着ているんだ?」
目の前の2人は足元以外全身がすっぽりと隠れる雨具のようなゆったりとしたサイズのローブを着込み、しかもフードを深く被りっているせいで、顔すら認識できなかった。
「これは出発前にランがこれを着たらどうかと打診されまして、こいつらの顔を知っている人間がいたら色々困るからと思い採用しました」
聞きなれない名前に疑問符を浮かべるマリアンヌ。
「ラン、って誰?」
そう言いながらもカーナの言葉を待たずにマリアンヌは前方の背の低い方を見る。
なぜ背の高い方をすぐに除外したのかと問われれば、答えを聞くまでも無くそのガタイの良さ、というか背の高さからカイルだと即座に認識できたから。
「先ほど紹介した、こいつです」
「お久しぶりです、私達の主様」
顔も見せない挨拶とは無粋極まりない、と無視するマリアンヌ
カーナは少し機嫌が悪くなったのを察知して慌てて
「事前にランがこのローブを数着持っていたので採用しましたが、マリアンヌ様のお申し付けあらば、すぐにでも変更は可能です」
「いや、別にそれでかまわないよ。 それにしても…へぇ~、事前にねぇ。っ!?ちょっと止まれ!」
「どうかされましたかマリアンヌ様!?」
「カーナ、あれは何だ?」
土ぼこりを上げながら停止した馬車。
窓から指差した先を確認するカーナ。
目を凝らすと、そこには子供達が群がっていた。
「屋台ですね」
「そんな物は見たら分かる、馬鹿にしてんのか? 聞いているのはあの屋台で売っているものは何なのかということだ」
「あれは最近、巷で流行っているお面というものですわ、お姫様。ほら、子供達が集まって…かわいい」
ウフフと不気味な声をフードの奥から響かせるラン。
マリアンヌは即座に言った。
「カーナ、あのお面買って来い」
「お面…ですか? なぜ?」
「そのローブだけだと何かと不安だろ、強い風が吹いたら終わりだからな。だから念のためにお面を付けさせる」
あ~なるほど、頷くカーナにランは追従する。
「確かにお姫様の言う通り、私達の顔を知る人間がこの町にいないとも限らないわね。お面があれば保険代わりになるわ」
「そういうわけだカーナ、急げ」
「はい!今すぐに!」
マリアンヌが強制的に促すと、カーナは急いで馬車から降りて、すぐに後ろ手でドアを閉めるなり目的地に向かって駆けていった。
「ふぅ~」
さて、そう口にするとマリアンヌは頬杖をついている顔の視線だけを目の前にいる2人に向けた。
「久しぶりの外の空気はどうだ、カイル?」
カイルは答えない、何も。
黙ったまま座っている。
「おい、カイル」
「カイルはボスから喋るなって言われているのよ」
そう言ったのはいつも軽口を叩くカイルではなく、横にいたランであった。
彼女はフードからそのオリーブ色の瞳を少しだけ覗かせて首を傾げる。
「お姫様?」
「その前に顔ぐらい見せたらどうだ? 我に対して顔を見せずに話しかけるとは無粋の極み、不敬にもほどがある行為だぞ」
「カイルは許されているようだけど」
「こいつは我が許した、ゆえに問題は無い、お前は我に許されてない、これ以上の説明が必要か?」
「見せたいのは山々だけど、これはボスから脱ぐなと言われているの」
「ではカーナには我が言う、すぐ脱げ」
「ええ、でも今ボスはいないから言えない、つまり脱げないわ」
ケンカを売っているのか?と眉間にシワを寄せるマリアンヌ。
「ドブネズミが。誰に意見しているのか分かっているのか?」
「お姫様、1つ勝負をしませんか?」
「勝負だと」
「ええ、その勝負にあなた様が勝ったなら私は顔をお見せしますわ。もちろん、あなたからすれば飼い犬の戯言、尻尾を巻いて断ってボスが帰ってくるのを待ってもいいのわ」
その余裕たっぷりの言葉にどことなく嫌な気配を感じ取るマリアンヌ。
これはただの勘だ、でもその勘はなぜか確信を持てるほどであった。
しかし、ここまで言われて退くなど出来ようものか?
