その6
お待たせいたしました。続きになります。
読んでくださると嬉しいです
「きたわ!あっきはーばらー!!!!!!」
駅から出ると、上野は両手を天に掲げ叫びをあげる。
周りからの視線がかなり痛い。俺は他人のフリをしよう。
「ちょっと、何しているの?誠くん。あなたもやるのよ?」
ガシッと肩を掴まれた。
「い、いや、俺はもうヲタクじゃないから…」
「いいから!やるの!ほら!」
そういうと、上野は俺の背後に回り込んで両腕を掴むと無理やり天に掲げさせた。
すぐ後ろに感じる少女に鼓動が早くなる。さらに、女子に耐性のない俺は触れられてるだけで変な汗かいちゃう。
マジでDT丸出し過ぎて恥ずかしすぎる
「ほら!」
「わ、わかったよ!」
「あっきはーばらー!」「あ、あっきはーばらー…」
う、うわー、周りの視線恥ずかしい。帰りたい。照れくさい。
なんでこいつ、こんなテンション高いんだよ。キャラじゃねぇーよ!
「よし、恒例行事は終わったのでどんどんいくわよ!ついてきなさい!」
「へいへい」
俺たちは人混みの中へと消えていった。
まず、俺たちが向かったのはアニ○イトだった。やっぱりここだよな。店内に入ると不思議と落ち着くのを感じ、当時の自分が蘇る気がした。
「上野ー、買えたか?」
「ええ、買えたわ」
上野は買い物袋を見せて、ニコリと笑う。
あれ?なんかデートっぽくない?こいつの笑顔でドキってしちゃったんですけど。
こいつ、ヲタク丸出しじゃなかったら普通に美少女だし。
「んで、誠くんは何か買ったの?」
「これだけ…」
俺はビニール袋から、このラ○トノベル○すごい!の本を取り出し、表紙を見せた。
どうしても、流行りのラノベが知りたくて買ってしまったものだ。
「ふーーん、結構やる気みたいね?脱ヲタを脱しちゃった?」
「な、なわけないだろ?」
「そうですか、なかなか頑固ですねー」
上野は口をふくらませて、背を向ける。
「でも、まぁ……今日はいいんだよ。こんな日があってもさ」
って、今日はいいってなんだよ。もうやめたのに。アホくさいな俺って。
だけど、上野には効果的だったらしい
上野は振り返って、「じぁ、次行こうか」って微笑んだ。機嫌が戻ったようで何よりだが、その笑顔にドキっとしたのは気のせいだろうか……
それから俺達は、アニメ関連のお店を次々に回ったあと、昼食をとるため、中央通りにあるファミレスを探した
ヲタクというものは、グッズなどの購入経費に回したいため基本食べ物や交通費は削っていく傾向にある。それは上野も同じようで自然と安く済ませられるサ○ゼに入った
2人で向かい合って座り、メニュー表をペラつかせる。
それにしても……
「おい、上野!気持ちは分かるけど買いすぎだろ!」
「なによ、今更。今日はいいのよ。あなたという荷物持ちもいる訳だし?」
上野はふふん!と鼻を鳴らす。
「俺が手伝いを断るかもしれないぞ?」
「そうかしら?ばらすと言ったら?」
「是非、持たせていただきます。」
「よろしい」
上野は笑った。俺は笑えないけどな!
やれやれ、こいつ探偵漫画で一番最初に殺させるやつだわ。近くに変声機付きの蝶ネクタイつけた小学生いたら上野の命が危なかったな
「というか、お前が真っ先にここを選ぶなんて意外だったな。金持ちそうだし」
「そうかしら?ヲタクは経費削減のためにここを選ぶものよ?死んだ魚の目をしたボッチ主人公もお気に入りのお店よ」
「ふーん、経費削減というよりアニメのキャラに影響された感じか」
「あなたも同じでしょ?お昼どうするか聞いたら、決め顔で『サイゼかな』って言ってたじゃない。似てないからやめた方がいいわ」
「くっ!べべべべ、別に真似してないんだからね!ドリンクバー行ってくる」
「あー、私、コーラー」
「あいよー」
俺は適当に返事すると、ドリンクバーコーナーでマグカップをとり、砂糖を3杯入れてからサーバーにセットする。
激甘コーヒーをここで作るのは久しぶりだ。ヲタ活してた時はよく来ていたのに、最近は全然来てなかった。
それに普通にオタクトークを楽しんでしまっているし……でもなんか、久しぶりに本当の自分に戻れた気がして嬉しい気はする。
これが、上野の狙いなら俺に効果抜群だったようだな
俺は出来上がったコーヒーカップを握ると、頼まれたコーラを注ぎ席に戻る。そこには不機嫌顔の上野がいた
「遅い!3秒で戻りなさいよ」
「無茶言うなよ!コーラで10秒はかかる。コーヒーだけなら3秒で行けたかもな」
「あら、言ってくれるじゃない?コーヒー3秒試す?」
「俺は疲れたから無理だ。上野が試してくれよ」
「いやよ、面倒くさい。」
「ほう?逃げるのか?」
「べ、別に逃げてないわよ」
「よーい、ドン」
「え、ちょ!まってよ!」
上野は急いで席を立つと、ドリンクバーに向かう。当たり前だが3秒なんてありえない。
それは上野も分かっているようだが、俺に3秒と言ってしまった時点で今更引き返せない。どうだ?上野。いつもの仕返しだ
上野はドタバタとドリンクバーでコーヒーを注ぐ。一応言っておくが既に3秒は過ぎている。
ガバッとシロップを掴んで、コーヒーを持ってこっちに走る
「どうよ!間に合ったわよ!さんびょ……」
勢いよく走った結果、言葉の途中で躓いた。そして、盛大にコケた。いや、飛んだまである。
落下地点は……え、俺の席!?
気がつけば、上野は俺を押し倒すような体制になり、何回転もしながら宙に舞ったマグカップは中身のコーヒーとともに俺たちの上に落ちた。
「………」
周りの視線は俺たちに寄せられた。上野を見るとすぐ目の前で赤い顔をして視線を逸らしながらプルプルしている。
白を基調とした服は、コーヒーによって染められ濡れた服からは淡いピンク色の下着が透ける。
濡れた髪や首筋はどこか艶めかしく、美人なのも相まって完全なるエロと可愛さの二刀流だ。俺まで顔が赤くなるのを感じた。
「って、何見てるのよ!!!」
「お前が俺の上からどかないからだろ!!」
「え、あ、あ、それもそうか…」
上野は完全にバグってるようだ。何とか俺の上からどいてくれたので俺も起き上がった。
とりあえず服を透かしたままにされると困るので着てきたジャケットを上野にかける。
「あ、ありがと……」
「んー?聞こえない」
もちろん聞こえている。わざとだ。
「ありがと……」
「んー?」
「聞こえてるでしょ!ばか!!」
「バレたかーって、痛てぇ!」
かなりの力で二の腕あたりをつねられた。めっちゃ痛てぇ
結局俺たちはまだ、ドリンクバーしか頼んでいないがあの状況でランチなんて絶対に無理なので店を後にした。
何故か支払いが俺だったのは謎だ。店を出たらコーヒー臭い濡れた女と中途半端に濡れた男が歩いているためかなり目立ったがなんとかしないとな
俺たちは、服屋を探して歩き始めたのだった。
ありがとうございました。少し長くなってしまいましたがいかがでしたか?
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