決戦突入
俺は魔王の足跡を辿って魔王を追いかけていた。それは凄惨な光景だった。積み上がるは人の死体。生きている者は誰一人いなかった。途中で通った竜族の里ではヨミは一言も発する事が出来ず、簡易な埋葬だけをして去った。
そして狐族の村において、唯一生きていたロマと会うことができ、話を聞いた。
「ろ、ロマ!!良かった。生きてたのか!」
「ヤ、ヤマトさん……。魔王はジパング王国にむ、向かいました。」
「ジパング王国に!?わかった!ロマ、悪いがここで安静にしててくれ!」
「や、ヤマトさん……ま、魔王は化け物です。くれぐれもお気をつけて……ゴホッゴホッ。」
「わかった。もう喋るなロマ。ミミ!」
「はいっ!発現!リカバリー!応急処置ですが、これで少しは楽になると思います。」
「あ、ありがとうございます。」
「じゃあ行くぞ!!」
俺たちはロマを安全な場所へと移動させ、その場を去った。その後各里を通り、遂にジパング王国へとたどり着いた。門の前には数え切れぬ死体の山が出来ていた。
「ひ、酷いです。」
「惨すぎる……。」
「許せんの。」
「……魔王。」
俺たちは国へと入り城の中へと入った。魔王が通ったであろう道には血でカーペットのようになっており、いつもは騒がしい国も静寂に包まれていて人の気配はしなかった。
そして俺たちは王室へと繋がるを階段を上がり王座を見た。そこに、ソイツはいた。
「……来たな。勇者。」
「お前は、ここで殺す。」
すると魔王は椅子から立ち上がり、闇の剣を出現させた。
「やってみろ。」
その言葉を合図に俺たちは動き始めた。アスリが弓を放ち、ヨミが竜の波動を放った。
「その技はさっき見飽きたぞ!!」
すると魔王は弓を全て弾き、竜の波動を真っ二つにした。俺はそれに対し魔王に剣で突っ込んでいった。俺と魔王の剣はつばぜり合いの状態になった。
「ほう、あの勇者の剣か……。」
「魔王!!お前の目的はなんだ!!」
「目的?あえて言うなら世界征服だな。」
「どうしてそんなことを!?」
「したいからするだけだ。不服かね?」
「当たり、前だっ!!」
「ならば問おう。お前はなぜ転生などした?」
「それは……日常が退屈だったから……。」
「それと変わらぬのだよ。むしろ一致している!退屈だから、退屈しのぎに世界を破壊する。これだけだ。」
「ふざけやがって!なら俺もお前を倒したいから倒す!!それだけだ!!」
「それで、いいっ!!」
ガギィンっという音と共に俺と魔王は離れた。再びアスリとヨミが遠距離攻撃をし、その隙に俺とミミが近距離で攻撃を仕掛けた。
「このレベルの4人同時は面倒だな。発現、シールド」
「なっ!?」
アスリのアイスもヨミの竜の波動もミミの四足を使った攻撃も、俺の斬撃も全てを一瞬で防御した。その壁は以前みた小さな六角形などではなく、体全体を覆っていた。
「コレが完全なシールドだ。驚いたかね?さぁ破ってみせろ!勇者!発現!破壊!」
「くっ!」
魔王はシールドを解除すると巨大な闇の球を出現させ、それを近くのミミへと投げつけた。ミミはそれを避けきれず、直撃しアスリの方へと吹っ飛んだ。魔王はその勢いのまま俺に激しい斬撃を浴びせ、俺はそれを防ぐので手一杯だった。
「うあっ!!!」
「ミミ!!」
「よそ見をしている暇はないぞ。発現!破壊!」
「くそっ!!」
「発現!!竜化!」
魔王が再び放った闇の球を、竜化したヨミが竜の爪により無効化した。そしてそのままヨミは魔王へと突っ込んでいき、俺に加勢した。
「ヤマト!押し切るぞ!」
「わかった!」
「竜族の極みといったところか。面白い。だが、図が高いぞ。発現、魔重。」
「「!?」」
魔王が能力を発動するととてつもない重力が俺らを襲った。たった一瞬で重みは消えたが、その一瞬を突かれヨミはアスリたちがいる方へ、俺は逆方向へと蹴り飛ばされた。
「ぐあっ!!」
「チョコチョコと小賢しい奴らを先に始末しようか。発現、シールド。」
魔王は俺の周りにシールドを展開させ、俺を身動き取れないようにし、アスリたちの方へと向かった。
「魔王!!お前!何する気だ!!俺と戦え!!伝説の指輪よ!変化!!」
「ふん、下らん。貴様はそこで見ていろ。発現!破壊!!」
俺は変化を使い自分の周りのシールドを水へと変えたが魔王はその直後に闇の球を放ち、俺の動きを止めた。そしてその後、再びシールドにより、俺の周りを囲った。
「くそっ!!」
「来ました!連続攻撃でヤマト様のシールドを外しましょう!!発現!ブロック!」
「発現!アイス!」
「発現!竜巻!」
「甘すぎる。発現、マグマ。」
「な、なにこれ……!?」
「な、なんて大きさだ……。」
「ば、化け物じゃ。」
「や、やめろおおおおおお!!」
魔王は飛んでくる同時攻撃に対し、巨大な溶岩を召喚した。溶岩は城の天井を突き破り、そのままアスリたちの方へと向かった。そして凄まじまい衝撃音の後、ミミたちの攻撃はかき消され、溶岩はミミたちのいた場所へと激突した。
「ミミ!アスリ!ヨミ!!」
「まだ、息はあるようだな、意識はないようだが。見ていろ。勇者。」
「なにをする気だ!!?」
魔王は瓦礫の山へと向かい、下敷きになっているミミたちを引っ張り出してきた。そしてそれらを能力で召喚した十字の磔台にはりつけた。そして闇の剣と同じものが3つ現れ宙に浮き、それぞれがミミたちの心臓のすぐ手前で刃を立てている。
「お前!!やめろ!!!やめてくれ!!!」
「やめて欲しいなら自力でここまで来い。」
「くそっ!!発現!!不動!!」
「強力だが、30秒は必要だったなその攻撃は。長すぎる。もどかしいだろうな、だが諦めろ。希望はない」
そう言うと魔王は上げていた腕を振り下ろした。その瞬間心臓の前で止まっていた剣は突き刺さり、突き刺さった部分からは大量に出血した。
「……や、や、まと、さ、ま……。」
最後にミミは俺と目があうと、ほんの、ほんの少しだけ笑い目を閉じた。
「死んだようだな。他の二人も。呆気ないだろう?地獄だと思うか?だがコレが現実だ。」
俺は右手でシールドを吹っ飛ばし、そのまま魔王へと切り掛かった。
「良い目だ、あの時の勇者と同じ目をしている。さぁ最終決戦といこうか。」
「お前は……殺す。」