いいや!
出来ない!
出来るわけがない!
「安い挑発だ、我が乗る道理は無い、だが…自分の身分も分からぬ者に道を諭してやるのも飼い主の義務だ、乗ってやろう。 ただし、我が勝った際にもう1つお前に要求がある」
「要求?」
「ああ、その要求を呑めるなら、その勝負とやらをこのマリアンヌ・ディ・ファンデシベルが受けてやる」
無言のジェスチャーでどうぞと返答するランに、マリアンヌは笑顔で自身の首筋に指をあてると、なぞるように横に線を引いた。
「我がその勝負とやらに勝ったら、お前の首を貰う。簡単に言うと…死刑だ」
「了解よ」
「えっ」
返答は即座に帰ってきた。
予想に反した素っ気無い返事だった。
もっと躊躇うと思ったのだが
「勝負の方法は?」
「私達の主様は頭脳明晰、相手に言い負かされることなど無い。だから今回の勝負は相手を言い負かせたら、っていうのはどうかしら?」
まるで初めから勝負の内容を決めていたかのようなスラスラとした勝負内容の提示。
少しの疑問を持ちながらも、ローブの首部分を傾けるランにマリアンヌはそれでいいと頷いた。
「以外と言うべきかしら、お姫様は人の顔を覚えるのは苦手なのかしら?自分で言うのも何なんだけれど私はだいぶ個性的で覚えやすい類の人間だと思うのだけれど」
「それがお題か?我が人の顔を覚えるのが苦手かどうか?」
「ええ面白いでしょ」
「くだらない、くだらなすぎるわ」
そこまで言うと、マリアンヌは一度言葉を切った。
そして深く椅子の背もたれに持たれかかると一息つくように紅茶を一口。
マリアンヌは話し始めた。
「個性とは平凡が数多くあって初めて言葉通りの意味を成す。周りが特徴豊かなメンバーで固められている状況ではそれは個性的という特徴こそが没個性の要因になる」
「つまりお姫様は個性的な人が人間が囚人達にいすぎて私のことは覚えられなかったと」
からかうように”覚えられなかった”というワードを強調する
マリアンヌはその挑発染みた言葉を聞き流すように、手元のテーブルにあった小さな赤い果実をランのフードの前にかざす。
「石の中に宝石が1つ有ったら目立つが、宝石箱の中に宝石が有ったとて、それを不思議がる人などおると思うか?」
「確かに宝石箱の中に宝石が有っても不思議には思わないわ、でもその宝石箱の中に入っていた宝石がそんなに多くなかったら?覚えていないのは自身の怠慢と言えるのではないかしら」
相変わらずフードの奥から聞こえる耳障りなクスクスという音。
目を細め、マリアンヌは思考する。
確かカーナの報告によると残った囚人の人数は15人いなかったはず。
ということは、この後この女は人数を持ち出すわけか。
数手先の展開を予想すること10数秒。
これは勝てんな。
バカ相手なら力押しで論破出来ようものだが、こいつはバカというわけではなさそうだ。
そもそもこいつ、口で言い負かせたらなどと言っておったが、真正面から討論する気はさらさら無く、狡猾に最初からここまでの話の流れを予想した上で戦いを挑んできた節がある。
シナリオを用意して負けないと確信したから我の提案をあんなにも簡単に受け入れて命をかけたのか …気に入らんな。
マリアンヌはここで初めて目を伏せた。
そして一呼吸を置くと、両手の手の平を軽く肩位まで挙げた。
「そう言われると反論に困るな。降参だ、次からは覚えておいてやろう、ラン」
思った以上に簡単に降参するマリアンヌ。
ランは少し疑問を持ちながらも、うふふと笑う。
「では私は可愛い主様から1本取ったわけね。これはボスに知られないようにしないとね、バレたら殺されてしまうわ」
「ではラン、このままだとお前は我に一方的に勝ったという事になってしまうから、主の完全敗北を相殺する機会をもらってもよいかな?」
「ええどうぞ。と言ってももうボスが帰ってる来るまでそう時間はないけれど…」
フードを窓の方向に向けるラン
ちょうどカーナは店主と話しながらお面を選んでいた。
「大丈夫、1つ目の議題を”流す”のにそう時間をかけていないし、それに…すぐ終わるさ」
その言葉を言った後、わざと間を置くように時間を取った。
そしてマリアンヌは穏やかな笑顔を浮かべたまま静かに言った。
「議題は『お前達、我らが三日月峠に出ていた間、外に出ていたな』、だ」
昨日、ボスであるカーナが言った疑問文ではなく、確信を持った発言であった。
不意に投げかけられたその言葉に生唾を飲むラン。
しかし音は無く、あくまで冷静さを保ちながらフードの奥に隠れた顔、その目だけを横にいるカイルに向けた。
当然だがマリアンヌからはフードの奥など真っ暗で見えない。
だが
「おっと、言っておくがカイルが悪いんじゃないからな。そもそもそいつは一言も喋っていない」
わざわざ、念を押すように。
それはお前の不手際だ、と遠まわしに言っているのと同じ事であった。
するとランは徐に被っていたフードを脱いだ。
出てきたのは整った顔つきに妖艶を足したような1つに束ねられた黒髪
焦るわけでもなく、ランはいつものうっとりとした喋り方を変えない。
「どうしてそう思ったか、理由をお聞きしてもいいかしら?」
「おや、脱いでもいいのか?まだ我はお前に勝っていないぞ?」
「私から主様に対する非礼の気持ちですわ。色々、申し訳ありませんでした。それよりも理由をお聞きしたいわ、ボスが帰って来るまでそう時間は無い」
やわらかいオリーブ色の瞳を持つラン。
しかしその瞳は今、決して優しい色ではなく、射るような視線でマリアンヌを捕らえている。
マリアンヌはそれを一瞥、まるで馬鹿にするように鼻で笑う。
「お前達は外界に対して興味を全く持っていない。窓の外にはあるのだぞ、お前達が待ち望んだ光の世界が、にも関わらずカイルは何かカーナに言われているから仕方ないにしてもお前も興味を持たないのはおかしいだろ?」
「それだけの理由?」
「まさか、そんなものは疑問を持つ前のきっかけでしかない。一番おやっ?と思ったのはそのフード付きの身体を覆い隠すローブのようなフード付きのロングコート、それを用意したのは自分だと”お前が”カーナに言ったからだ。なんで事前にそんなものを持っているのかな?」
「それはたまたま」
「たまたま?」
その間の抜けた返答にマリアンヌの黒く塗られた唇が笑みを作る。
「雨も降らない地下室でフード付きのこんな物を事前に持っていて、たまたまは無いだろ?それはどこかで手に入れたんだ、地下以外のどこかで」
「買った以外の理由は考えないのかしら?」
「作ったとでも言うつもりか? お前達の中に裁縫名人がいたとしらありえるかもな、ただその場合でも素材となる生地の調達方法が問題になる」
「話の腰を折って悪いのだけれど、私達は欲しい衣料品は事前にボスに言えば手に入れることが出来たわよ」
「お前のような女がこんな地味な物を所望したとはなかなか思えんよ、それに事前にこんな物を数着単位で要望したらさすがにカーナに怪しまれる。なぜこんな物を欲しがるのか?ってな」
ランは脳を休ませようとしたが一度火がついたマリアンヌの捲くし立てる言葉がそれを許さなかった。
「ならお前達がそのローブを手に入れた方法は1つ、外に出て自分達で買っただ。理由は城下町で顔を隠して飲み食いしたかったからから」
「どうして城下町だで飲み食いしたと断言できるのかしら?」
「かすかにシミが見える」
カイルの胸辺りをスッと指差す
そこにはよく見ないと分からないほど薄っすらとだが、くすんでいる箇所があった。
「酒だろ? お前らがわれの前を通過して椅子に座ったとき、かすかに酒のにおいがした。それにカーナほどではないにしても我も鼻はきくほうでな、乾いていても分かる、それは安物の酒だ、そんな物が置いているのはこの国では城下町」
「それは地下で飲んでいてこぼしたのかも」
「それ以上、下手な言い訳は止めておけ、お前の馬鹿さ加減が他人に知れるぞ。 カーナは騙せたのだろうが、どこの世界にわざわざそんな暑苦しいローブを来た状態で酒を飲みたがる者がいる? それにカイルだぞ、そいつの性格を考えると絶対に嫌がるに決まっている。にも関わらずこいつはそれを着た状態で飲んだ。なぜなのか?理由は簡単、どこかローブを着た状態で無いと飲めない場所で飲んだから、それはどこか…地下以外、地上だ」
全てを見通しているぞ、と言わんばかりの傲慢な口ぶり。
ランは一言だけ返した。
「証拠はあるのかしら?外に出ていたという証拠」
「論点がズレているぞラン。これは相手を言い負かせるかという勝負だったはずだ」
「つまり証拠は無いってことでいいかしら?」
「そう言われると元も子もないな。でもラン、お前は大事な事を忘れている」
何を?ランは無意識に焦った口ぶりで声にしていた。
「一介の使用人であるカーナなら捜索範囲も限られるが、この国のトップ、皇族が命じれば兵士達は血眼で調べるであろう。全員の証拠をお前は完全に消せているのかな?そのローブを購入した際の店主、酒場の店員、通行人に至る全て、人の口にチャックは出来ない、ちゃーんと、全員消せているか?」
それは殺しているかという質問であった。
当然だがそんな大量殺人があったなんていう噂はここ最近聞かない。
それはマリアンヌも知っている。
だからこれは帰ってくる言葉を予め想定していた問い、くしくも最初にランがマリアンヌに対して持ちかけた議論と同じであった。
ランは長いまつ毛をゆっくりと下ろす。
「難しいわね、それは」
完全な敗北宣言であった。
その言葉を聞いて今まで黙って横で座っていたカイルの巨体が揺れる。
「クッハッハッハ、ざまぁねぇ~なぁ、ラン。完璧に負けちまってなぁ、ハッハッハ」
「あら?喋っていいの、カイル? そろそろボスが帰ってくるわよ」
「チッ、分かってる」
再び姿勢を固定するカイル。
どうやら相当キツくカーナに言われているようだ。
「フフフ、そうか。では我はラン、お前から1本取ったわけだな、これで1勝1敗。そう言えばカーナはお前達が出ていないか調べるために色々トラップを仕掛けたといっていたが…それらはどうしたのだ?」
ランは、あ~あの可愛い罠ね、と微笑んだ後
「全てかわしたわ」
「ほぅ」
そして一番てこずったのは…、と呟き少し口を閉ざすと
「あえて挙げるならドアの前に撒き散らされていた石灰かしら、思った以上に広範囲に撒かれていたから」
「そんなに広範囲に撒かれてどうやって出たのだ?」
「簡単よ、地下室にある清掃道具で全て片付けて後から撒いただけ。幸いあそこには清掃道具が腐るほどあったから」
カーナよ、どうやらお前にトラップを張る才能は無いようだぞ。
「そうねぇ、まぁ素人にしては頑張ったほうじゃないかしら」
自信満々に「あれだけ色々仕掛けたので大丈夫です!」と言っていたカーナの顔を思い出すといたたまれない。
「さて、それで君達2人…いや、ラン、君に最後の問題があるのだが、我がこのことをカーナに言ったらどうなるでしょう?」
ニコニコとした声で喉元に突きつけられる死刑宣告。
つられるようにランもにっこり微笑んだ。
「私達全員が仲良く殺されるわね」
「そうだろう、そうだろう♪部下が自分を謀られていたわけだからな、カーナも大層怒るであろう。 でも、ラン、君は運がいい!我はお前が気に入った! お前が我の、ち~~~さなお願いを聞いてくれるならこの事は黙っておいてあげよう」
「それは嬉しい限りですわ。それで小さなお願いって?」
「それは」
続く言葉を言おうとすると、ドアがガチャリと音を立てて開いた。
かすかに香る屋台の食べ物のにおいと共に入って来たのは買い物を終えたカーナであった。
「マリアンヌ様買ってきました! って、ラン!?あなたフードを脱ぐなとあれほど言いましたよね!」
騒がしいな、と揃えた指先を額に当て、首を振りながらマリアンヌは言った。
「我が許したのだ」
「え!?あ、そうなんですか…なら別に」
「それで、お面は買って来たのか?」
ハイ!、と言ってカーナは2種類のお面を手渡した。
「一応、選りすぐった2種類を2個づつ、合計4つ買ってきました。お好きなほうを選んで頂ければと」
手渡されたお面は両方とも少し尖がったクチバシをして目の部分が丸くくり貫かれていた。
マリアンヌは唸りながら両手に持ったお面を左右で見比べる。
「う、うむ、それはまぁ、いい心がけだが…これは…」
「カラスとフクロウのお面です」
「一緒じゃねーか!!」
「一緒じゃないですよ、カラスとフクロ」
「もっと違う種類買って来いよ!何で2種類とも鳥類で固めてきてるんだよ!!」
何でこいつはこうなんだ?と頭を悩ませるマリアンヌ。
もう、どっちでもいいやと思いながらもフクロウは白色、カラスは黒色、ローブの色を考えると目立たない黒色を選ぶしかないと、カラスのお面を2人に向かって投げた。
「お前達これを着けろ」
受け取った2人は文句1つ言うことなくそれを着けた。
出来上がったのは実に不気味な2人組みであった。
黒いローブに黒いお面を足しただけ、、
それだけだというのに、その外見からはお祭りの愉快な雰囲気は一切感じ取れないものに仕上がっていた。
夜中に子供が見たら間違いなく泣き出すような、いや、夜中じゃなくてもこの黒いローブの力も相まって真昼間でも子供は泣くだろう。
マリアンヌはそれを見て、ほほぅと腕を組んだ。
「微妙かなと思ったお面だが、着けてみると中々に結構いい感じだな。それに闇夜で行動するなら黒いお面は最適だろうからな」
「ありがとうございます。私もそれを狙って購入してきました」
じゃあ何でフクロウのお面は白いんだ?
「そう言えばお前がお面を買いに言っている間に、1つ決まった事があるのだ」
「決まったことですか?」
「ああ、お前がいない間、お前の代わりに囚人どもを纏める役をここにいるランに任せる」
――っ!?
そんな打診はもちろんしていない。
お面の奥のランの瞳、その瞳孔が大きく開く。
しかしそんな事はお構いなしのマリアンヌ、まるで了解を得たかのように話しを続ける。
「打診したところ本人も是非やりたいといっておってな」
「なるほど、そうなんですか。それにしてもランですか…分かりました。確かに能力は十分ですね。さすがマリアンヌ様、名采配です。 でもラン、よくあなた引き受ける気になりましたね、あなたはそういうのを嫌がる性格かと思っていたのですが」
「そんな事は無いぞ。 なっ!ラン、我の”小さなお願い”聞いてくれるんだもんな?」
そこでランは確信した
そして「ああ、なるほど」と、心の中で頷き、二つ返事で返答した。
「ええ、もちろん、喜んでお引き受けいたしますわ」
閲覧ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ
今回のお話は本来、ただマリアンヌが移動だけするシーンのはずだったのですが、書き始めるとペンが止まらない現象で何か凄い事になっちゃいました(笑)
でも書き終わって読み直してみるとなかなかいい感じになったかな?
では最後は大好きな魔装学園HxHへのリスペクトを込めて、この言葉で締めようと思います。
皆さん、次回もよろしくエロス☆(´ゝ∀ ・`)ノシ




